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ことばキャラメル2(異国編)

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写真と短文の梨屋アリエのphoto+文集 part2 今回は、恋愛のテイストを絡めた短文を(がんばってw)つけていこうと思います。 旅先の写真は、アルメニア、ジョージア(グルジア… もっと読む
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反省文

反省文

ことばキャラメル2(異国編)について、
恋愛テイストのことばを入れようと、自分に縛りをつけてみたのですが、頭の中がまったく恋愛モードにならず、毎日毎日なかなかことばが出てこない。
もっとすてきなことを書くつもりでいたのに、いまのわたしは、恋愛がすてきなもののようにはまったく思えず夢も見られず(って、なにがあった?)
当初の見込みが甘かったなぁと反省しきりです。
使う予定の写真も、恋愛にはちょっと向

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見えているもの

見えているもの

存在しないものにひとは恋をする。
恋そのものが目には見えない状態だから。
祝福なのか呪いなのか熱情なのか欠乏なのか、
冷たい海の底の資源を掘り当てる。

アルメニアの秋

アルメニアの秋

この先あの二人にも訪れるのであろう
秋の日を思う。
秋に曇り空は似合わない。
硬質の晴れ空か、
煙るような白い雨。
刻々と色を変えていくものたちが
安らかでありますように。
飛び立つ鳥を見守りながら、
たぶん今わたしたちも幸せと
ちょっと微笑んで、
互いに確認したくなってしまう。
そんな季節が、酷暑の後に
やってくるって願います。

棒人間の恋

棒人間の恋

棒人間が恋をしたら、
100%踊り出す。
棒人間の体では
踊る以外に、恋する気持ちを
手放さないでいられる方法がない。
それで一万年間踊っている図。

フルーツを探すならフルーツのあるところへ

フルーツを探すならフルーツのあるところへ

欲しいものが何か知っているなら、
欲しいものがある場所に行けばいい。
あれがほしい、と浮かばないときは、
どこへいけばいいのやら。
探しものは、欲しいもの。
なにを求めているかさえわたしにはわからない。
だから恋の果実も見落して、
なんにもないなあって灰色の道を戻っている。

聖なる火

聖なる火

地中から噴き出す天然ガスが、
太陽熱であたたまった大地の熱で
自然発火してるのだって。
燃えるものなんて何もないはずの場所で、
オレンジの炎がおどる。風が吹いても消えることなく。
超自然的な意味を古代の人がみたのもうなずける。
恋の火も、こんな感じにつくのかな。

閉ざされたとき

閉ざされたとき

閉ざされたとびらを叩いてはいけない。
新しい関係をはじめるのだと考えよう。
こじ開けてほしがっているなんて、
思わないで。
暴力で壊されたとびらは、永遠に開かない。

外の気配を気にしているとしても、
それをしているのはあなた自身ではない。

ピリオドは、永遠の別れではない。
外にいる人にできることは、
その扉から離れ、
新しい章を書くために、
新しい文を書き出すときの言葉を
じっくり探すこと。

陽ざし

陽ざし

広い公園を歩いていると、
じぶんが何者かわからなくなる。
ひまわりの葉の上を探検しているありのように、
自分と世界の縮尺が違って感じるから。
太陽だけが見方です。
あの人に微笑まれることを陽ざしに代わりに
働きありはせっせと教会の屋根までよじ登ります。

でこぼこの路地

でこぼこの路地

必要な人しか通らない
でこぼこの道がある。
日陰のかたちもでこぼこで、
砂利はむじゃきに転がっている。
平らになるより大事なことを、
でこぼこ道は知っている?
不便さは不自由でなく、
恥じることでもない。
片思いと同じね。

再現

再現

崩れ落ちた石を積み上げ
遺跡は形を取り戻す。
その窓から見える景色が
過去を映すことはなくても。
形だけでは取り戻せないものがある。
それでも、形は必要なのだ。
すべてが終わったことだとしても。

きざし

きざし

雨の後の湿った空気が
わたしの肺を洗ったのか、
呼吸の乱れは落ち着きました。
鼓動だけが、まだすこし
後を引いていて、
離れた場所から
きらきらした遠くのきみと
つながっています。

一緒に歩く人

一緒に歩く人

だれかと一緒に
ゆっくり歩く時間を
作れていない。

忙しく歩いて行く先に
きょう会わなければならない人がいて
あすの予定も決まっているから。

それでふと、
だれとも話してなかったと知る。
だれの言葉にも耳を傾けていないと。

早足で歩き続ける人と
交わせる言葉は限られている。
やわらかな恋を連れ歩くには
みんな足が速すぎる。

とおくへいこう

とおくへいこう

きみのそばにいたいよ
なのにいつも
とおいまちのことを思っている。
きみのそばにいながら、
とおいまちの
雑踏や生活の音を感じている。
その自由があるから
わたしはきみのそばに
ずっといたいと思うんだ。

過去を引き連れて

過去を引き連れて

自分にはなにもないと思っていたのに、
振り向けば過去が連なっていた。
どこかに置いていく方法があるかもしれない。
さっぱり切り離してもいいかもしれない。
迷いながら、のろのろ進んで、
そういうのもわたしだからって考える。