手を洗おうとして、蛇口をひねったら、次々とタヌキが出てきた。

びよん、とのびて、
すとっ、すとっ、すとんっ、と着地した。

タヌキたちは、こちらも見ずにトコトコ歩き出す。

思わずついていくと、川の方へ向かっている。

トコトコ
トコトコ
トコトコ…

川に近づくにつれ、タヌキたちのしっぽが短くなって、耳がなくなった。

ポチャンと川に飛びこんだ時には、ひとつの魚になっていた。

魚はいつくものあらゆる姿になり、
(あまりに色んな形になったから何になったか分からなくなってしまった)
最後はイルカくらいの大きさになった。
と思ったら、水の中から飛び出して空に昇っていった。

あたりは暗くなってきて、
夜空に浮かんだクジラはまあるくなって、｢ぽんっ！｣と弾けた。

ぱぁっと空が明るくなった。

あぁ、今日は満月だ。

おしまい。