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雨の向こう側

雨はユウウツだ。特に毎日、毎日自転車に乗らねばならない人間にとっては。
うちは、娘の保育園が実に微妙な距離で、歩くと大人でも20分。娘の足では30分以上はかかる。バスも走っていない。というわけで、雨でも雪でも風でも自転車ギコギコがマストなのだ。

今日の夕方はニューヨークタイムズ・スタイルマガジン日本版、「T Japan」 の取材もあったので、少し良いめのワンピースを来てでかけたのだけれど、あいにくの土砂降り。というわけで、保育園に向かう時にはあーら大変身!全身すっぽり覆う自転車用カッパを着込み、頭はフードすっぽり、足元は長靴。その姿はもはや正真正銘のヤクルトおばちゃん(ヤクルトレディのみなさん、すみません。。。)。そして、今日のような土砂降りの日は、気分は宮沢賢治の「雨ニモマケズ」である。ええ、おばちゃんは決して、雨には負けません。ぐおー、こぐぞー!待っててねー、娘!


何ヶ月か前だけど、ニセコで素晴らしい高級ホテル「坐忘林」を運営してるイギリス人のショウヤさんにお会いした日も、雨だった。しかも、どっしゃぶりの雨。その日、ショウヤさんは楽しそうに、東北から古民家を移築してホテルを作る構想を話してくれた。

途中で、カフェの窓ガラスを叩きつける雨を見て、「あーあ、雨やまなそうですねー」とため息をつく私にたいし、ショウヤさんは「僕は雨が好きです」という。「雨の日は木が揺れてて、特に自然が綺麗です」という。

その一言に衝撃を受けた。ああ、東京にいても、あるがままの大自然をショウヤさんは受け入れる。ショウヤさんが見ている世界は、私が見ている世界と全然違うんだ。いや、もしかしたら、雨が好きかどうかは、日々の生活や心の余裕に左右されるのかもしれない。できれば、私もショウヤさんのようにその瞬間、瞬間を楽しみたい。

ただ雨のなかで自転車を思いっきり漕いで帰って来て、ぐっしょり濡れた洗濯物を見て世界を恨みたくなる私が、ショウヤさんの域に達する日はまだまだ遠そうだ。

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その他の告知:11月17日(土)、24日(土)夜10時〜に茂木健一郎さんのラジオ「ドリームハート」(FM Tokyo)に出演します。https://www.tfm.co.jp/dreamheart/

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