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調香は練習するだけではなくて商品を作って販売した方が良いと思う理由。

aromablendbarの調香師の和崎です。

僕が初めて調香をスタートした時は運営するオーガニックサロンのヘアケア商品の開発がきっかけでした。

どこにもない、究極に良い香りのオリジナルのヘアオイルを作るべくまずは資格をとり、アロマ調香を学びました。

そしてまず僕が最初に作った商品がこちら。
Better Milk


イランイラン
ジャスミンサンバックアブソリュート


と言うとてもシンプルなブレンド。
販売を開始してから5年以上経ちますがもうこれしかシアバターは使えない 
と言う方が沢山いるほど人気な香りとテクスチャーです。

香り作りを学んだ時からすでにシンプルである事を目的としていました。

イランイランの濃厚な花の蜜の様な香りにジャスミンの華やかさ、シアバターをあえて溶けやすい作りにしておく事で肌に馴染みやすく、馴染んだ瞬間にフローラルな香りがふわっと広がる、
これが癖になるわけです。



ヘアケア製品は基本的にトップからラストまでの香りを意識する必要がないと思っています。


またヘアケアには合成香料は一切使わないというこだわりがあります。
身体につけるのと違い髪の毛や顔は最も鼻に近いところで香りをダイレクトに感じてしまいます。
使い方によっては合成香料を入れても良い香りにはなりますが"心地良さ"を一番に考えるとやはり精油にこだわるべきだと考えています。



次に開発したのが寝る前に使うオイルを目的とした
Sleep Oil



オレンジスイート、ベルガモット、イランイラン、ラベンダー、シダーウッドアトラス。

こちらもトップノートを意識して柑橘を入れたのではなくシダーウッドの甘く、濃厚な樹液の様な香りに柑橘の爽やかな甘さを足す目的でブレンド。

そしてラベンダーとイランイランのフローラルな香りが柑橘を含んだ甘いウッディーな香りを更に優美な香りへと導くアコードとなっています。


先ほどのバターミルクもですが精油の賦香率を3%とかなり高めにしています。そのためパルファムくらいしっかりと香ります。
通常は1%未満が基本ですが、精油の香りをしっかりと引き立てるためにも他のオイルとは違った濃厚な香りの立ち方を意識して調香をしました。


そして次は洗い流すタイプのトリートメント

Earl Gray hair musk


ベルガモット、ローズウッド
このシンプルなブレンド。


紅茶系のヘアケアなどの製品で良くあるのはブラックティーの合成香料(ベルガモット調の酢酸リナリルやリモネン、エチレンブラシレートなどのムスク、リナロール、シトラス系香料)などで作られた香りを香料として使う事が多いです。
低コストで強い香りを出せるためです。

ですがこの僕が作った香りはベルガモットとローズウッドの2種類のみ。

ローズウッドにも含まれるリナロールは茶葉のようなニュアンスを出してくれる事と、フローラルなニュアンスがほのかにありそれもまたベルガモットと相性が良い事。

ベルガモットも、皮の苦味のような要素があるものを選びました。

こうする事で髪の毛につけるといれたてのアールグレイの香りがふわっとして、一瞬で心地良くなります。
流した後はあまり香りは残りませんがこれもまた、次につけるオイルの香りを邪魔しない事と心地よさを追求しました。



そして一番新しい商品が
Jasmine Bouquet



ジャスミンの香りをメインとしたものを作りたかったのですが天然のジャスミンの香りは種類にもよりますが単品だと少し癖を感じるものが多いです。
ヘアケアの場合それらの角を少し柔らかくするためにこんなアコードをとりました。

ジャスミンサンバックアブソリュート、ガーデニアアブソリュート、イランイラン、バニラアブソリュート、スペアミント

分かる方には分かりますがこれを30gに対して3%も精油を配合したら原価率が心配になるほどの高級精油揃いです。

ガーデニアアブソリュートには蜂蜜のような甘さがあり、それとイランイランを合わせるとエキゾチックさもある柔らかいフローラルな香りが作れます。

それとジャスミンサンバックを合わせてフローラルアコードを。
バニラアブソリュートにはココアのような甘さにほのかなバルサミックさがあります。

そこにスペアミントを本当にごく僅かブレンドする事で重すぎない、でもまったりとした甘さと濃厚さのあるとても心地良いジャスミンの香りを完成させる事が出来ました。

多分最も試作回数の多くなった、時間のかかった商品でした。
これらの商品はここから全て購入可能なのでぜひチェックしてみてください。


もちろん合成を使っても同じような香りは作れますが、精油が肌や髪の毛に与える効能って(薬事法によって、あまり色々と書けませんが)とにかく凄いんですよね。

だからこそ合成香料よりも時に危険なものでもあるわけです。

と言うことを合成香料を学んでからより気がつく事が出来ました。

そしてアロマの調香から始めたことで気がつくのが、香水として作ろうとすると何かが足りないと感じる部分です。
香りの奥行き、広がり方、持続性、表現は合成香料無くしては絶対に難しいです。


調香師としての仕事を目指している方はまずはアロマから学び、天然香料の美しさを学ぶことをオススします。

そしてヘアケアの販売はハードルが高いですが、化粧品登録の必要のないアロマキャンドルやルームスプレーなら誰でも簡単に販売が出来るので自分が想いを持って調香した商品を販売した方が良いです。

調香の練習をするだけではなくて自分がこだわって作ったものを買ってくれた人がどんな反応をしてくれるのか、どんな気持ちになってくれるのか


この様に実際に調香した物を作って売る、反応を見る、次の目標を見つける
と繰り返す事で僕は合成香料を学ぶことに辿り着き、香水の販売を決めました。


来年はaromablendbarのポップアップも開催予定。
もっともっと、頑張ります。

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