壺坂霊験記 :視覚とはなんだろう
壺坂霊験記
大和の壺坂寺のほとり土佐町に住む座頭の沢市は、琴や三味線の稽古をしながら美しい妻のお里が、まめまめしく洗濯や賃仕事をしてくれるのを頼りに、細々と暮らしている。沢市は夫婦になって三年、お里が朝方になると寝床を抜け出していくのに対し、「自分が盲目ゆえに外に男でも・・・・」と疑いを持つ。夫の疑いを知ったお里は驚き、盲目となった夫のために壺坂寺の観音様に祈願を続けてきた真心を打ち明けた。
沢市は不自由なひがみから、貞節な妻を疑ったことを詫び、お里の奨めに従い壺坂寺にお