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(試し読みアリ)「ようかいとりものちょう乙 古都怨霊弐 第一幕」と「キャラと背景の墨濃度」

 以前はお知らせや裏話のようなものをTwitter(現・X)のモーメントにまとめていたのですが、現在は編集も更新もできないので改めてnoteに投稿、以降はnoteの方でpostをまとめます。


▼編集さんの発売前tweet(2019年8月)▼

古都怨霊篇弐 第一幕冒頭

試し読みここまで!

ちょっとした裏話 キャラと背景の墨濃度

 クリスタで描くようになった2冊目です。
 この巻の前から少しづつやっていたのですが、10巻ではかなり意識的にキャラと背景の色濃度を変えています。

 キャラの主線は黒100%、背景のメイン線はピント、場所、距離によって80%~50%くらい。
このことで密度が高い画面でも、どこにキャラがいるのか見つけやすい。
五右衛門、猪熊一家は黒100%線、
背景はそれぞれ場所によって墨濃度を変えています。
上からつり下がっているヒョウタンやイモは濃い墨、その奥は若干薄く…といった感じです。

 ようかいとりものちょう は、文章+絵で物語が進む「絵物語」です。画面が漫画的ですが、漫画のつもりで読むと驚くほど文字が多い本です。
 子供は漫画のつもりで読んでるうちに文字を読むのも楽しくなりますし、大人が読んでも情報量が多いので世界観含めて楽しめると思います。

 そして様々な場所へ舞台が移動したり色々奇怪なキャラクターが画面を飾るのですが、この画面にテキストが乗ったものを完成形だとを考えると、全ての主線を黒100%で表現するとテキストと合わさったときに画面がごちゃごちゃになるなあ…と。
 更に乙から文字量が増える、とシリーズスタート時に聞いていました。そこから背景は黒100%をやめようという考えに繋がります。

 ここなどはフキダシ内テキストとそのセリフをしゃべっているキャラが主なので
背景は薄い墨にしてキャラを手前に浮かせています。

 あえて背景を入れないという選択肢もあるのですが、全体のページ数と舞台毎に割り振られてるページ数を考えるとこのシーンには背景が必要と私は考えました。
 こういうさじ加減は全体や見開きのバランス、その場所が物語的にどういう場所か等々で変わります。

ようかいとりものちょうの画面作り

 とりものちょうの作画作業は、私が雑誌で漫画を連載してた頃からアシスタントをしてくれてるユースケくん(現在はうちから独立してますが、とりものちょう執筆期間は週2限定で手伝ってくれる)、ゲーム時代からよくコンビを組んでいる彩乃さん(カラー着彩、妖怪デザイン協力)のふたりに手伝ってもらいながら作業しています。

 1~8巻までユースケくんがコミスタで背景の下描きをしてプリントアウト、そこから私がトレス台に下描き乗せて上から半紙に筆ペンで背景のペン入れをしていました。筆ペンで描くにしてもどの半紙が一番いい滲み方をするかとか、筆ペンも何種類も買ってきてどの筆ペンが良いか試したり…

 9巻からは作画環境がクリスタとなり、背景もペン入れまでユースケくんにやってもらうようになりました。
 ペン入れ後の墨(グレー)入れ、特殊効果などの仕上げは1~8巻以降も私がやっており、最終的な画面コントロールは自分でやるので大体思った通りの誌面になります。

 作業環境がクリスタに変わって古都怨霊篇から強く意識し始めたキャラと背景で濃度を変える試みですが、他にもいろいろと挑戦や実験しながら描いているので次回以降はその辺をちょろちょろ紹介していきます。

おわりに

 なにかご意見、ご感想、ご要望等ありましたらばこの記事のコメント欄にコメントをいただけると岩崎書店の編集さんもチェックしてくれているので、編集部に声が届きます。
 お手紙を送るのがハードル高いと思われる方は是非コメント欄になにかしら書いてくれたら嬉しいです。

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