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『可愛い格好しておいしいものを食べる活動をしています』ファッショニスタ・POPPYインタビュー【前編】

『狙いすましてなりたい自分になる』ファッショニスタ・POPPYインタビュー【後編】

若手クリエイターが東京で開くファッションやアート系の展示会が好きな人なら、もしかしたら一度は誰かのRTで見たことがあるかもしれない。その姿を一度でも見たらきっといつまでも覚えているだろう、唯一無比の耽美と可愛さと格好良さを兼ね揃えたその人は、今日もTOKYOのどこかを軽やかに渡り歩いているのだと思う。

取材・文・写真 アリマカナコ

◎POPPYさんとは何者なのか

―今日のお洋服の構成を教えてください。

BABYのジャンパースカート、whitelillyの付け襟、APOLIAのピアス、MILHAE.のヘッドドレス、バージンのカーディガン、大熊商店のスカジャン。このスカジャンはともちんがマジすかで着ていたモデル。あとはボッパーの厚底。

―最初私とPOPPYさんが出会ったきっかけは2012年頃の旧BiSだったじゃないですか。でも今はお互いBiSは追ってなくて。

全然追ってない。

―なのにいつも割と近いところにいるから。私行った先々でそこで出会った人がPOPPYさんのことを知っていたってこと何回もあるんですよね。

だからその界隈の正体はなんなのかっていうさ。例えばLAVISHOPとかオレは全然関係ない界隈だと思ってたんだけどさ。でもたまたま今年の水着を買いに行ったら、そしたら店員さんがオレのこと知ってて。

―私も知ってる店員さんだその方。

そんなに知名度高いわけでもないのに。言うても、1000人ぐらい?1000人て、些末なアレじゃない。

―でも私、ほんとに行った先々でPOPPYさんのこと知ってる人と会うし、そういう人達とは大体「近年のPOPPYさんの仕上がり方がスゴい」って話になりますよ。どんどん「POPPY」として仕上がっていってる感じがスゴいって。

なんか最近狙いすませるようになって。そしてそれがちゃんと当たるようになって。

―そう、それで最近のPOPPYさんの仕上がり方がすごいから、一度しっかりお話しを聞いてみたいなと思って今日このインタビューをお願いしたんです。
結構みんな「POPPYさんのこと存在は知ってるけど、よくは知らない」みたいな、そういう感じの人が多くて。

みんななんか黙って見てんのよ。だから(ツイッターで)ふぁぼリツが極端に少ない。

―でもたぶんその実数以上にPOPPYさんのことが気になっている人達っていて

そう、黙-って見てる。

―だから私が今回こういうことを書くことによって、潜在的にPOPPYさんをもっとよく知りたいと思っている人達が望んでいるものを届けられるんじゃないかと思っているんです。

そうだね、オレの解説をしてほしいのよだから。オレは一体いつからPOPPYなんだろうねっていう。

◎いつから「POPPY」だったのか

―アリマカナコの活動を知る最古参がたぶん限りなくPOPPYさんで、で私自身もたぶんPOPPYさんの最古参に限りなく近いのではないかと思っているんですが。

だと思う、だからあの2012年。でもその時ってまだPOPPYでもなんでもなかった。
たぶん、POPPYとしての認知は「地獄のし天王」のバスツアーから始まっていて。
(※地獄のし天王…デーモン渡辺(マコ・プリンシパル) 、 サタン及川(ナマコラブ) 、閻魔加藤(愛☆まどんな) 、ゴブリン増田(増田ぴろよ)の女性アーティスト4名からなるユニット)
以前までオレはギャラパー着て、無地のニーハイを履いてた。その後せきやゆりえさんとか愛☆まどんなさんとかのトップスにPredatorRatのニーハイを履き始めた。で、地獄のし天王に行ったらそういうやつらばっかりだった。「あ、いるんだ」っていう。世界のどこを歩いたら、そこにアクセスできるのかっていうのがわかった。そこからほんとにがーっと人の輪が広がって。

―それが、ほんとに一つのきっかけだったんですね。

世界に何を表明して、世界のどこを歩くか。っていうのがわかったっていう。だからすごい狭い界隈なんだと思う。

―POPPYさんは、それまでも色んな界隈を通って来たわけじゃないですか。例えばアイドル現場…それこそBiSとか。

研究員の現場(BiS現場)とかでは全然人の輪が繋がらなかった。

―でもその地獄のし天王のバスツアーでははじめてそこには共感があったわけですよね?

共感があった。いるじゃんっていう。似たようなさ。

―どういうところにシンパシーを感じました?

おんなじ格好してるっていう。今それが存在しているかどうかは知らないけど、あの界隈って愛まさんのTシャツを着てニーハイ履いて。ただ今考えてみるとそれもまだ「POPPY」ではなかった。

―ゆっきゅんもそこにルーツがありますよね。

あの人もそうだよね。でもあの人もまた違う仕上がりになって行ったじゃない。お洋服を選ぶ、そこからもう一段、自分のまとうものというか…。ゆっきゅんさん、どこかのタイミングでthe Virgin Maryの服を着るようになったから、そっからかな。でオレなんかは、それがAPOLIAさんだったりMIYANISHIYAMAさんだったり…。

―私は、そういう個人の作家さんだったりデザフェスだったりに触れる一番最初のきっかけってなんだったかなって考えてみるとでんぱ組.incだったんですけど。

でんぱだ。オレもでんぱだ。アストロのワンマンを見に行った時、せきやさんとジェニーファックスのコラボの衣装を着ていて「これはなんだ?」っていう。その時割とでんぱってファッションムーブメントっていうか、そういう打ち出し方をしていて、ファッション通信とかにも出てたんだよ。で、そうだ。せきやさん、愛まさんだったりを知ったきっかけがでんぱだった。

―でんぱは最初何で知りました?

