【必修コミュ】これで君も古参面!?【アルストロメリア編】
本記事は、「アイドルマスターシャイニーカラーズ(以降シャニマス)」の紹介記事です。同作のコミュ(シナリオ)について紹介します。ネタバレをします。
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概要
「『シャニマスはコミュが良い』って言われたけど、数が多すぎてどれから読めば分からない!」
「薄桃色とかYMLLとかばっかり呟いているアカウントがいて不気味」
「ガシャのためにTrueEndこなすだけっていうのも退屈だし、折角だし話も読んどくか……」
この記事は、そんなあなたに向けた記事です。
何かと話題になるコミュを「必修コミュ」として紹介します。
よろしくお願いします。
まずはユニット紹介からです。
ALSTROEMERIA──アルストロメリア
双子の女子高生と23歳のお姉さんにて構成されたファンシーな雰囲気のアイドルユニットです。
アイドル系のコンテンツに親しんでこなかった私の、初見での感想は「うわ、めっちゃ『ぽい』な……」です。
手触りの良さそうな少女趣味の雰囲気に反して、コミュでの彼女たちが行き当たる様々な出来事は、語弊を恐れずに言えば、生々しいところがあります。
アルストロメリアの花言葉は「未来への憧れ」……今のままではいられない彼女たちが生きる姿が描かれています。
大崎 甘奈──CV. 黒木 ほの香
大崎姉妹の双子の妹、お洒落が好きで、明るく可愛い、純な女の子です。姉の甜花ちゃんが好き。
クラスの中心にいるタイプで、友達も多いのですが、同時に打たれ弱くて落ち込みやすいところもあります。
キラキラした女子高生を思い浮かべてみれば、彼女の姿はその人に似ているかもしれません。
あとプロデューサー(僕ではない)が好きです。
大崎 甜花──CV. 前川 涼子
甜花ちゃん!?
シャニマスの陰キャ筆頭。
「特技: 特になし、趣味: 昼寝、ネット、アニメ、ゲーム」は信頼できます。
アイドルデビュー以前、学校では主に「大崎姉」と呼ばれていました。信頼です。
初対面の人に積極的に話しかける能力は低いです。信頼。
このように、自信なさげな振る舞いを見せながら、その一方で性格はきわめて図太いです。遠慮も知りません。
あればあるだけ食べ、遊べば遊べるだけ遊び、飽きたらさっさとやめて寝てしまう……そんな気ままな図太さがあります。
桑山 千雪──CV. 芝崎 典子
アルストロメリアのお姉さんです。
ユニットの少女趣味な雰囲気は千雪さんの影響なのだと思います。
好みというだけでなく自分で作ることもしていて、時おり小物作りをしています。
一日が終わる間際、夜更けのお城に硝子の靴を置き去りにしてしまう娘の有名な童話には、彼女がわざと靴を脱いでいったのではないかという俗説があると聞きます。
この23時のシンデレラはこの俗説を地で行く気がしてなりません。
アルストロメリアのメンバーは以上の双子の大崎姉妹と桑山千雪の3名です。
それでは彼女たちのコミュを紹介していきましょう。
大崎甘奈
名称不明(限定pSSR【ないしょのスイーツ】大崎 甘奈)
当方未所持につき詳細は不明です。
何でも、なーちゃんが自らプロデューサーの彼女を宣言したらしいです。
この未知は限定ガシャなどという仕組みを生み出した高山のせいです。我許無理高山。
名称不明(限定pSSR【お散歩サンライト】大崎 甘奈)
当方未所持につき詳細不明。
何でも、アニメーションが評判で、引きの構図が斬新です。
ちなみに、このアニメーションのモデルとなった聖蹟桜ヶ丘のいろは坂は、オタク=ピクチャレスク・ツアーの名所となっています。
なお、僕がなーちゃんのことに詳しくないのは、やはり限定ガシャなどという仕組みを生み出した高山のせいです。我絶対許無理高山。
大崎甜花
『いちかわさん』(グレフェスコイン交換sSSR【エンドレスゲーム】大崎 甜花)
このコミュでは、あの市川雛菜さんからお菓子を巻き上げる甜花ちゃんが見られます。
