見出し画像

わたしの旅暮らしをつくる #4|4/29-5/5

4/29

ゴールデンウィークのおかげで宿泊客が多い。ひとりの時間も空間もあるけれど、やはり人の気配は気になってしまう。
以前いた他のゲストハウスでは、(半)共同生活もさほど苦ではなかった。1ヶ月弱だけ、と決まっていたからかもしれない。けれど、これから1年はこんな生活が続いていくんだと考えた途端、不安に襲われた。いざとなれば実家もあるとはいえ心は休まらない。うまく気を抜きながらやっていく術を見つけなければ。

こちらに来て初めて夏みかんの花が咲いているのを見つけた。
金木犀みたいな香りはこれだった。


4/30

いつもの大判焼きを買いに行ったらミックス味が出ていた。聞けば新発売だそう。落ちかけていたテンションが途端に上がった。黒あんとカスタード両方食べれて幸せ。でもカスタード味には敵わないな。

rucoには個室があるからなのか、落ち着いた萩の雰囲気に惹かれてなのか、母と同世代の宿泊客も意外に多い。今日もゲストさんとお話しした。
生まれ育ったまちが変わっていくこと。老いること。わたしはまだ変わることがこわい。けれど、今は変化を受け入れようとしなくてもいいよ、と。そっか、寂しいとか悲しいとか、そのまま感じていていいんだ。時が流れて子どもだったわたしはやがて大人になる。もしかしたら親になるかもしれない。諦めともちがう、ただ自分の番がまわってきたと感じる、という言葉が印象的だった。
日々、いろんな人にすくわれているなと思う。

あれ!?と3度見くらいした。
rucoスタッフ曰く、新しい味はこの1年半で初めてらしい。


5/1

空間や暮らしの場のデザインなど、まちづくりに携わる方のトークイベントに参加した。「耕す」「日常に必要な存在になる」という言葉が印象的だった。世の中を良くするためにというよりは、自分がごきげんに暮らすためになにかやってみるというのがいいな、と思った。わたしの矢印は内側に向いているけれど、それを無理に外へ向けようとしなくてもいいんだよ、と肯定してもらえた気がする。
rucoにこれだけ人が集まって、椅子に座ったり階段に腰掛けたり、飲んだり笑ったりしながら話を聞いている。ガラス張りだから、通りかかった人々がなんだろうと覗いていく。境界を曖昧にしていく。普段とちがった表情を見せている、自由にかたちを変えながら動く舟だな、と思う。

見下ろしたときの景色がとてつもなく好き。


5/2

妹が遊びにきたので、自転車で一緒にまちを一周した。(観光地をまわるのに)「大人数で行くよりひとりで行くほうが楽しめるじゃん」と言っていて、わたしと時間の使い方が似ていることが嬉しかった。
イタリアンのお店の陽気なお兄さんが着ていた「ナポリタン」のオレンジのエプロンが好きすぎて忘れられない。

行きたかったランチ。お刺身おいしい。
萩に来てから見た海でいちばん青い。
ホタルイカとシラスのレモンパスタが本当に美味しすぎた。


5/3

海外からのゲストさんとおしゃべり。自分のやりたいことをしたい!って言えるの、すごく真っ直ぐでかっこいいなと思う。
ゲストハウスにいると自己紹介する機会がよくある。大学で何を学んでるの?どんなことするの?どうしてそれを選んだの? 聞かれていつも答えに詰まる。学部やゼミを選んだのもなんとなくだし、卒論も進んでないままだし、行けなくなって休学しちゃったし。一時的に大学から逃げたとしても、わたしが「大学生」であることには変わらない。わたしがわたしであることからは逃げられないのだな、と最近よく思う。

日が沈む前の海は、なめらかでぐにゃぐにゃつるつるしている。


5/4

夏日のなかを自転車漕いだから、熱中症みたいになっている。あつい。ちょっと無理しすぎた。体力の回復には思った以上に時間がかかりそう。
三日月みたいな模様のうつわを迎え入れた。幸。

見た目よりずっしりとしている。ずっと抱えて撫でてたい。


5/5

「移住と引っ越しの違いって何?」って話をした。移住は引っ越しの円のなかにあって、その地に根を張って生活するぞと強い意志を持った引っ越しを移住と呼んでいる気がする。「移住先に引っ越すとは言えるけど、引っ越し先に移住するとはいえないよね」とあるゲストさん。移住は暮らしを含んでいる感じ? 移住は大きい引っ越し? 答えのないことをぐるぐると、一緒に考えるのは楽しい。

お昼ごはんに、といただいたテイクアウトの定食。
豚バラしそ巻きぐるぐる。


こちらに来て1ヶ月が経つ。登場人物の多い生活にまだ慣れない。夏になったら海へ行こう!と言えないのが悲しい。期限付きの暮らしはちょっとだけつらい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?