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わたしの『バラと飛行船』の香り

それは、突然。
【セリフ】という意味をもった音がまっすぐ響いて胸を震わせ、涙が思わずこぼれ落ちました。

『星の王子さま』のオマージュ作品「バラと飛行船」の舞台終盤でのことです。


会場になっていたその名も「元映画館」は、ステージと客席が超がつくほどの至近距離。
その距離の近さそのままに、役者さんたちの緊張も伝わってきて、知らず知らずのうちに、息をひそめたり手をぎゅっと握りしめていたり(笑)
距離が近いと、気持ちもグンと近くなるものなのです。

約30年前に閉館して以来使われていなかった映画館を、イベントスペースとしてリニューアルオープンさせた空間は、桟敷席にバーカウンター、天窓に星が見えるような装飾がしてあって、建物自体がまるで舞台装置のようでした。

天窓にスクリーン。会場に入った瞬間異空間へ!


そういったシチュエーションと、ストーリーの積み重ねがピークに達して冒頭のような状態になったわけだから、「突然」ではないのですが、自分としては嗚咽をもらしそうな泣きっぷりだったので、本当にびっくり!

まぁ、いささかお年頃による情緒不安定さはいなめないのだけれど(笑)


故障した飛行船が不時着した砂漠を舞台に、導きを求め、彷徨う人々の姿を描く不条理劇。

「バラと飛行船」サイトより

​今回のお芝居の概要です。
そう、不条理劇。人は(大人は)自分が見たいものだけを見、聞きたいことだけを聞き、お互いわかったようなつもりになっていても、その実全然違うこと言っている。

そして、声が大きい人の意見が「正しいこと」としてまかり通る世の中の矛盾を、船長、乗務員、郵便屋、道化師夫婦たちのワチャワチャで見せられ、
原作の「ヘンテコな大人たちの世界」を思い出しました。


そういった生き辛さのようなものに、ひとり残された操縦士の圧倒的な孤独が重なって、「ああ、寂しいなぁ」と思っていたら。

彼は覚悟を決めるのです。

たとえ今は、この砂漠でひとりぼっちだとしても、かけがえのない飛行船を携え、もう一度空高く飛ぶと。
そこからは、こことは違った景色が見え、自分を必要としてくれる人たちが待っているかもしれないと。

人はどうしようもないくらい独りであること。

その哀しさとともにありながら、光を求めようとする姿に泣けてしまったのだと思います。そう、嗚咽するほどに。


そして、私も光を求める者でありたいと願いました。

わたしの「バラと飛行船」の香りは、操縦士を讃える香りです。


<読むアロマ「バラと飛行船」ブレンド>

・レモン
・ティートリー
・エレミ
・パイン
・ミルラ

レモンは希望の光。飛行船で飛ぶ空を包む香り。自分を信じる強い意志をもたらす。

ティートリーは芯のあるクリアなイメージと、オイルを思わせる香りから飛行船とリンクさせて。傷や風邪などあらゆる手当に対応する現実的な側面をあわせ持つ。

アラビア語で「上と下」の意味を持つエレミ。地上と天空をつなぐ操縦士の道しるべ。

そしてパイン。樹高40mになるマツ科の針葉樹。まっすぐ伸びる幹は帆船のマストとして使われた。自分を支える背骨であり大事な軸。迷いなく天を目指せるように。

ミルラは東方の三賢者がたずさえた香りのひとつ。語源に「苦み」の意味を持つ砂漠に育つ植物。エレミと同じく「天」と「地」、「夢」と「現実」をつなぐ架け橋。



そしてそして、今回は「紙とゆびさき」さんによる美しい手製台本からもインスピレーションをいただきました!

手製台本「操縦士」ver.

登場人物それぞれのイメージで装丁された本は、まさに「読むアロマ」の世界観と通じるところがあり、本当に感激しました!


「見つけてもらうのを待つのではなく、自分が探しに行く」と決めた操縦士がどこまでも飛んでいけますように。

そんな想いを込めたブレンドになりました。


#バラと飛行船 #演劇企画ニガヨモギ #舞台 #読むアロマ #アロマセラピー #元映画館 #紙とゆびさき


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