アキバ妄撮っていう雑誌。

―ねむきゅんが表紙の…。あれが入口だったんですね。

あれがきっかけで、小林(司)さんとツイッターが繋がったんだよね。

―それをきっかけにでんぱと同時に小林司さん(※ミスiD実行委員長)を知った訳ですね。

そう。あれが、2011年ぐらい。うわー、すごい昔…。

―BiSとでんぱはどっちを先に知りましたか?

でんぱが先だったかな~。BiSを知ったのはprimal.のMVだから。丹羽(貴幸)さんの知り合いの人が自分のフェイスブックに「面白いアートフィルムがある」みたいな紹介をしていて、それで知った。それがリキッドのワンマンの一か月くらい前で。で、なんかたまたまタイミングがあったから、じゃ行こう、って行った。リキッドが12月20日だったんだけどそこから年明けまで三回ぐらい接触できたんで、「あ、おもしろいなあ、会えるんだ」っていう。

―それがPOPPYさんのアイドル原体験?

そう、原体験だった。

―じゃあその前にハロプロとかAKBは通っていない?

見てただけだよね。接触はなかった。

―ライブに行ったりとか、そういうのもなかった?

なかった。AKBはマジすか新参だったんだよね。RIVERのポスターがビルのてっぺんにあって…あれがすごい眩しいなあって…で、麻里子様が好きで。

―髪型も麻里子様に影響を受けたって言ってましたよね。

そうそう。

◎POPPYさんが今のPOPPYさんに「仕上がる」まで

―自撮りをよくSNSに上げるようになったのは、地獄のし天王ぐらいのタイミングでしたか?

うん。ひどい自撮りを上げてた…。ほんとに、何考えてたんだろう。

―でも当時から見てますけど、私はPOPPYさん的には目的というか、ゴールが見えてる状態で撮ってるんだろうなあってことを思っていて。

見えてなかった。だからツールが揃うことでゴールが見えてったっていうのが最近の仕上がり方なのかなっていう。自撮りの加工ツールとか、あと着る服が決まってきたこととか…。あの時はなんも考えてなかった。

―お洋服の組み合わせとか考える時って、何から着想を得るとか、ありますか?

いや、持ってるもの。

―持ってるものを組み合わせようみたいな?

最初にお洋服を購入する段…なんだろう。

ー例えば私は、気に入ったお洋服にこれとこれ合わせよう、みたいに考える時もあれば、ピューロに行くからじゃあキティちゃんを意識して白と赤を基調にしていこうみたいな組み立て方をする時もあるんですけど…、そういうのは、ない?

ない。結局お店に行って、試着して「合う。合う。」なんだろう。ナナツさん(MILHAE.デザイナー)とかAPOLIAさんとかのとこでよく言われるのが、試着した後に『おー、普通だあ。むっちゃ普通だねー。』って。

―でもそれめっちゃ褒め言葉。

そう、そう。「普通だあ」ってここ1~2年ぐらい。普通を目指してる。

―最近のPOPPYさん見てるとそれはなんかわかる気がする。

「全然普通だよー」って。なんかその、取り込んだっていうか。

―着られてる感一切ないですもん。

狙ってるとしたらそれだよね。服を取り込む。基準は「普通に見えるか」でも今日はちょっと夢感を出した。

―POPPYさんはそういう今みたいな系統のお洋服を着始めたきっかけはなんでしたか?

たぶん、APOLIAさんの服を着始めたっていう…。

―きっかけがAPOLIAさん?

APOLIAさん。ニーハイグラフィックTじゃなくて。なんかそれで、服が自分を引っ張り上げてくれるっていうか…。ニーハイグラフィックTっていうのはあくまで自分がどの界隈に属しているかを表明するための手段に過ぎないというか…。

―でも、私はそのニーハイとグラフィックTをPOPPYさんが着ている時代も見てると思うんですけど、好きな色調?みたいなのは変わってない気がしてて…。

変わってない。

―そういう、「自分はこういう色調の服が好きだ」と気づいたのって、割と最初からですか?

うん。

―子どもの頃から?

うん。今考えると、(その頃は)本当に自分の立ち位置を表明するためのものだったのかな~っていう。何を世界に表明するのか、自分は何が好きか、こういう思考をしているんだということを表明するための…。ただ、今は洋服を主に考えている。

―自分が主じゃなくなったって意味合いですか?

自分が主?なんていうのかなあ…「POPPYとは洋服を着る人」みたいな。

―じゃあ、「POPPY」という人の主軸になっているのが「何を着るか」や「ファッション」になっているという…

そう、こないだファッショニスタという言葉を聞いて。あ、そうだ、ってなった。何やってんですかって聞かれて「いや可愛い服を着る人。」って答えたら、「ああ、ファッショニスタですよねー」って荻窪のaruiteruってお店で店主さんの日置さんから言われて。

POPPYさん twitter
https://twitter.com/poppy_cute_sexy

『狙いすましてなりたい自分になる』ファッショニスタ・POPPYインタビュー【後編】

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