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みずのことり。


鳴き声がきこえる。
わずかな隙間から、小さなちいさな声が。



ボクは、おばあちゃんのうちに行く途中で、いつもはあまり通らない森の中を歩いていた。


おばあちゃんへのお土産を手にいっぱい持っていて重かったし、
川が流れるその道は、正直とても怖かった。


でも、
その小さな声が耳から離れない。
気がついたら手に持った荷物を放り投げ、その隙間に手を伸ばしていた。



鳴き声は続いていて、
急がないと、とボクは焦る。




手が届く。
水の中に柔らかいもの。
そっと掴んで引き寄せる。
壊れないように、壊さないように。




その姿は、なんともいえない不思議なものだった。
ことりなんだけど、羽がない。
透明で、光っている。


その子は、こちらを見てにこっと笑った。
笑ったように見えた。
その瞬間、ぽちゃん、と消えた。



ボクは唖然として、ただただ立っていた。




おしまい。



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