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たった4年のギャラリーおかみ②


アートや美術とは全く関係ない世界にいた私が、なぜかアートギャラリーを立ち上げて、そこのおかみとして孤軍奮闘した4年間の事を記録します。


物件

何が大変だったかというと、ギャラリーの拠点となる物件探しでした。

レンタルギャラリーとはいえ、お客様が足を運びやすい街中にあり、駅近、通りがかりに目につきやすい1階であること。広さは、作品を展示するスペースと控え室、収納場所があること。そして、家賃はなるべく抑えたいこと。などいろいろ考慮しながら仲介業者さんに探してもらっていました。

自分でも、敵情視察として既に活動しているギャラリーに足を運んでお勉強させていただきました。

ある日、近々閉店するというギャラリーを見に行ったときに、

「ぜひここを譲ってください」

と場当たり的にお願いした事があります。そこは2階でしたが、前面ガラス張りで、奥の事務所まで入れると広すぎるほどの面積でした。オーナーは画家さんで、自分の作品もたくさん置かれており、倉庫がわりとしても活用しておられる様子でした。いろいろお話しを聞いた流れで失礼にも収益関係をお尋ねしたら、

「借金だらけですよ」

とのお言葉。やはりギャラリーで収益をあげるのは難しいのでしょうか?

結局その話はお流れになってしまいましたが、初対面の方と商談するなんて、今思えばよく勇気があったなぁと自分ながら感心してしまいます。

その後、仲介業者さんに探していただいた、マンションの一階の物件を契約する事ができました。

そこは、ギャラリーとして使うには難しいかと思えるほど立派なアール・ヌーヴォー調に設えられた家具付の物件でした。

緑の壁のお部屋とオレンジの壁のお部屋がふた部屋続きで、壁にはコレクションボードの様なガラスの収納ケースが2ヶ所付いていました。

素敵なところが見つかったと喜んだのも束の間、物件の契約時に問題発生です。

何しろ、無職でこれといった収入もないただの主婦では信用してもらえないのです。どこも、

「ご主人の職場と年収を教えてください」

ということになります。主人とは離婚調停中の身、夫の名前を使うわけには行きません。

「では、保証人を」

と言われるのですが、父はとうの昔に亡くなっており、義兄に頼むしかありません。教育者である1人の義兄には、その件でキツく怒られてしまいました。結局、もう1人の義兄が印鑑をついてくれて、なんとか保証人を引き受けてくれました。

広報

さて、物件を手に入れたからには、ギャラリーとして借りてくれる作家さんを探さなければなりません。その広報活動が次に大変でした。

何しろ行き当たりばったりで、後先考えずに行動してしまっているので、展示会を開くのに前準備としてどれくらいの期間が必要なのか、全く想像できていませんでした。

時を同じくして、通信教育の芸術大学で学芸員の資格を得るための学びを始めたばかりでした。最後の方の単位に、『展示会の開き方』なる分野があり、何本もレポートを提出した今だからわかることがたくさんあります。作家さんの作品制作や展示会に向けたDM作成、宣伝などを何ヶ月も前から準備する必要があることなど全然知りませんでした。1年以上かけて準備をする展示会もあるのですから、声をかけられた作家さんも相当戸惑われたことでしょう。

無知ということは、時として大胆不敵な行動を起こさせるものですね。


市の広報誌やネット上にアートギャラリーとしても広報を続け、2017年9月26日の2週間前に、ある作家さん達の企画展を開催する事ができました。畑の違う部門の女性作家さんによる『二人展』。

次は展示会について記録していきたいと思います。

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