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世界奴隷化計画 第4話


 ついにナロコの真の目的が明らかに!


<人 物>

宮崎孝(53) 国立ウィルス研究所 研究医
三浦理彩(27) 新聞記者
安住太郎(60)総理大臣

○国立ウィルス研究所全景
   木々に囲まれ広々とした敷地に
   デザイナーズ建築のような
   最先端風の建物が立っている。

○同研究所中庭
   蝉の声が響く、木陰のベンチで
   缶コーヒーを飲みながら話している
   宮崎孝(53)と三浦理彩(27)。

理彩「それじゃあ、やはりナロコは
   人工ウィルスなんですね」

宮崎「人工と言っても
   失敗作と言っていいぐらい
   物凄く弱い毒性なんだ。
   でも世の中にゼロリスクは
   存在しないし、
   ここまで恐怖を煽ったら、
   僕が何を言っても
   じゃあ、高齢者は、
   既往症のある人は
   どうなるんだって…。
   知っての通り僕の殺人予告まで
   ネットに書かれたぐらいだから」

   苦笑いしながら
   缶コーヒーを飲む宮崎。

理彩「私も拝見しました」
宮崎「僕はもう疲れたんだよ。
   マスクによる熱中症のリスクを
   訴えても誰にも響かない。
   過度な自粛による経済の打撃だって
   僕は経済学者ではないからね・・・」
理彩「私たちマスコミにも
   責任はあります・・・。
   先生、本当に、
   私に出来ることあったら・・」
宮崎「それから、もう一つ心配なことは、
   PCR検査の精度の低さなんだ。
   それでも一度ナロコ陽性とされたら、
   感染者隔離の名の下に
   どんな人権侵害でも出来て
   しまうんじゃないかって…」

   宮崎の視線の先に
   白衣を着た男性二人が近寄ってくる。

男性①「宮崎孝先生ですね?」
宮崎「そうですが」
男性②「保健所の者です。
    先日、先生が行かれた書店で
    ナロコ陽性者が出ましたので、
    先生も検査させていただきます」
宮崎「僕は何の症状もない。
   それに、検査は任意のはずだろう?
   僕は拒否する」

   男性二人、頷き合うと
   宮崎の両側につき腕を掴み連れ去る。

宮崎「や、やめろ!!」
理彩「せ、先生!」

   白いバンのクルマに押し込まれる宮崎。             
   理彩、慌てながら
   震える手でスマホでクルマの写真を
   撮り続ける。

○真っ白い壁に囲まれた何もない部屋
   目隠しと猿ぐつわをされ、
   手を後ろ手で縛られた宮崎が
   パイプ椅子に座っている。
   宮崎、何か言おうとしながら
   固定された身体を動かし
   もがいている。
   パイプ椅子の脚が
   床に当たる音だけが響く。 

   ×××

   宮崎の居る白い部屋に黒いスーツ姿の
   若い男が入ってくる。
   男、宮崎が拘束されている縄と、
   猿ぐつわをほどき、

男「宮崎先生、お立ちください」

   宮崎、目隠しされたままの姿で
   恐る恐る慎重に立ち上がる。

宮崎「ここはどこなんだ、君は誰なんだ」
男「申し訳ございませんが、
  私からは何も申し上げられません。
  ただし、ご心配なく。
  今から安全な場所にお連れいたします」

○総理大臣官邸・前

○同官邸・中
   シンプルながらも
   品のよい調度品が飾られた応接室。
   黒い革張りのソファーに
   目隠し姿の宮崎をゆっくり座らせる男。

男「では、私はここで失礼いたします」
   男、立ち去る際に宮崎に
   一礼をしてドアを開け、
   部屋から出て行く。
   宮崎、ゆっくりと目隠しを
   自分で取る。
   部屋をゆっくりと見渡すと
   ガラス張りの大きな窓から下の方に
   中庭が見える。
   窓の高さから3階ぐらいと思われる。
   そこから入る強い日差しに目がくらみ、    
   一瞬、目を閉じる宮崎。
   もう一度、目を開けると、
   そこには安住太郎(60)が立っている。