ある日の学校帰り、甜花ちゃんは、お腹が空いたけど、お菓子が用意されているかもしれないと、買い物をせずに事務所に来ました。
すると、今日は用意されていなかったようです。
空いたお腹を抱えて悲しそうな目つきの甜花ちゃんには、唯我独尊を地で行く、あの市川雛菜さんですら、自ら買ってきた行列のできる人気店のお菓子を差し出してしまうのでした。
桑山千雪
『優しい人』(W.I.N.G.編 桑山 千雪)
このコミュはW.I.N.G.編最初の、アイドル採用までのものです。
新人アイドルをスカウトするべく道行くプロデューサーに突如話しかけてきた女性、それが桑山千雪でした。
彼女は今にも取れそうなプロデューサーのボタンが気になってしまったそうなのです。
少なくとも珍しいことで、あり得なくはないのかもしれない可能性がある……というこの一線は、プロデュースするアイドルの衣装が反映される仕様によって超越されることとなりました。
『千雪って人が』(G.R.A.D.編 桑山 千雪)
G.R.A.D.編桑山千雪では、G.R.A.D.に挑戦する傍ら、ラジオの企画で手作りの小物を視聴者参加のオークションにかけることになります。
このオークションではプロデューサーまで驚くような値段が付いたらしく、彼女は自分でも匿名で出品をします。そうして、アイドルとしての自分と桑山千雪その人としての自分について考えることになります。
ここでは、後述する『薄桃色にこんがらがって』反省を経ていて、自らの込み入った悩みの輪郭が分かっていたりすることや、それでも割り切れない思いに寄り添ってやれるプロデューサーなどがとても魅力的です……が、話題になりがちなのは彼女の番組にメールを送った聴取者です。
「おむすび恐竜」を名乗る20歳の人間が、「なんかキモい」のが話題に挙がります。
桑山千雪の冠番組「ベッドルームに立てこもるための魔法の電波 パジャマ・ジャム・ジャミング!」は可愛らしい少女的世界観を有する番組です。
MCを務める桑山千雪もそれに準じた「お姉さん」の立場を取っており、聴取者も桑山千雪の「お姉さん」の立場を弁えたメールを送っています。
このおむすび恐竜は、そんな番組には似つかわしくない「いつも聴いてるよ、千雪」(全文、原文ママ)を送ります。
ユニット──ALSTROEMERIA
「薄桃色にこんがらがって」(イベントシナリオコミュ『薄桃色にこんがらがって』)
『薄桃色にこんがらがって』では、かつて一世を風靡した雑誌「アプリコット」の復刊に際して催されることとなったオーディション、そしてそのグランプリを巡って、アルストロメリアは大きな混乱を経験します。
廃刊となる前の「アプリコット」は、外国のインテリアや映画の特集などを紹介する総合雑誌だったようです。
桑山千雪は、連載された頃の世代だったというわけではないにも関わらず、その雑誌と紹介された世界に憧れてきました。アイドルになってからもしばらくは諦めきれなかった雑貨屋での仕事も、この「アプリコッコット」の影響から志したものだったほどです。
しかし、オーディションを受けるよう「アプリコット」から声がかかったのは、彼女ではなく、大崎甘奈でした。
さらに悪いことに、オーディションを開くものの、イメージガールとなるグランプリの座は、既に大崎甘奈に内定していました。
先んじてこれを知って秘密裏に公正さを確保するよう試みたプロデューサー、状況を期せずして聞いてしまった甜花ちゃん、千雪さんとのオーディションが怖いことを言えないままの甘奈ちゃん、そして、メンバーの二人を不安にさせないための振る舞いから自らの悲しみの理由を誤解してしまった千雪さん……彼女らは誰もが思うままに話せないまま苦しい日々を過ごします。
「アプリコット」の主催者によってグランプリは大崎甘奈であることが確実なものであることが説明され、プロデューサーはようやくこの話をアルストロメリアに伝えることとなりました。
