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マックス・ヴェーバー Max Weber (1864年 - 1920年) の誕生日 (4月21日) 独 政治学者・社会学者・経済学者

マックス・ヴェーバー Max Weber (1864年4月21日 - 1920年6月14日) ドイツの政治学者・社会学者・経済学者

「神に救われる人間はあらかじめ決まっていて、善悪の行動は関係無い」 「神は人間の善悪の行動では動かされない絶対的な存在」とするジャン・カルヴァン Jean Calvin (1509年-1564年) の予定説が、
プロテスタントのカルヴァン主義だった地域 (オランダ、イギリス、アメリカなど) での資本主義の
 (カルヴァン主義以外のプロテスタントの地域や [※1]、予定説が否定されているカトリックの地域以上の) 成功と関連があるとする「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」Die protestantische Ethik und der 'Geist' des Kapitalismus (1904年-1905年) は岩波文庫で読みましたが、

この思想的根拠、「予定されているからこそ人々は、救われている者が『ベルーフ』Beruf (独語 : 天命、職業) に於いてそうであるごとく、勤勉であろうとする」という認識が何度見聞きしても分かりにくく、
ウィキペディアでの「原因と結果の逆転」という論説を見て、
そうとしか言えないよね、と感じたくらいです。

ユダヤ系の作家・評論家シュテファン・ツヴァイクがヒトラーの支配と類比した、
カルヴァンによる1541年から終生続いたスイスのジュネーヴ [※2] での「宗教政治」も、火炙りの異端裁判など、
被支配者たちに大きなプレッシャーを与えたでしょうから、
そこでの「予定説」と「勤勉」の関係も、内面的思想的なものというより、
抑圧的な指導者の前で、「自分が救われる人であることをアピールし、指導者に認められる」という世渡り的なものだったと考えると分かりやすいのでは。
そもそもカルヴァンが、主著「キリスト教綱要」(1536年-1559年) で「職業は神からの召命」などと「労働」の「価値」を強調しているので、カルヴァンの支配時のジュネーヴにおいては、彼の言葉に従っただけなんでしょうね。

「資本主義の成功」との関連で論じられる「蓄財」に関しても、
まずカルヴァンが公に認めているのであって、
原因としては、ごく単純にそれでしょう。
勿論、皆がカルヴァンの直接の支配下にあったとは言えませんし、
なぜカルヴァンが認めるに至ったかの部分は、思想的な背景を読み取れますが。
これらのフレーズからはカルヴァンの、むしろストレートな権力的「意図」を感じます。



※1
相当するドイツの「プロテスタント」創始者マルティン・ルター Martin Luther   (1483年-1546年)も、
人の行動でなく「神の恩寵」を重視するスタンスを取っていて、
これは後のカルヴァンの予定説と結果的に大差無い感じがしますが、
ドイツは、ここでは「資本主義が成功している所」に含まれていないようです。

※2
スイスのチューリヒの宗教指導者フルドリッヒ・ツヴィングリー Huldrych Zwingli (1484年-1531年)は
ルターやカルヴァンと異なり「人の行為も神の救いに影響する」とのスタンスであり、
その影響はどう見られるのかと思い、ここに覚書的に記しておきます。


カルヴァンは「聖書のみ」をモットーとするプロテスタントに属します。
一応私は旧約聖書、新約聖書を日本語訳は全て通読しましたが、
カルヴァンの言う「予定説」的な記述は記憶にありません。


(21日22日25日更新)


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