俺独自のゲームワールド[俺独ゲー]1-8


「く、くそぉ〜何でスキル無し、属性無しなんだよ〜。異世界召喚ものって大体チートスキル持ちなのに〜。無双するつもりだったのに〜。」
俺とキースは二人で馬鹿にされながらギルドを出て歩いていた。スキルが貰えると思って確認したら、何と所持スキルが1って書いてあるのに名前が無かった。つまりスキルが無かった。そんな悲しい事があるか!?俺はうだうだと愚痴っていた。
「おいおい、そんな落ち込むな……ぶふっ」
「笑うな!!くそっ、味方だと思ってたのに!」
「ごめんごめん。つい。」
キースは笑ってきたけど、庇ってくれた事は嬉しかった。こいつがいい奴なのは分かって良かった。(宝盗んだらしいけど)
「あと、気になったんだけどスキルが1ってなってたのに名前が書いてなかったのってもしかしたら今までにスキル0がいなかったからじゃねぇか?エスリアさんも見た事が無いって感じだったし。」
「俺が人類初の所持スキル無しってことか?こんな不名誉な称号あるかよ……。」
俺はとても自分の弱さに腹が立った。これじゃ現実と何も変わらねぇじゃんか。現実世界でも他の人にできることが俺には出来ない。だから俺はゲームの世界で、他の人が得意な、サッカー(ゲーム)、野球(ゲーム)、勉強(脳トレ)、格闘競技(ゲーム)など他にも色々なゲームを無我夢中でやって色んなゲームに手を出して、現実で出来ないことはゲームの中で出来るようになった。だけど、ゲームに入った俺は現実世界みたいに何も出来ないみたいだ。結局現実は変わらないってことか。はぁ……
「おい、なんだあれ!!」
不意に街中の誰かが叫んだ。
「ん?なんだ?」
「どうしたんだ…………!?おい!ケイゴ!!あれを見ろ!」
キースが指差した方向のハマリングの街の周りに建てられている壁。その上に体が岩でできている人型のモンスター(?)が立っていた。どうやってあそこに?そんなことを考えている暇は無かった。
「ヌ?貴様ラ何不躾ニ我ヲ見テイル?不愉快ダ。」
そう言って、地上30メートルから落下した。普通に考えたら人間が落ちたら重症もしくは死ぬ高さだ。しかしこいつはピンピンしている。落ちた地点はひびが入って割れているにも関わらずだ。すると落ちて来た近くにいた男性に近づいて行く。
「先程カラ我ヲ不躾ニ眺メテイルノハ貴様カ?」
「ちっ!違う!!やめろ!ひぃっ!」
モンスター(?)は手を赤く光らせて火を出した。
ボォっ!!
「(ドサッ)」
その男性の頭部が燃えて、男性の体が倒れた。
「え?」
「気二イランナ。」
こ、こ、ころされた?こんな瞬きする間に?嘘だろ?これやばい高レベモンスターか?早く逃げなきゃ…
「まさか……」
え?キースなんだ?
「魔人か…!?」
「えっ!?」
「ウヌ?何ダ?」
やべぇ!!気づかれた!
「!!逃げるぞケイゴ!!あんなのには勝てる訳ねぇ!」
「うん分かってる!急げ………!!」
だが、
「!!いつの間に!?」
「ドコヘ行ク?我ガイツ動イテイイトイッタ?」
魔人が目の前に来て俺に攻撃を放とうとしていた。
やべえ!さっきの攻撃まともに喰らったら死ぬ!
「……!!危ねぇ!」
俺はキースに突き飛ばされて近くの地面に転がった。
「キース!?」
するとキースに向かって手を伸ばした魔人。手の平が赤く光り、次の瞬間手の平から火が吹き、キースに向かって火がかかった。
「キース!!」
だがそこにキースの姿は無く、俺の横からキースが現れた。
「??あれ?キース?どうやってあの攻撃避けれたんだ?」
普通に考えたらあんな突然の攻撃避けられるはずがない。
「俺のスキルは[逃走本能]。初めて見た技だったら一回だけ確実に避けられるんだよ。助かったぜ。」
スキルか!役に立つなぁ!俺も欲しいな……
「?ナニ?我ノ技ヲ避ケタダト?初メテ受ケル技ヲ避ケルトハ。素晴ラシイ。貴様ノ名ハ何ト言ウ?」
魔人は俺達、いや、キースに興味を示した。
「俺?俺はキース。ここら一帯では名の知れてる名冒険者[天才肌のキース]だ!!」
ざわざわ……
「えっ?誰[天才肌のキース]って?[アホ面のキース]じゃなくて?」「俺も[アホ面のキース]しか知らねえけど?」「[天才肌のキース]って呼んでる奴いるか?」「[アホ面]の間違いだろーーー!」
「ソウカ、[アホ面]カ。貴様ノツヨサヲ認メル。」
「誰が[アホ面]だー!!」
……キース……魔人にまで異名で馬鹿にされるなんて……不憫だな。
「我ハ貴様ラモ気ヅイテイル通リ、[大地の魔人]、ジライゲンナリ。[アホ面]ノ強サハ分カッタガ、貴様ハドウダ?」
その瞬間、ジライゲンは俺の目の前に来た。
「!!お、俺は……………バウラドッグを一人で倒せるぜ!!!!!」
「!?一人デ?貴様ガカ?」
ちなみにこれはハッタリだ。本当は一人じゃなくて三人(いや二人と一匹)だけど正直に言ったらさっきの人みたいに殺されるかもしれないからな。
「ホウ?マアイイ、我ハ貴様ラニ用ハ元々無イカラナ。アル人物ヲ追ッテ来タダケダ。邪魔ト目障リナ事ヲシナイ限リ何モシナイ。」
そう言ってジライゲンが立ち去ろうとしたその時、近くにいた人が叫んだ。
「てめぇ!ジーブスをよくも!!絶対にゆるさねェ!!ドラゴン!行けぇ!!!」
それはさっき焼かれてしまった男性の仲間らしき人だ。魔物使いなのかドラゴンを仲間にしている。しかし彼のドラゴンが攻撃をしようとジライゲンに飛びかかった途端、
「虫ケラガ、我ニ逆ラウナ。」
ジライゲンが地面に足をドシンと構え、足の先から赤く光っていき、体から火を放った。
「ギャァ!!!」
ドラゴンはのけ反り、ジライゲンから離れた。ドラゴンには攻撃が当たらなかったが、魔物使いの男性の後ろに回ったジライゲンが男性に向かってこう言った。
「貴様。我ニ歯向カッタノヲ後悔シロ。」
「まずい!くっ………!」
だが、攻撃しようとしたジライゲンの表情が変わった。
「貴様……!」
ジライゲンが攻撃した時には男性が誰かに抱えられていなくなっていたからだ。その誰かとは俺だ。
「はぁ、はぁ、走っておいて正解だったな。怪我は無いですか?」
「あ、ああ。君は…?」
「ただの通りすがりの所持スキル無し初心者冒険者です。」
「貴様……我ヲ邪魔スルトイウ事ハ…覚悟ガ出来テイルトイウ事デ相違ナイカ?」
「ケイゴ……!!」
ジライゲンは切れかけている。でも俺は堂々と宣言した。
「いや、いつの間にか助けちゃってたから全然覚悟とかしてねぇ!!」
「ケイゴ……………。」
「死ネェ!!!」
誰も予想していなかった、初めての街での魔人との戦い。果たして俺は生き残れるのか……。いやスキル無しが勝てるわけねえだろ……とか思ってるやつ!安心しろ!俺の力をしっかり発揮して、魔人にも勝ってやる!

1-8  完

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