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避暑地としての高野山

高野山の夏は、下界に比べるととても涼しく快適だ。

東京に比べて、気温は5度くらいしか違わないのだけど、体感気温が10度違う。そのためか、高野山は本当に過ごしやすい。避暑地としての高野山の魅力がもっと多くの人に知れ渡ればいいのにと思う。

まず、寮にも仕事場にもエアコンがない。エアコンがないけど、朝晩は特に気温が下がり、羽毛布団をかけて寝苦しいということはない。お風呂上がりの火照っている時には扇風機の風が心地よい。

さすがに、晴天の直射日光下ではじっとり汗が吹き出てくるけれど、それを避ければかなり快適に過ごせる。

仕事場の台所は、暑いには暑いけど気持ちの良い暑さ。開かれた窓から吹いてくる山風が心地よい。17時の終業後は、大浴場で汗を流す。至福のひとときだ。お風呂上がりの冷えたビールもいいね。エアコンに頼らず涼を楽しむ。人間の生活は本来こうあるべきなんじゃないかって思えてくるのだ。

のちに詳しく語るつもりだけど、東京では主に、空き部屋の取材のバイトをしている。外回りがメインなので正直言って、真夏はキツい。うだるような暑さの中、汗水垂らして働くバイト仲間達を思うと心苦しくなる。けど、この夏また高野山で働かないかと誘いを受けた時、誘惑に勝てなかった。あの緑あふれる涼やかな夏の誘惑に。

アスファルトからの熱風や、満員電車の鬱憤とは遠く離れた山での暮らし。東京の夏を2回連続でパスしてしまった私は、果たして来年、2020年の東京の夏を乗り切れるのか、今から不安だ。エアコンの効いた家に引き篭もって、アイス片手にテレビでオリンピックの熱戦を見てたいけど、そうもいかないし。

ところで、私のペンネームの「渡季」は渡り鳥にあやかって付けた。渡り鳥のように季節に従って生活の拠点を変えることは、実はとても自然の理にかなった真っ当な生き方のようにも思える。インターネットの普及した現在、クラウドソーシングの仕事も爆発的に増えているのだから、渡り鳥的な生き方ももっと広まったらいいのになぁ。ちゃらんぽらんとか、根無し草とか、ずるいとか、そんな風に見られちゃうことなく。

「あ、渡り鳥系ライフスタイルなんですね。私の友達にもいますよ。自分も来年からちょっと試してみようかと思ってて。」なんていう会話が巷で繰り広げられることを願いつつ。

とにもかくにも、避暑を目的に。

夏の高野山に是非お越しください。

ありがたく使わせていただきます。