様々に逡巡を覚える彼女たちは、何が起きていたのかを知ったあとでも上手く話すことができません。
そうして、彼女たちは、彼女たちが最後に伝えたいことが言いあえたときのように「反対ごっこ」を始めます。
「のびる、びる」(イベントシナリオコミュ『アンカーボルトソング』)
アルストロメリアのメンバーにもそれぞれのキャリアが生まれてきて、桑山千雪が音楽番組の司会に抜擢されたり、大崎甘奈が化粧品のセルフプロデュースを任されたりしています。
大崎甜花はテレビの向こうの千雪さんや調べ物を頑張るなーちゃんと一緒に仕事ができていないことを気にかけているようです。
そんな彼女自身にも一人での仕事の打診がありました。
桑山千雪は司会業の現場で、大崎甜花はバラエティ番組の初回で、それぞれの現場で上手くいっています。プロデューサーも以前は外に出るのも嫌がったのにと感心すら覚えています。優しい人や周りの見える人たちに囲まれ、自分を慕う後輩までいるようです。
それなのに、大崎甜花には思うところがあるようでした。
SNSもアルストロメリアのメンバーたちがそれぞれに活躍していることを喜ぶ一方で、なかには非難の声もあります。
そのなかで、投稿された過去のアルストロメリア──三人で活動できていたころの彼女たち──の記録はファンたちに尊ばれていました。
気に病んでいたのはアルストロメリアのファンや大崎甜花だけではなく、桑山千雪も三人でいたいと考えていたようです。
何とかして集まって、それぞれの仕事を祝おうとお店に入りました。
けれど話題がそれぞれの仕事の話だったり、忙しい時間の使い方を思って上の空だったりしてしまいます。
そして、彼女らの会は、大崎甜花の誤りから慌ただしく解散となりました。
大崎甘奈は、化粧品の「セルフプロデュース」が企画者に受け入れられず落ち込んでいましたが、これは、それぞれの舞台で成功していく二人を思ってのことだったようです。
三者三様に、それぞれのいつか別れていく道を往くことを苦しく思っていました。
そんななか、プロデューサーは忙しい彼女たちを思って断るつもりでいた、ユニット、アルストロメリアにきた小さな仕事を受けることを提案します。
規模の小さな仕事だったからか、練習はすぐに切り上げられました。
忙しい彼女たちにとっては貴重な共に過ごす三時間を、プロデューサーは自分たちのために使うよう促します。
久しぶりの自由な時間、アルストロメリアは思うままに遊びました。
けれど、間もなく近付いてくる別れの時間、彼女たちは悲しむファンと、そして自分のことを思い、そして、ある写真を撮ることにしました。
「You are.」(イベントシナリオコミュ『YOUR/MY Love Letter』)
2022年度のイベントシナリオコミュです。
パラレルワールドの冒険から、殺人事件に迫るミステリーまで、多種多様なシャニマスのコミュのなかでも、一際目立つ異色の作品です。
本記事の主旨からは外れますが、前提知識がなくても困らないコミュでもあります。
折角なので読んでみれば良いんじゃないかなと思います。
終わりに
本記事では、「必修コミュ」と銘打って、アルストロメリアの語られがちなコミュを紹介しました。
コミュを読んでみれば、アルストロメリアの彼女たちは、複雑な個別の状況のなかにあって、名状しがたい心境を抱えていることの多さが分かります。
彼女たちの雰囲気は「いかにもなアイドル」──柔らかな日向の幸福に溢れているようでいて、それは急速に都市化を遂げた街の人々が心に描いた夢の投影であるようにも感じます。
そして彼女たちも、彼女たち自身が変わっていくことを思い、喪われていった過去を惜しみ、未来を恐ろしく思います。
アルストロメリアの花言葉は「未来への憧れ」……未来を恐ろしく思うほどに、幸せ……。
けれど、それでも私たちは未来へ向かわずにはいられません。時には希望のために、時にはより大きな恐れのために。
アルストロメリアの彼女たちは、その姿と日々をもって、そんなことを示してくれているのかもしれません。