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洋服における、定価とセール価格の差額は一体何なのか?

いつも行ったり行かなかったり、行っても人の多さと熱狂に当てられて速攻離脱するラフォーレ原宿グランバになんと3日も通いました。ちなみに1日目の感想

完全に思考停止しましたが、思考が再開したのはハヤカワ五味さんのnoteを見たからでした。

前提として全てがプロパー(=定価)で売れないといけない訳ではなく、ウン十%が定価、ウン十%が半額、場合によりウン%が廃棄で良い感じになるようなビジネスモデルが多いですし、一般的なアパレル小売業なんかではこれが鉄板だと思います。なので、値段というものは全て売れる前提ではなく、諸々のコストやリスクなどを含み含んだうえで決定されますし、そういった意味ではセールの価格も妥当なものと言えます。

つまり企業側からすると、実はもしかして「1着1着の定価とセール価格の差額」って消費者が気にするほど気にしていないケースも多いのでは…?という気付きがありました。1着1着がいくらで売れたか以上に、その服を何枚も生産するのにかかったお金をどれだけ回収できたか、どれだけ最終的な利益が出たかという、「総額」が一番重要ってことですよね。

実際に計算して考えてみる

イメージするために極端なモデルケースを考えました。(私はアパレル業界で働いたことがないので下記の価格設定には何の根拠もないデタラメな仮定です。)
10着ワンピースを作るのに諸経費人件費込みで10万かかりました。売り上げ目標は20万円です、と考えた時、売れ残るリスクを考えて、1枚3万円で売ります。
3万円で5着売れました。売り上げは15万円。
在庫は5着 売り上げ目標まであと5万円
となれば、もうすでに生産費は回収できているし、じゃあ半額で売るか、となり、セールで1万5000円で販売。4着売れました。6万円。
あと1着は最後まで売れませんでしたが、売り上げは達成できたし、これ以上値段を下げるとブランドイメージを損ねるので廃棄しました。

確かにこの計算だけで考えると、もしかしたら顧客Aさんが3万円で買ったことと、顧客Bさんが1万5000円で買ったこと、この差額って企業からしたらそんなに重要ではないというか、「買った値段こそ違うけれど、AさんBさんがそれぞれ出せる金額で買ってくれたおかげで売り上げ目標を達成できました、ありがとう」ぐらいのことでしかないのかもしれないな…と思いました。

いやでも、買う側からすると、半額で買った時、定価で買った時、その差額は一体なんなのか、その意味を考えたくなりませんか?私は考えたいです。

セール価格で買うということ

セールでもその服を買わない人の方が世の中には多いということを考えれば、セールで買っていく人ももちろん大事なお客様である、それは当然そうだとおもいます。
では私達がセールで買った時に、定価との差額分買えなかったものはなんなのか?と考えてみるとそれはもう端的に「そのブランドの服を定価で買ったお客様」にはその時なれなかった、ということに尽きると思います。

定価で買うことにどんな価値があるのか

・定価で買うことを前提にしていれば、欠品を心配することなくいち早く新作を入手することが可能
・セール期間よりも店内にお客さんが少なくゆっくり買える
・セール期間よりもお客さんひとりひとりに気を配った接客や商品説明を店員さんから受けられる
・内装やインテリア、商品のディスプレイやショッパーなど、セールの時と比べるとよりブランドイメージに沿ってつくられた世界観の中でのお買い物体験ができる
・セールの時より手入れが行き届いたお洋服が売っている場合が多い

いやでも上記ってもしかしたら全部結構副次的なことかもしれないなー、と思っていて、根源的に「最もそのブランドを支えるお客様になれる」私はこのことに一番価値を感じてしまいます。

おそらくその服が商業的な観点でよかったのかよくなかったのか判断する指標のひとつに
1、発売からX週間以内に何着売れたか
2、定価で何着売れたか
はあると思うんですよね。例えそうじゃなかったとしても、新作定価で即完売の状態がそのブランドのその服に対しての最高の評価だということは想像に難くないですよね。
例えそのブランドの人の誰とも知り合いじゃなくても、新作を定価で買ったらそのレシート1枚は「あなたのとこのブランドのその服を、入荷してすぐ定価で買っちゃうぐらい好きです!!」という、すごくラブレターになると思うんです…。

これだけメルカリとかが全盛で、ブランドバッグのレンタルサービスもあるような世の中で、新品の服が定価で欲しいって本当にもはや愛に他ならない気がしてきます。

私の好きな服が生まれ続けるために

やっぱりセール「でしか」服を買わないお客さんを前提にブランドがファッションをやらなきゃいけないとなったら、それはすごくしんどいことだろうなあと思うし、やっぱり新作を定価で買おうというお客さんが増えれば増えるほどファッションの世界は豊かで楽しくなる気がします。

なんかもう最近本当~~~~に、「永遠に続くと思っていたものさえ終わってしまうんだな」ということを痛いぐらい感じてしまうぐらい色んなものが終わってしまってるんですよね。
私ごときの買う買わないでそれが続くか終わるか決まることなんて、本当は一つもないのかもしれないですけど、でも私はできるだけ私にとって住みよい世界に棲みたいので、できるだけ好きなものにたくさんお金を払って、そこからまた新しい素敵なものが生まれたら最高なので、私はそういうつもりでいつもお買い物する時はお金を払っています。できるだけ続いてくださいと。そういうタイプの祈りです。

もちろんセールはセールで、いつもは着ないタイプの服も、失敗してもいいから挑戦しようかな?と思えてそこから好きなファッションの幅が広がったりするし、それは私にとってもファッションの世界にとってもプラスなことだと思うし、決してセール価格で売るのも買うのもネガティブなことばかりではないということは当たり前に思っています。

なんかセールのたびに現地で「一体服は何円の時に買えばいいのだ???」と混乱していたのですが
ハヤカワさんの記事を読みまた自分でこの記事を書いてみて
「セールで安くなるのに(メルカリで安く買えるのに)定価で買うのはバカだ」ってことは絶対にあり得ないし、逆に
「セールで買うのはブランドに対して不誠実だ」ではなく、セールで買うお客様という形で貢献できているんだな、ということがわかってよかったです。

おまけ

それでふっきれたのか(?)普段からたまにお買い物している、ハヤカワさんの経営しているラフォーレ原宿のLAVISHOPのセールで一杯お買い物をしてしまったの図


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