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絵本制作は掛けがえのない創作の喜びと不思議な『魂の共時性』を体験できた。 雷無良寿



絵本が生まれる瞬間とき


 虹を見つけるとつい写真を撮りたくなってしまう私です。これまでにも、ベストチャンスというような場面に出くわしたのに、カメラがなくて悔しい思いをしたことが何度もありました。しかしこの時はちゃんと持ってたんです。

 晩秋の京都、雨が上がって夕刻近くの鴨川の河川敷に虹が二重に掛かったんです。私は夢中で何枚も高速シャッターを切っていました。しかし次の瞬間、にわかに風が巻き起こって、川沿いの散歩道は見るまに暗くなり、辺りのものや空気までも激しく攪拌かくはんし出したんです。

 私はもはや目を開けていることもできず、首をすくめて風に背中を向けて、この小さな嵐が通り過ぎるのを待っているのがやっとでした。短い時間でしたが、それ位派手に風は荒れ狂いました。その迫力の凄さに負けた私は 嵐が収まると、無抵抗にまた前を向いて歩き出しました。この小さな事件はその後すっかり忘れてしまっていたはずだったんです。

 ところが、自粛生活が一年を超えた頃でした。ぼんやりと昔の写真を眺めていた時に、たまたま、その中の一枚に目が止まりました。

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