負のPDCAサイクル 前編
私が映画『ジョーカー』を観終えてスマホを確認すると、ホットケーキから「-16k」という暗号が表示されていた。
これは「16000円負けました」という宣言であるが、こちらは何も聞いておらずそれまで会話もなく、突然この英数字が送られてきたのだ。
私とのLINEページを日記と勘違いしているに違いない。
その後、彼から「ご相談があるのですが」というお礼よりも多く聴いたフレーズが飛んでくる。
誰がどう考えてもお金の話だろうが、もしかすると別の面白い話かもしれない。私はそのわずかな可能性に期待した。
相談を持ちかけておいて、なぜウミガメのスープのような推理ゲームになっているのか意味不明だが、結局お金の話だった。
どうやらまだ日記のつもりのようだった。
それから1時間後。
私が一般的な人間の会話のやり方を教えてあげると、ようやく本題に移ることができた。
あさ 「10月末にnoteから5万円が振り込まれます。これを担保にお金を借りたいです。」
私 「あなたの希望金額は?」
あさ 「3万円です」
私 「そのお金の使い道は?」
あさ 「大井競馬のための投資資金です」
私 「アイヨー」
マネー成立。
9月1日の4万ベット編で貸した3万円は1円も返ってきてないので、彼への融資はこれで合計6万円になる。
見方によっては「ただのギャンブル中毒じゃないか」「人からお金借りてまで競馬やるのはヤバイ」と思う人もいるかもしれない。
しかしそうではない。あくまで彼は真面目に資金を増やそうとしているにすぎないのである。
” あの森さんが大井競馬で1日中ずっと外れることなんてあり得ない ” 、そう信じているのだ(実際は競馬はそこまで甘くないので、森神でも外れまくる日はある)。
今までの人生は決してやり直すことはできないが、彼の人生はまだそこまで終わっていないはずだ。
これからの人生は、努力によっていくらでも良くすることができるのである。
私 「ところでnoteの売上に頼るということは、20日に振り込まれる本業の給与は1円も残さない予定なんですか?」
あさ 「1円も残らない」
私 「この間、手取り17万って言ってましたよね。そんなことある?」
あさ 「ソフトバンクAIRの違約金と光回線の開通費やらでマジでやばい。ソフトバンクAIRは買い取りだから支払いも終わってないし」
私 「AIRはレンタルできますよね。なぜ買い取りにしてたんですか?」
あさ 「いやあの、よくわからないうちに買い取りになってまして」
私 「奴隷」
あさ 「 灰 」
思った以上に終わっていて奴隷としか言いようがなかった。
*
そして迎えた10月14日(月)の大井競馬。
舞台は大井から水道橋のウインズ後楽園に変更となった。
ウインズ後楽園はJR総武線の水道橋駅、丸ノ内線の後楽園駅、地下鉄三田線の水道橋駅から歩いていくことができる。
JR水道橋駅から向かうと、家族連れやカップルなどが東京ドームシティへ向かう中、負のオーラを隠しきれない黄色いビルがある。これがウインズ後楽園だ。
競馬をやらない健常な方に説明すると、ウインズとは場外馬券売り場のことである。ここには芝やダートなどの競馬場もなければ馬もいない。ただの鉄の塊だ。
映像だけでもいいからどうしても競馬を打ちたい!クレカがないからネットで馬券も買えない!というどうしようもない人たちが集まるどうしようもない空間、それがウインズだ。
近づくと、ウインズの看板の下に「オフト後楽園」という文字がある。
ウインズとオフトの違いは、ウインズはJRAが主催する中央競馬(東京競馬、中山競馬、京都競馬、阪神競馬など)の馬券を中心に販売しているのに対し、オフトは主に地方競馬(大井競馬、川崎競馬など)を販売している。健常な方にとってこの違いを覚える意味はまったくない。
私がウインズへ向かっていると、森先生から画像が送られてきた。
夢の入口に立ったあさあさのじんじん。
今回はどのような展開を見せてくれるのだろうか。ワクワクしすぎて不整脈になりそうである。
【 負のPDCAサイクル 昇天編 】
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