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鶴見良行『対話集 歩きながら考える』

鶴見良行 『対話集 歩きながら考える』 大田出版 2005年6月


実は鶴見良行先生については、私も学生自体に一度だけ直接謦咳に触れたことがあるのですが、非常にユニークな方でした。

この対話集は、1972年から1993年までにおこなわれた12本の対話を編集部が選んで再録したものです。確かに時代設定が古いというか問題意識として既に古いと思われるものもありますが、その時代背景を考えると、やはりその先見性というか足で歩いた問題意識の高さに今更ながら驚かされます。

実は、まだ自分でも読んでる最中なので、一概にコメントできませんが、その対談相手を見ても、非常に彼の幅広さと関心の高さを感じます。いくつかの対談は別の初出誌や対談相手の著作で読んでいましたが、これだけまとまった対話を一冊で読めるというのは、かなりお買い得だと思います。ご参考までに、対談者とタイトルをあげさせていただきます。

・アジアを歩きながら考える 加藤祐三
・「もうからない英語」を語ろう 國弘正雄・鹿野力
・「国際化」と土着 見田宋介
・一九二〇年代、闇の中の周辺文化 永川玲二
・アジアの民衆と日本人 鎌田慧
・越境する東南アジア 山口文憲
・アジアとは何か 板垣雄三
・チャハラ号航海記 内海愛子・中村尚司・新妻昭夫・藤林泰・村井吉敬・森本孝
・アジアと日本の<海の民> 網野善彦
・海民の世界から見直す日本文化 大林太良・網野善彦
・アジア海道 - 漂海民をめぐって 門田修
・<インタヴュー> 忘れられた海の歴史を追って <聞き手> 秋道智彌
・解説 無所有へのまなざし 花崎皋平

全521ページ 2800円+税

P.S.

以前、「歩きながら考える・・・ ‘世界’と‘開発’」というマイ名刺を持ち歩いていまして、この本のタイトルをみてどきっとしました。

でも考えてみれば、鶴見さんとの出会いも私のバックボーンのひとつとなっているのでしょうね。実際に。

いやはや^^?

今までに鶴見さんに触れた文章については以下も参照ください。

2000年2月5日

「世間師」、「裸足の研究者」そして「絶望」を超えて 

2004年9月2日

海への憧れ-海は隔てるものではなく、つなげるものである。<アジア島嶼部研究のダイナミズム>

なお、最近、「海洋民俗学」というものも始めました。関係ブックリストはこちらです。

フィリピン・アジア島嶼部 関係の本

2009年2月22日 (日)

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