私の中で今回の新人公演がエリザベート最新版で更新されました。つまり、更新できるクオリティーでした。本公演は2日目に1回観たきりで。率直な感想、エリザベートって難しい作品なんだなと。新人公演どうなんだろうって思ってたんですが、いやはや、私好みでした。以下、自分の感情のおもむくままにつぶやいたものを再編してます。全て私の好みの問題であり、客観性はありませんのでご了承ください。

和希そらくんのルキーニが最高でした。タカラジェンヌとしてどうよって思うくらい姿勢が悪くて気持ち悪かったです(褒め言葉です！)。本公演以上にストーリーテラー的な側面が多くやりにくかった部分もあるかもだけど、のびのびやってるように感じました。花組ファンだから、ルキーニっていうと望海さんって思いたいんだけど、和希そらさんがなあ、よかったなあ…望海さんのルキーニと気持ち悪さの種類が違う。望海さんが暴力的衝動的であるなら、和希さんはよりサイコパスな感じ。緻密さ、計画性、そんな感じ。

フランツもよかった。留依蒔世くん。最初がめちゃくちゃ初々しくてこのまま夜のボートになったらどうしようって思ったんですが、いや、全然違った。確実に年老いて老成していった感じ。夜のボートで感じたのは、いろんな意味でフランツは古い価値観からは絶対に逃れられない人なんだなあと。今の時代だったら夫と同じ墓に入らなくても何の問題もない、それぞれのゴールでもオールオッケーな人生にしている人もたくさんいて、エリザベートもそういう人で。でもフランツは違う。新しい事や自分個人の幸せより、ハプスブルク家とその皇帝という形に納まることが大切なのかなと。そんな印象を鮮明に受けました。フランツからこんな事を感じると思ってもなかったんですが。フランツはエリザベートと真逆な人間で。でも、だからこそ、惹かれたんでしょうね。だけど、自分を変えることはできない。そんなこと知らないし、ハプスブルク家には必要ない。

ルドルフもまたよくてね。鷹翔千空くん。研2だって。舞台化粧上手。印象的には真風とか遼河はるひさん系。面長凛々しい系。闇が広がるでズルズルガクガクとトートに引きずり込まれる感じがゾクゾクしました。ルドルフの根拠のない自信と相反する自信のなさがすごく出ていました。基本シシィとルドルフはアンビバレンツな要素がものすごい強い人たちだったはずと思っているんですが、そういう点でも研2とは思えない演技、表現力でした。

で、シシィ。星風まどかちゃん。まだまだ声量がなかったり、得意不得意な音が一音一音変わる感じもするんですが、そんなのは真面目に練習すれば絶対克服できると他の人たち見ていて知ってるから、彼女もそのうち克服してくれるだろうと、何様やねんっていう感想が一番。で、彼女も演技がよかったです。子供時代〜初夜までと、私だけに以降、そこから年齢を重ねていく感じ。その変化。そこがシシィの要なんでしょうけど。童顔だから子供時代のままいくのかと思いきや、絶対私だけに以降の方が上手い。イメージ的には宝塚の永作博美だな。でも、星風まどかちゃんの最も素晴らしいところは、無表情。虚無感。そこが一番よかった。多分きっと彼女の中にある要素であり、誰にでもある要素。そこを恥ずかしがらず可愛子ぶらず思いっきり出してくれてよかった。

ほんで、トート。瑠風輝くん。はぁーよかった。全部よかった。声が好き歌が好き立ち姿が好き。まぁ様とは全く違う印象のトートでした。感情爆発させてた。トート閣下ってドライな冷血なイメージありましたが、瑠風くんトートはウェットでした。冷ややかな水。いやなんだったらスライムみたいな粘液出てきそうな艶やかさ。お顔立ちはキタロウさんに似てるなーって思った。頬骨の高さと唇。まぁ様の衣装、腕や脚の丈合うのかなーと心配してましたが全然大丈夫でした。似合ってた。まぁ様と全然違うような、でも時々まぁ様に見えたりもして。革命家たちとのシーン(あの女狐め。撃ち殺してやる)で全然閣下が出てこなくて焦りましたが。あの前が本公演と違うので着替える時間かなり厳しいのかと。やっぱり新人公演、演技だけじゃなくこういう点もとっても大変なんだろうなあ。彼に関して全く具体的なことが書けないくらい、好みな方でした。この方も98期なんですね…たまらんです。

で、全員に共通することなんですが発声や歌唱が上級生と全然違う気がしました…あ、素人がいうことなんで全部イメージで何言うてんねん、って話やと思いますが…上級生の皆さんは、頭の上からポーンと声が出る感じ。清く正しく美しい歌唱で、役の心情を繊細に表現するには適しているけど、時に儚く不安定になりがちな歌な気がします。一方下級生達は体幹に響かせて太い音で歌う感じで。これは他組も今日の宙組の皆さんも共通。体幹ががっちりしてそうな歌声。程遠い、全然違うとは思うんですが、韓国ミュージカルにちょっと近づいた感じ。でもそれは一方で歌での繊細な表現が難しくなるのかなーなんても少し思いました。とは言え、今日の全員の歌、リズム感、ニュアンス、全部好きでした。エリザベートってトートやられた方のインタビュー読んでいると、曲が難しいからとにかく正確に歌えるように練習した、ってしばしば見かける気がして。でも今日は良い意味で自由に歌って、それが全然間違ってなかったなっていう印象でした。ニュアンス、ちょっとしたテヌートとかスタッカートとか。そういうのが素敵でした。いやらしくないタメ方っていうか。非常に好みでした。

もう一個だけ感想を。新人公演黒天使に超イケメン発見したんです。最後のご挨拶でルドルフの外側にいた黒天使。あれ、どなたなんだろう。公演中もトート見てるようで後ろの黒天使見てた。てへへ。

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