トマス・ベケット Thomas Becket 1118年12月21日 - 1170年12月29日 イングランドの聖職者・カンタベリー大司教

トマス・ベケット Thomas Becket  1118年12月21日 - 1170年12月29日

カンタベリーの大司教トマス・ベケットを亡き者にした国王ヘンリー2世が
ベケットの「祟り」を恐れて、カンタベリー大聖堂への巡礼を呼びかけて以降、
「聖地」カンタベリーへの巡礼が隆盛を極めたとのことで、

(「祟り」という概念は日本独特の古代からの観念だとの見解が有りますが )
日本以外の権力者も「祟り」を恐れたことの史的論拠と言えるかもしれません。

戯曲では、
シェイクスピアの「マクベス」や「ハムレット」で政争に敗れた人の亡霊が出てきますし、
「リチャード三世」では主人公自身が葬り去った霊たちの言葉に苦しめられる場面が有りました。

「祟り」と言うのは、キリスト教的な「神罰」とは違う概念なのでしょうか。

「カンタベリーへの巡礼」というヘンリー2世の対応に、
( 普遍的な神への「懺悔」とは異質の )「具体性」が有るので、

《ヘンリー2世は「トマス・ベケット」からの「固有の祟り」を恐れた》

という見方となるのかもしれません。

ベケットを亡き者としたことは王の意図するところで無く、
教会を支持する民心の離反を王が恐れたという見方も有りますね。

教皇に皇帝が詫びを入れたという、1077年の「カノッサの屈辱」を連想しますが、
あちらは実態としては教皇の「実権」は皇帝と比して弱く、
大げさに伝えられた潤色だと近年見られているそうなので、

このヘンリー2世の方が、むしろ「カノッサの屈辱」的かも。


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(12月20年3月21年10月更新。随時更新)


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