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【本の紹介】打越さく良・佐藤倫子編『司法の現場で働きたい!』

DV・虐待、離婚後共同親権の問題を考える上で、おすすめしたい本の紹介です。
元ツイこちら(一部、加筆修正しました)

打越さく良・佐藤倫子編『司法の現場で働きたい!』
岩波ジュニア新書(2018年)

岩波ジュニア新書なのでわかりやすくて、子どもにも大人にもオススメです(図書館にもあると思います)
そして、DVと「離婚後共同親権」を考える上で、シェアしたい箇所がいくつもありました。

「声の大きい者が勝つ」世界にならないように。

司法を否定する「場外乱闘」がまかり通っている今こそ、裁判所が存在する意味を再確認しておきたいと痛感します。

≫いざ裁判所で解決することになった場合、一方の主張だけに肩入れすることなく、証拠に基づいて事実認定をし公平な判断をする裁判官がいなければ、「声の大きい者が勝つ」といったことになりかねない。裁判所は、少数者の人権を擁護する「最後の砦」といわれます。

打越さく良・佐藤倫子編『司法の現場で働きたい!』

DVでつらい思いをする子どもたち

以下は、DV・虐待被害者の方は読むのがしんどいかもしれません。
(ごめんなさい、無理せずに読み飛ばしてください)

「面前DVは子どもへの虐待」ということを、より多くの方に感じ取っていただきたく、引用しました。
「夫婦関係と親子関係は別」「子供のことを一番考えるのは実父母のはず」という言説は、DV・虐待の被害者をさらに苦しめるだけです。

◇DV被害者と子どものために
≫お母さんをお父さんが殴ったり蹴ったりする。多分、私に気をつかってはいるのだろう。私がふとんに入った後にお父さんがお母さんをしつこく責め始め、お母さんが言い返すとお父さんのどなり声が一層大きくなる。耳をふさいでも、聞こえる。
≫そして、鈍い音とともに聞こえるお母さんの悲鳴。何が起きているのか分かるから、私だって生きた心地がしない。翌日、お母さんの顔や腕にあざができていた。お父さんにおはようって声をかける気もしない。そしたら、「お前までオレをばかにするのか!」と肩をつかまれ思いきり揺さぶられた。
≫まだイライラしているみたい。大きな音をたててドアを閉めて出ていった。もう本当に嫌だ。でも、パートで働くお母さんは、「私ひとりではあなたを養えないから」と我慢している。夜も眠れず食欲もないみたいで、ふらふらしていて心配だ。私自身も眠れない。
≫私がいるからお母さんは出ていけないのか。生まれてこなければよかったとこの頃思う。

打越さく良・佐藤倫子編『司法の現場で働きたい!』

あなたと同じ年頃で、こんな思いをしている子どもがいる。あるいは、あなた自身がこんなふうに悩んでいるかもしれない。

 「配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者から振るわれる暴力」をドメスティック・バイオレンス(DV)という。私は、DV被害者からの相談をたくさん受けてきた。こんなつらい思いをした子どもが少なくないという実感がある。

打越さく良・佐藤倫子編『司法の現場で働きたい!』

こういう経験をしてきたDV・虐待の被害者、そして代理人を受任してきた弁護士が、離婚後共同親権に強い懸念を訴え続けている、ということを、多くの方に知っていただきたいです。

DV加害者による弁護士への攻撃

そして、DV被害者の代理人弁護士は、加害者から攻撃されることも珍しくありません。離婚後共同親権運動で起きていることとそっくりです。

時には、今まで自分の思い通りになった被害者が離婚を言い出すなんて、こいつが焚きつけたに違いない! と被害者の代理人弁護士に敵意と復讐感情を抱いてしまう人もいる。私自身、電話で怒鳴りつけられるのはまだいいとして(愉快ではないが)、裁判所内で加害者から罵声を浴び追いかけられたこともある。加害者である相手方からネット上であることないこと、悪口を書かれたりもする。

打越さく良・佐藤倫子編『司法の現場で働きたい!』

長くなりましたが、DV・虐待と離婚後共同親権について考える一助としてしていただければ幸いです。

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