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たくさんのテディベアに囲まれて。(熱海旅行に 21)

食べ終わると、次に出発するバスにギリギリ間に合いそうだったので、急な坂を小走りで駆け下りてバス停へ。なんとか間に合った。
乗って1分くらいで発車した。ここへ来るときよりもっと空が暗い。
だけど雨降る伊豆はアンニュイでどこか幻想的で、窓ガラスの外の世界は全部虚構でこのバスの中だけが現実、そんな気がした。

バスは伊豆高原駅へと戻り、私達は下車した。
「駅から10分~15分ぐらいみたいだよ。」
杉くんがグーグルマップを見ながら言った。
「どうする?タクシー乗っちゃう?」
「うーん、15分ぐらいなら歩いてもいいんじゃない?」
杉くんがグーグルマップを見ながら歩くのに並んで歩いてゆく。
歩道もないような一車線の道路や、砂利道を歩き、
ほんとにこの道で合っているのだろうか…。
という不安が心に浮かび始めた頃、そこへ辿り着いた。

くまの看板。佇まいにすでにメルヘンの気配があった。
受付でチケットを買う。しおりみたいで可愛いチケットだった。

1階は、当たり前かもしれないけど、もう本当に全てがくま、くま、くま…。

入ってすぐのところには、公募で入賞したらしい、個人製作のくまが透明のケースに入れられて陳列されていた。
テディ・ベアは、明確な定義がないらしい。各々が、「テディ・ベア」だ!と思って作られたものはみな、テディベア。
一応由来は、昔のアメリカ大統領にあるらしいということも、ここの展示を見て学んだ。

人間がひとりもいない世界。工場で働いているのも、列車に乗っているのも、遊園地で遊んでいるのもみーーんなテディベア。
すごく可愛いんだけど、「可愛い」だけじゃすまないような、どこか異国に迷い込んだような感覚。ここはくまの国。

大きなくまがベンチに座っていていた。横に並んで座ると、杉くんが写真を撮ってくれた。

上に行くと、ジブリの企画展をやっていた。テディベアの名を冠している場所なのだから徹頭徹尾テディベアに関する展示だけでいいような気もするけど…という気持ちもありつつ、ジブリは好きなのでこれはこれで結構楽しんでしまった。

お土産屋さんを覗き、併設のカフェでお茶するか悩んだけれど、ホテルの夕飯の時間も近づいているので今回は見送ることにした。

相変わらず雨はやまない。
元来た道を引き返し、三度伊豆高原駅へ。
電車の時間までもう少し余裕があったので、売店で飲み物を買って休憩室で少し休んだ。
私はあったかいお茶を、杉くんは瓶入りのジュース。
「怪しい少年少女美術館」という施設の大きなポスターがあって、「すごい名前だね…」なんて話をしていた。

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