宮崎「あ、安住総理!」

   思わず立ち上がる宮崎。

安住「宮崎先生、手荒なマネをして、
   申し訳ございませんでした」

   にっこり微笑む安住。
   目をパチパチしている宮崎。

   ×××

   ローテーブルを挟み
   ソファーに座って話している
   宮崎と安住。
   テーブルにはアイスコーヒーが
   置かれている。

宮崎「マ、マイクロチップですか?
   総理、気は確かですか?」

   宮崎、飲んでいたアイスコーヒーを
   吹き出しそうになりながら素っ頓狂な
   声で言う。

安住「それは各国の首脳とも話し合った
   決定事項なのであります」
宮崎「全人類にマイクロチップを
   埋め込むって・・」

   安住、テーブルの上に
   5ミリ程度のカプセル状の
   透明のマイクロチップを
   そっと置き、

安住「先生もお気づきの通り、
   ナロコの毒性は大した物では
   ありません。ただ、
   マスコミのみなさんの
   ご協力のおかげで、
   ここまで恐怖を煽ることが出来ました。   
   今や全人類はナロコのワクチンなしでは 
   家族にも友達にも会えない、
   海外旅行にも行けないと
   ご理解いただいております。
   したがって、
   今では全人類はナロコワクチンを
   待ちわびております。
   ですので、
   ワクチン接種と同時に全人類に
   マイクロチップを埋めるのが
   我々の真の狙いであります」
宮崎「そんなの人権侵害ではないですか?
   使い方によっては全人類を
   奴隷のようにコントロールすることも
   可能になってしま・・」

   安住、宮崎の言葉を遮るように
   力強い口調で、

安住「助けることも出来るんです」

   宮崎、頭を抱えて  

宮崎「なんてことだ!」

   絶望的な表情で頭をかきむしる宮崎。
   その姿を頷きながら見守る安住。
   宮崎、突然顔をあげ、

宮崎「それで、
   僕をどうするおつもりですか?」
安住「やはり先生は
   マイクロチップには反対ですか?」

   安住、微笑んでいる。

宮崎「もちろんです」
安住「マイクロチップが入っていれば
   全ての個人情報が把握出来ます。
   難民問題も、誘拐事件も
   脱税も全て解決するんですよ」

宮崎「しかし・・・」

   安住、頷きながら、
   テーブルに置いてあった
   金属製のケースから、
   金色のマイクロチップを取り出す。
   怪訝そうな顔でそれを見る宮崎。

宮崎「そ、それは?」
安住「先生もこちら側の人間になりますか?」
宮崎「こちら側?」

   安住、自分の左手を広げて宮崎に見せ 
安住「私も既にこのマイクロチップが
   ここに入っています」

   安住、人差し指と親指の間を
   右手で指さす。

宮崎「そ、総理、本当ですか?」

   安住、にっこり頷く。
   安住、ゆっくり立ち上がり、
   手を後ろで組み、
   一面ガラス張りの窓から
   外の風景を見下ろし、
   眩しそうな顔をしながら、

安住「この世の中には2種類の人間がいる。
   自分の頭で考える人、
   面倒臭いからと、
   何も考えずに従う人」

   安住、宮崎の方を急に振り返り、

安住「先生もそうは思いませんか?」
   宮崎、何か言おうと
   口をパクパクさせている。

安住「つまり、支配する人、
   支配される人なんですよ」

   安住、ソファーに戻り、
   テーブルに置かれた
   金色のマイクロチップを
   右手の指先で
   そっと宮崎の方に押し出す。
   宮崎、安住の顔を真剣な顔で見つめる。
   安住、手で、どうぞ、の、
   ジェスチャーをし、にっこり微笑む。

              続く

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