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満月の晩に白猫が横切った。

大浴場からあがって、寮までの短い道のり。
やけに空が明るくて上を向いたら、漆黒の木々の間から、ぽっかり満月が覗いてた。

「ふぅわぁぁっ…」
思わず間の抜けた声が漏れるほどの、光の威力。
そういえば一年前の4月28日、初めて高野山にやって来た夜も満月だった。
はからずも。
その時も、あまりの月の存在感に驚き、思わず写真を撮ったんだった。

ここは標高867mの天空の町、高野山。
下界に比べて宇宙から近い分、お月様も大きく見えるに違いない。

さて、今晩の出来事はこれで終わりではないのです。
ふっと目線を地上に戻すと、そこには、白猫がいた。
思いっきり目が合った。
固まる白猫。
猫好きの私は一瞬で瞳孔が見開き、「にゃぁ〜」と猫の鳴き真似で挨拶した。

しかし、そうするや否や、白猫は一切の隙も見せず、身を低くしながらサーっと右から左に横切って、私の視界から消えていったのだった。

…行っちゃった。
ひどくがっかりした。
けれど、不思議な出来事だったなと思う。
もしや、これは何かの吉兆かもしれないなどと、いつもの癖で考える。
迷信を信じたり、スピリチュアルが好きだったり。
自分の中のそういう要素も、この100以上の寺が集まる霊場・高野山に惹かれる所以かもしれない。

「そうだ、高野山ブログ始めなきゃ。」
それがこの夜、私が導きだした答えだった。
やるやる言って、グズグズして、未だに始められていなかった高野山日記。
ライターになりたくて、東京でその端くれのようなアルバイトをしつつ小金を稼ぎ、行楽シーズンの繁忙期だけ高野山で住み込みで数ヶ月働くというライフスタイルを一年以上続けていた。
そんな私の目から見た、東京とは違う高野山の魅力。
それをずっと書きたかった。

時は今。
満月の晩に白猫が横切った。
白猫に扮した神様が、「早よせい」と叱咤しに来たのかもしれない。

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有永渡季

お寺の宿坊で住み込みバイト中。この夏、高野山での日々を綴っていきたいと思います。
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