病院薬剤師は病院経営に貢献できるのかを考える 〜その1〜

本記事は、医療従事者向けに記載をしております。また、本記事の内容は、私の所属している施設などとは一切関係がないことを併せてご承知の上、記事をご覧ください。


はじめに

薬剤部の管理者的な立場 (ナンバー2)になって1年以上が経過した。

2020年下半期に、病院薬剤師をテーマにしたドラマ (アンサングシンデレラ)が放送されていたが、本ドラマの放映により、薬剤師や病院薬剤師に興味を示す一般の方々も多くなったのではないか。

私自身、管理者的な立場になる以前は、病院薬剤師のプレイヤーとして現場の仕事 (調剤、病棟業務、チーム医療など)のうち、臨床的に関わるような業務を中心に行っていた。
現在は、管理者的な立場として、プレイヤーとしての業務を行うことよりも病院経営のことに関わっていく必要がある。

病院薬剤師が行う業務は、我々が学生の時 (約20年弱前)に大学で教えられていた業務とは大きく変わってきている。病院薬剤師の役割は、病院の中では非常に大きくなっていると実感をしている。

例えば、我々が学生のころには、病院薬剤師といえば、外来調剤を院内処方として調剤していた施設が多かったが、現在は、多くの施設で外来処方は院外処方へとシフトしており、入院患者さんに対して行う業務に大きくシフトをしている。

入院患者さんに対する業務としては、前述のとおり、業務を充実させている施設が多くなっている。
我々が薬剤師免許を取得した2000年代前半は病棟業務は過渡期であり、病棟業務をやっている施設、やっていない施設があったし、その内容も施設により様々であった。また、2000年代後半になると、前述の病棟業務の状況に、薬剤師の病棟常駐業務 (1日の大半を病棟で業務を行うこと)を行っている施設が出てきたりしていた。その際のエビデンス (薬剤師による病棟常駐業務の臨床薬学的なアウトカムを証明したデータ、医療費削減、安全性の向上など)を基に、2012年からは、診療報酬として、病棟薬剤業務実施加算が新設された。この加算は、実質、薬剤師の病棟常駐化に対し、診療報酬が認められ、病院薬剤師の病棟業務の価値が認められた時でもあった。

近年、病院薬剤師の業務は多岐に渡る。しかし、直接の診療報酬が認められている業務だけではなく、診療報酬が認められていない業務を行っているケースもある。また、診療報酬が認められていても、それを行ったからといって薬剤師1人の人件費も賄えないようなものも、もちろんある。

我々、病院薬剤師が病院経営に対して、いかに貢献ができるのか、400床規模の病院を想定し、その費用対効果を少しずつ考えていきたい。
そんな内容で何回かのシリーズとして記事を書いていきたいと考えている。

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