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「父」パードレ・パドローネ -解釈

「父」パードレ・パドローネ(伊-Padre Padrone) 1977年-イタリア
監督:パオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ

イタリア語でパードレは父、パドローネは主人を意味する。
英語圏ではFather and Masterと呼ばれることもある。
サルデーニャ島で、保守的な厳父により、小学校を数週間だけで退学させられ、20歳になるまで、一切の教育を受ける機会がなく識字できない羊飼いが、軍隊教育、そして、大学教育を得て、自立する物語である。
後に、主人公は著名な言語学者になった。
原作は同じ題名のガヴィーノ・レッダの自伝である。
オリジナルは、テレビであるが、映画化されたそれは、1977年の第30回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した。

*印象に残る、2つのショット
入隊直後の教育の現場で、答えの解らない主人公が、自らの鼻を切り「鼻血」を出すシーンでは痛々しいと共に、今までの彼の社会環境へのコンプレックスと共に、真剣に教育に向き合う姿勢も共感できる。
そして、ラストの水辺で1人で座り込ぬシーンは、現在の価値観の再認識性にあるのかも知れない。

(註)ガヴィーノ・レッダ(Gavino Ledda、1938年‐)はイタリアの言語学者。
サ ルデーニャ島シリゴ生。
羊飼いの家に生まれ、小学校の教育を受けた後、父から、羊の番をすることになる。その後、ドイツに出稼ぎに行こうとしたが文盲という境遇のためかなわず、イタリア陸軍に入隊し、中学校卒業資格を得て、ローマ大学で言語学を学ぶ。
1969年、32歳でローマ大学を卒業してからは、サルデーニャ島のサッサリ大学で講師として、方言学の研究を行った。
1975年Padre Padroneを出版し、ヴィアレッジョ賞を受賞。この小説は「父 パード レ・パドローネ」としてパオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督により映画化さ れる。そして、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した。
その後、レッダは、大学の教職を退き、故郷のシリゴに土地を購入して、農業と牧畜に携わっている。




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