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「奇界遺産」感想①奇妙と普通の差

【ブログからのお引越し記事】

七十二候は土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
今日から数回に渡って、『佐藤健寿展 奇界/世界』の考察日記といきましょう。

『奇界遺産』というタイトルの写真集を3冊出されているのだけど、その展覧会。
今は高知で開催中みたいです。
お近くの方は是非。
私は溢れ出る海外行きたい欲に溺れそうになりました。
ああ、なんて世界は面白いんだろう。

奇界遺産というだけあって、奇妙さを写真に切り取っているわけなんだけど、その「奇妙なもの」は、誰かにとっては「普通」のこと。

そんなようなことがイントロダクションのパネルに書かれていた。
奇妙と普通の境界。
そんな世界を知ることで、自分の世界を広げる。

世界を知り、視野を広げる。
社会通念としてよく言われることだけど、その意味を少し咀嚼できた気がする。
でも、実際にはそれを経験として体で咀嚼、つまり体験しなければ、意味がないのだけど。

例えば、中国には洞窟で暮らしている集落があるそうで。
その名も中洞村。覚えやすいね。
ある時、国が良かれと思って、あるいは文化統一という名の元か、一般的な住居に移住させたそう。
でも、彼らは洞窟の方が暮らしやすい、と言って戻っていったそう。

文明と技術の発展の恩恵を受け、便利さに甘えながら生きている私たちにしたら、洞窟の中での生活なんて奇妙で不便そう。
でも、洞窟生活に馴染んだ人々にとってはそれが普通であって、私たちの普通がむしろ奇妙に映るんだろうなあ。

至極便利なエリアに生まれ育った私には、例えば雪国に住む人達を見て、どうして雪かきの苦労を背負いながらも・・・?と思ってしまうわけだけれど、そういうものなのかなあ、となんとなく納得。

ちなみに、洞窟と聞いてイメージするそれではない。
なんか、ドームのような空間。
佐藤さんの写真で見ただけしか分からないけれど、とても広そうだった。

そんな中洞村と逆にいるのが、後頭湾村。
何が逆って、こっちは廃村。
かつては漁業で栄えたそうだけど、より良い暮らしを求めて人々は移住していき、15年前に廃村となったそう。

そうして人々がいなくなった家々は、すっかり苔に覆われている。
その景観が美しく、中国で最も美しい無人村として人気らしい。

同様に、放置された、abandonなもの代表と言えば、軍艦島。
その写真もあったのだけど、それと並ぶと紹介されていたのが摩耶観光ホテル。
まさかの身近に、そんなスポットがあったなんて。
よし行ってみよう!とは思わないけれど。

他にも面白い発見がたくさんあるので、この話続きます。
ごきげんよう。



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