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作り続けて12年 リアルなぬいぐるみ作家Astronutsさんにインタビューした

こんにちは、Art isの里見優衣です。

ART FAIR TOKYO2022で、台湾のギャラリーAdmira galleryさんのブースで、すごく独特なぬいぐるみを見つけて、思わず一目惚れして作家さんに猛アタックしてインタビューしました〜!

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■Astronuts氏
シュルレアリスム(超現実主義・無意識の世界)の思想に影響され、
本来、互いの現実関係が遠いもの・交わる事がないものを、
無意識による偶然的配置、造形を行っています。
その中でも、作品への擬人化・動物の造形の現実的な部分を取り入れ、
作品に生きている要因を与えることで、
夢と現実の矛盾した状態の肯定を表現しています。
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(根矢)今回撮影と、一緒に取材をさせていただきます。根矢と申します。

ー初めまして! 趣味でアートのNPOをやっている里見です。

Astronutsです。元々、デザイナーの専門学校に行って、ファッションデザイナーとして働いていたのですが、社会に拒絶されたような感覚、使われる感覚になって、5ヶ月で辞めました。専門のときに、生地を作る授業で「服以外のものを製作する」という課題があったのですが、ぬいぐるみを作ってみたところ、周りが「可愛い」と言ってくれた記憶があります。そこで、ファッションデザイナーを辞めてから、ぬいぐるみを作りを始め、12年が経ちました。

ー新卒5ヶ月で辞めて、12年間ぬいぐるみ作りって、すごいですね!!!

そうですね。最初は今のような形でなく、普通のぬいぐるみだったんですけど。目もボタンで作っていました。だんだんと、恐怖を感じる要素を入れてみたくなりました。人形の目だったり、つけまつげだったり。それで6、7年前に東京ビッグサイトの「第23回ホビー大賞」でユニーク賞いただいたり。台湾のギャラリーAdmira galleryさんと契約するご縁を頂きました。

ユニーク賞!確かにユニークなお顔の作品ですもんね。今まで作った中での、代表作・お気に入りの作品はありますかね?

Ginzaシックスのパンダですかね。

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(根矢)子供のトラウマみたいな感じな作品! 撮影していて、ぬいぐるみを撮っているというより、人を撮っている感覚になります。肉厚感、血が通っている感じがします。

ーちなみに、ぬいぐるみに付いているのは、押し花ですか?

本物の花です。今までとは違うことをやってみたくて!

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ーなんで押し花をつけようと思ったんですか?

造花だと魅力を感じず、生きているもののリアルを求めた結果でした。ぬいぐるみを作りたくても、業界にいると「これだめだよ」みたいに、正解を求められることがあって、窮屈で。子供の頃、学校の美術の授業などで「これだめだよ」って言われていた固定概念を壊して、小学校に入る前の生まれたままの、素の自分に戻るような? 子供時代にかえるようなことをやりたく。まぁ自分の作品は、子供ウケ悪いんですけどね(笑)

(根矢)確かに、学校や社会生活に触れると、守らないといけないルールとか、これはこういうものだ、みたいに余計な決まりごとがくっついてきますもんね。

ーぬいぐるみにコンセプトってあるんですか?

ギャラリーの人にもコンセプトがないって言われる(笑)
「コンセプトがないからアートじゃない」って言われたこともあるんですよね。「すごいものを作りたい」じゃダメなのか・・・と思ったりもします。でも、自分は辻褄あわせのコンセプトが好きじゃないんですよね。無理にコンセプト作る必要はないかな〜って。

浅井健一さんが好きで、歌詞が独特なんですけど、インタビューされている時、「なんでその歌詞にしたか?」と聞かれると怒るらしく(笑) その気持ちは自分と似てるのかなって思います。

ーリアルにしたいと言う気持ちはどこから出てくるんですか?
うーん、いつも考えているんですけどね。自分も見たことがないものを作りたい。

ー1体にかかる製作期間は?

2週間かかります。顔が難しく、4日間ほど。まつげの出し具合が大変で。また、目も人間らしくしたい。ちょっと瞼があるところとか。そこに時間かかりますね。

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ーぬいぐるみの制作場所はどんなところですか? また、こだわりはありますか?

