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「やりたいこと」はわからないけれど

長野・諏訪にあるReBuilding Center JAPANのインスタの投稿を読んだ。9月15日、「やりたいことがない」ことについて考えるお話。


華南子さんのことばで綴られた内容がするり、とわたしに入ってきて、とっても好きな文章だった。



華南子さんは、名前をつけられる表面上の「こと(行動)」そのものには価値を感じているわけではないのを、「やりたいことがない」って表現してるのかなって思いながら読んだ。逆に言うと、自分のしたことの結果として生み出されるものには価値(お金的な意味合いを含まない、意味?)を感じているし、自分の思い描く世界(たとえば、生み出された「もの」がある世界)に生きるためにやっているのだと思う。

どんな仕事でも活動でも、やってること自体はあくまで方法のひとつにすぎないんだよね。
自分の内側にある想い、あるいは高揚感なんかをどうやって表出するか、の先にたまたま今やっていることがあっただけ、みたいな。


どう生きられたら自分は幸せか、結局はそれだけ。


やりたいことって言われると職業や仕事内容なんかと結びつけがちだけれど、そうじゃなくてもいいもんね。
同じく、華南子さんの文章を読んだ友達が言ってた。

「ぼくはやりたいことはあるけど、職業ってなんでもよくて、大工じゃなくてもよかった」

すごくわかる。その職に就くことが目的だったのではなくて、はたらくことを通して見えてくるものが好きだからやってる、だから職業はなんでもよかった、と。

わたしも就活どうしようかな、そもそもするのかしら、とか考えていて、でも職業としてのやりたいことは特になくて、就活に拘る必要性が見出せなくて、いまは就活をしていない。
(ここで言う就活は、業界研究してガクチカ作って、面接官に自分を大きく見せて、結果に一喜一憂して。みんながやってるザ・就活!みたいなやつね)


1年生の終わり、まさしく「やりたいことがわからない」という悩みを抱えて大学の進路相談に向かうと、業界研究の分厚い本をばんっと見せられて、この中で気になる職種は?と。そんなこと言われたってわからない、やりたいものなんてない。
強いていうならこれかなって選んで、その中からいい感じの企業をピックアップして、面接受けて、とりあえず受かったここに行っとくか、とかはしたくない。もっと自分の内に浮かぶ気持ちに目を向けたい。
それ以来、相談室には行っていない。


もちろんすぐに心動かされるようなことじゃなくても、続けていればその中に面白さを見出せるのかもしれないし、社会経験やスキルも身につくだろうけれど、(少なくとも)いまのわたしはやりたいと感じてないのだから、その気持ちに流されてみてもいいかなと思っている。
(社会ではこういうのは甘えだ、とかいうのかなぁ。就活を経験していないわたしが言うことなんて間違っていると思われたりするのかなぁ、やだな)



けれど、もっと「やりたい」の範囲を広げていった先にしたいことはあって。
自分の場所を持ちたいな、自分の手でなにかを作りたいし作りつづけていたいな、とか。

わたしの大好きな場所はいくつかあって、古道具屋さん、本屋さん、カフェなど色々だけど、あの空間に足を踏み入れたときの息を呑むほどに圧倒される感じとか、静かに、でも確かに押し寄せてくる温度とか、キラッとなにか心の中で光るような気がしたり。きらめき。感覚をすごく鮮明に憶えていて、思い返すたびにどきどきする。

わたしじゃない誰かにもその感覚を味わってもらうことができたら素敵だろうなって思ってる。そう言うと綺麗事のように聞こえるけれど。ただわたしの大好きな空間に、大好きな人たちが集まること、そして輪が広がりながらゆるくあたたかいつながりが作られていくことを考えるとわくわくする。社会の大きな流れの中に、わたしという存在がもっと入り込んで、渦を発生させてみたいな、とも思う。


就活はしていない、と言ったけれど、思い描く将来に近づくための手段として就活する、は全然ありうる気がしてる。それに、いまだってお店に足を運んでお話ししたり、形を変えながらあるコミュニティに一歩入り込んでみたり、ワークショップに参加してみたり、している。
将来の自分に繋ぐためでありながらも、いまのわたしが楽しいと感じているからでもある。



やりたいことはなくてもいい。
就職するための、じゃなくて、いつかの在りたい自分に近づくための旅。
その途中にわたしたちはある。
日々、僅かな歩みを進めている。


華南子さんの文章の好きな一節を添えて。

手段にはこだわらないという意味で、やりたいことなんてなにもない。
でも、どうしようもなく関わり合って生きているこの場所で、世界の一部になりたいなと思う。
変わらず、素晴らしいひとたちと出会いながら、日々暮らしていきたいなと思う。

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