新型コロナウイルス感染症による休業補償について

最近よく聞かれる話なので、簡単にまとめてみたく、記事を作ることにしました。
使用している画像は、全て官公庁やニュース記事から流用していて、個人サイトのものではありません。

まず、そもそも休業は必要なのか。

国、都道府県が要請する以上、拒否して営業するのは難しいものであると考えられます。
よって、休業は致し方ないものだと解釈します。
ここが大事で、休業はそもそも何のためなのかを理解しておかねばなりません。

続いて、休業した時の給料について考えます。
会社が休業して、売上がないからと言って、労働者に売上ないから給料払いません!は、日本の労働法令では、労働者にとって不利な話になるので、労働基準法で制限されています。

簡単に言うと、3ヶ月間の給料の平均金額を出して、その60%以上を会社が労働者に払う義務があって、守らなかったら30万円以下の罰金で前科者になるからね!ということです。
休業のポイントとなることは、使用者の責に帰すべき事由です。
下記は有名な判例なので、覚えておきましょう。
休業手当の理由となることは広く含まれる、のだと。

ただ何でもかんでも、休業手当ではないのです。
休業手当を支払う義務がないと判断される有名な事例があって、天災事変は有名です。
津波で工場が流されて再起不能ですわ…このケースは大概どうにもならない話なので、大半が払う必要のないことが多いです。
意外かもしれませんが、工場が津波で流されたわけではなく、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、休業していて工場はまだあるじゃないか、と考えるようです。
(ここが日本の不思議なところではあります…)

おまけですが、休業の話で大事な計算方法です。

この計算で算出した1日当たりの平均賃金で休業手当を算出するので、最低額保障とか細かな話はありますが、原則は上の計算でやります。

さて、ここからが本題となります。

簡単に言うと、休業手当として平均賃金の9割相当を払いますよ、その上で雇用調整助成金を申請します、とのことです。
では、雇用調整助成金とは何なのか、9割相当の休業手当ってなんなの?と疑問を感じてくれたら幸いです。
わかりやすいところで、9割相当の休業手当から説明していきます。
休業手当は労基法第26条より、平均賃金の60%以上の支払い義務があると説明しました。
なので、60%は最低限の話であって、少なくなければ多く払うのは会社の自由です。
※おそらくは労使の話し合いで8割じゃ少ないとなったのでしょう。マツダの労組は大きいですから。一次下請けも、9割相当出すと聞いています。
ポイントは、休業によって、会社は売上が入っていないのに、休業手当を払うとはどういうことか、明確に理解しているのかです。

中々すごいニュースです。
いきなり即時解雇とか、無茶をやる。
ちなみに30人以上解雇するときは、会社がハローワークに再就職援助計画と大量雇用変動届を1カ月前までに提出しておく必要があるので、おそらくは無視したんでしょうね。

わかってもらえたら嬉しいのですが…
休業手当を払うとは、社会保険に加入したまま、つまり社会保険料の事業主負担が発生しているのです。
600人の解雇なので、下表の平均年収418万円から逆算すると…
社会保険料だけで約15%はかかるので、一ヶ月あたりの会社が負担する社会保険料だけで推定3100万円かかります。
その上、600人に払う休業手当は、一ヶ月あたり最低金額で1億2千万円です。
確かに解雇も致し方なしか、となるレベルです。
売上が極端に減ると、ロイヤルリムジンのようなことになるのです…。

2020年4月10日時点の政府見解ですが、

休業要請はするが、休業補償はしないと、明言しています。
給付金についてですが、ばかばかしすぎて説明するまでもないので割愛します。

9割相当の休業手当から脱線しましたが、本題の雇用調整助成金について説明して終わります。

わかりやすく言い替えます。
労働者を雇っている企業の社長さんへ、リストラしないで休業手当払ってあげてね。
払ってくれたら、その費用の一部を国から補助するからさ、というものです。

日本の企業の9割は中小零細なので、2/3補助されます。
ここでいつも具体的にいくらなん?という話を聞かれるので先程話がそれたタクシー運転手の平均年収をもとに説明します。
東京のタクシー運転手の平均年収は、418万円あるそうです。
よって、1カ月あたり約35万円、説明のため原則の平均賃金の計算式ではなく、概算で出します。
会社が支払うべき休業手当の金額は、21万円です。
そこで、2/3補助するのが雇用調整助成金なので
労働者には21万円を払いますが、そのうち14万円は国から補助されるので、実質負担額が8万円で済むということです。
(補助の上限があるので正確な数字ではなく概算です!)
この制度はバブル景気の前にできたものなので、意外と歴史があります。

Twitterでこういう内容のタイムライン上で見かけて解説記事を作ることにしたのです。
休業手当の9割ってマツダのことでしょ?と考えるのではなく、先程説明した雇用調整助成金の2/3の補助割合が9/10に特例的に変更されたから、Twitter上でも話題になるわけです。

赤文字のところですが、わかりやすく中小零細の休業で説明すると、
一人も解雇しなければ、払った休業手当の9割補助するし、解雇してても8割補助するよ!ということです。
さっき概算でだしたタクシー運転手の休業手当の最低金額21万円で、補助が14万円あると計算しましたが、9割補助だと18.9万円補助してくれて、実質負担額が2.1万円で済むから、解雇しないであげてね!という内容になりました。
よってこのことが給料の9割くれる、と全然違う解釈にいたったのです。
当たり前のことですが、9割補助とはいえ、上限金額があるので(8330円)、上限金額を上回った分は全て会社負担となりますが、それでも人件費をおさえることができるので、ばかばかしい給付金よりかはずっとマシな措置だと私は考えます。
以後、細かな質問等あればお答えします。

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