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不可能を可能に

不可能と言われていることでも可能だという前提で

有史以来誰も開発することのできなかった絶対に緩まないネジを開発したネジロウの道脇社長。かなり前のNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演したのを覚えていましたが、先日(2024年3月)のテレ東「カンブリア宮殿」に出演しているのを拝見しました。
 番組の中で道脇社長は「誰もが不可能と思っているということでも、可能であるという前提から出発して、どのようにして実現するかを考える」という主旨の発言をしていました。

可能か不可能かは最大の情報

私も長年のプログラム開発業務経験で「どうやってやるか」の情報よりも「可能か不可能か」の情報の方が貴重だということは分かっていました。
 「教科書通りだと数日かかっていた処理が一瞬でできるようになった」という情報があれば、いったいどうやって実現するのかを調べたり考えたりするきっかけになります。
 現在の生成AIブームも、パラメータ(神経細胞間の接続の重み)の数が10億を超えるあたりから急激にAIが賢くなることが、たまたま分かったことから始まりました。パラメータ数を増やすほどAIを賢くすることが可能であると分かったので、資金力があるところが次々と参入してきます。初期のChatGPTは1750億パラメータ、現在は兆単位の争いだそうです。
 ちなみに人間の脳の神経細胞の数は1000億個、AIのパラメータ数に相当する神経細胞間の接続数は100兆から1000兆個と言われています。

不可能なことも可能である前提で

ところが道脇社長は、はるか上を行っていました。誰もが不可能と思っていて「実現していないこと」でも可能であるという前提に立って、考え、作り、実現してしまうのです。

例えば

絶対に緩まないネジを作ることは不可能であると思われていましたが、道脇社長は実現してしまいました。左回転しても右回転してもびくともしないのです。
 溶接なしで溶接以上の強度を実現する鉄筋の接続技術も開発しました。しかも一瞬で接続できるというおまけつきです。
 従来工法の約10倍のスピード、大幅な省力化を両立した高速道路等向けの床版の接続技術"VanLoc"も今月(2024年3月)発表。速い安いだけでなく、従来工法を上回る精度で接続できるようです。
 このように、つぎつぎと不可能を可能としてきました。

もしかしたら

福島の第一原子力発電所の燃料デブリ(溶けた核燃料)取り出しは2021年に開始、2031年に完了する予定でしたが、2024年の3月時点で1gも取り出すことはできていません。誰もが予定通りにデブリ取り出しを完了することは不可能だと思っています。
 道脇社長の話を知ると、可能だという前提に立って、現状を公開、解決方法を公募し、オープンソースにして世界中の知恵を使って改良することで実現できるように思えてきます。

ただし、ここ重要

道脇社長は科学者ではありません。技術者です。やり方を考えるためにゼロから出発するのではなく、膨大な数の特許公報や論文を読み込んで、それらをベースにして試行錯誤して解決方法を考案します。たとえば「永久機関」が可能だと考えて一生を無駄に潰すというような開発は行わないでしょう。実現可能な「不可能」を捉える距離感というものが重要であるようです。

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