アトリエで製作しています。業務的なアトリエで、蛍光灯でよく見える場所。自分の作品は間接照明で見せると雰囲気が出やすいんですけど、それじゃダメだなって。どんな光の下でも綺麗な作品であるように。


ー影響を受けた作家さんや作品はありますか?

ケイト・クラークさんの作品に衝撃を受けました。それは剥製だったのですが、自分の作品(ぬいぐるみ)に置き換えたとき、生きている感じを出してみたかったです。

ーどんなふうに製作するのですか?

今回は、ミリタリーシャツで作成しました。
古着の布が最初で、その服を解体して作ります。そうすると、生地のダメージが良い具合になったり、色の濃淡が出てきます。それで縫合するときは、わざと裏のワタを出しちゃったりしながら製作しています。ギャラリーの人には、「もっと綺麗に縫合して」と言われたり(笑)

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(根矢)人が手放したものに命を与える感じいいですね。

ー動物ってどんなものを製作するんですか?

ウサギとかクマが多いですね。可愛い動物は選びやすい。それをちょっと怖くしたい。

スタッズも使ったりします。パンク系のお店から買って、サビさせます。鳥の作品とかそうかも。これの下は、アンティークのキャンドル立てを使いました。

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ー制作活動をしていて嬉しいときは、いつですか?

できた瞬間かな。でも3日くらいしか保たない。
すぐに新しいのがイメージ浮かんじゃって(笑)「次にとりかからなきゃ!」みたいな気持ちになります(笑)

(根矢)なるほど。次に生み出されるのをたくさんの動物たちが順番待ちしているんですね(笑)ある意味での出産のような。

ー制作活動をしていて辛いとき、苦労したとき

やっぱ、作ることが大変ですね。
できた光景のイメージが浮かぶが、そこまでの過程を考えると嫌になる。でも誰かにやってほしいわけじゃないから難しい(笑)全部1人でやります。

ー制作活動を続けていく上で困っていることは?

SNSですかね。頑張りたいですけど・・・
目をこうやって作っています、って裏側を載せるのも違うし、かと言ってできた作品ばかり載せるのもなぁと考えます。

ー大事にしている価値観はありますか?

今年41歳なんですけど、精神年齢が小・中学くらいでとまっています(笑)
子供っぽいものを取り入れたくって。今度はスーパーボールとか、子供の頃使っていたものを使って、タイムスリップするような懐かしさも。子供のときの感覚は大切にしています。

ー人生のターニングポイントはありますか?

静岡から普通の地方の大学に進学しました。その頃は服ばっかり買っていて。大学3年のとき、「自分は服を買い続けるか? それとも服を作るか?」と考えて、大事にしていた買った服を全部売り払い、東京に行きました。奨学金500万くらいを借りて、4畳半のアパートに住んで。服を犠牲にしてお金まで借りた分、専門でめっちゃ勉強しました。

ーそれは、結構な決断ですね!

そうですね。自分は、ある意味、「怒り」みたいなものが原動力なのかも?

会社に入った時も「3年は我慢だ」って言われ続けて。でもアパレルは相当辛くて。PCの前にいると、ストレスでPCがグルグル回っちゃうぐらい、そのときは精神的にやられてましたね。それで会社辞めてぬいぐるみ作っているので・・・やっぱり原動力は「怒り」かもですね(笑)

(根矢)Astronutsさんのこれまでの作品を並べたら、その時の怒りや感情、想いのアルバムのようになっているのかもしれないですね!

ー今後の野望はありますか?

めちゃくちゃでかい作品を作りたいです!目が大きくなると印象が変わるので難しい。また製作も難しいですが。

ーあなたにとって、作品はどんな存在ですか?

「分身」ですかね。

■里見コメント
新卒で入った会社を5ヶ月で辞めて、12年もぬいぐるみ作りをしているのは、尊敬しました。一度目にしたら忘れられないぬいぐるみの見た目、大好きです! 新しい命を生み出しているようで、インタビューをしていてぬいぐるみ製作に興味が出てきました。ありがとうございました!

ー今回、写真撮影をお願いしたのは、女優の「根矢涼香」ちゃん! ありがとうございました!

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