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無期限くるま旅のホンネ #1 日本での車中泊は易しすぎる

カンタンな近況

私は今、大好きな沖縄で借りていた部屋を解約して、4年勤めた会社も辞め、DIYなしのN-BOXでパートナーとともに無期限の車中泊旅をしている。5月5日、こどもの日に沖縄から車とともにフェリーで出発し、鹿児島にわたり、そこから2か月かけてパートナーの地元・弘前まで北上した。今はパートナーが故郷でもろもろの目的を果たすため、旅は小休止中だ。

旧弘前市立図書館

私は沖縄に住んでいた約4年半、地元北海道の「あさひかわ新聞」というローカル誌に、『沖縄移住記 果報をさがして』を連載してきた。

https://note.com/asahana/m/mbe99beb5abc6

一度沖縄を完全に引き払ったので、この移住記の連載は終了し、現在は『くるま旅日記 果報をたずねて』を連載させて頂いている。

「あさひかわ新聞」は週刊で、私の連載は月に1回、第3火曜日号のみなので、連載は7月18日号でまだ3回目。しかし、その間に九州から青森まで(後半はかなり高速で)移動してしまった(大分県と四国、中国地方の日本海側、北陸など、7月に弘前入りするため一度パスした場所も多数ある)。そのたった3回の連載の中で、全ての出来事や、旅の間思いめぐらせたことを書ききれるわけもなく、またなるべくリアルに失敗したことなども含めて書いているものの、「車中泊旅」そのものへの後ろ向きな感情などは書かないようにしてきた。

そこで、ホンネ

実際問題、私はこの車中泊旅というものに飽きている。
そのいちばんの理由は、「易しい」からだ。

この「家のない暮らし」で、車さえあれば何でもできるわけではなく(しかも私の車は車中泊使用に何もカスタムしていないN-BOX)、常にソト(場所やサービス)に求めなければならないのが、駐車場・食事や調理場・お風呂だ。

自炊について

はじめこそ、連載にも書いたように、公園の駐車場の警備員さんに「ここで自炊をするな」と怒られたりした。キャンプや焚火というレジャーがすっかりメジャーになり、迷惑行為も増えて、「火気厳禁」「焚火禁止」の看板は全国に増えたのだろう。

それからは、ガス火とはいえ、調理は目立たないようにしてきた。車内でドアを開けて煮炊きをし、食べるときだけ公園のあずま屋を使用したり、そのまま車内で食べたりした。そういう、「注意されやすい振る舞い」をなるべく避けることも、一週間もすればすっかり会得しうまくできるようになった。もちろん、各地にあるありがたい無料キャンプ場では、堂々とテーブルや調理器具を広げて様々な料理をした。

熊本・天草の海辺にある無料キャンプ場にて

駐車場(寝床)

一晩寝るために駐車する場所探しにしても、数年前に比べてもとてもカンタンになった。経験者の方々が情報を寄せ合ってつくられた「車中泊マップ」なる大変ありがたいものまでインターネット上で無料で見ることができるし、Googleマップのクチコミにも「車中泊可能」「大型トラックのエンジン音で寝られなかった」などの生の情報が寄せられており、それがいつの情報かもわかる。私たちはそんなネット情報を駆使して毎日の寝床を探した。あてにしていた場所が、行ってみたらできなかった、ということはなかったし、車中泊で最も嫌な体験である、警察に職務質問されて根掘り葉掘り聞かれた、ということもなかった。

お風呂(シャワー)
旅を始めたころは、気温の低い日も多く、汗をかかないので2日に1回という日もあったが、どちらにせよ、シャワーは必要だ。格安で入れるお風呂やシャワーも、ほとんどネット検索で見つけた。

特に九州には安い温泉が多く、大きな温泉街には、主に従業員の方が利用する「共同浴場」なるものに100円や200円で入れた。もちろん200円~450円の銭湯にもたくさん入ったし、地方の福祉施設(福祉協議会や高齢者向け健康増進施設があるような場所)でも、温泉ではないものの公衆浴場が併設されていたりして、これもだいたい100円だった。ゴミ焼却施設の熱を利用した大浴場や温水プールというのもある。変わりどころだと、青森県の下北半島にある恐山の菩提寺には、源泉をそのまま利用した公衆浴場があり、こちらは無料だった(あの不気味にも神聖にも感じる場所で入る美しい水色の湯は何とも不思議だった)。

黒川温泉の公衆浴場
恐山にある公衆浴場

シャワーのみの場合だと、ほとんどは全国チェーンのネットカフェ・快活クラブで最初の30分/230円のサービスを利用することが多かった。そのほかだと、広島の幹線道路わきにある大きな道の駅の、10分(15分だったかな)200円のシャワー施設を利用した。

旅さえもルーティーン生活になる

そうして、生活するうえで必要となる、寝床、炊事場、お風呂は、ネットで探すことにもすぐに慣れ、毎日移動しながら見つけるのも苦ではなくなった。

もちろん、少しずつ北上しながら毎日違うものを見る日々は刺激的だ。
けれど、一方で、ごはんを食べお風呂に入り寝る、という生活そのものはルーティーンだ。ざっくり見れば、毎日同じことの繰り返しだ。食料を得て、食べる場所を探し、お風呂に入れる場所を探し、寝る場所を探す。移動と検索のくり返し。一昔前の旅ではそうするしかなかったように、ネット検索を禁止にして、日本地図や各地の観光マップを手に旅をした方が、本当は難しくて面白いのだろう。

車を手段に全国をまわる。そういう手法の旅に、どうやら私は飽きてしまっていた。各地で得た知見も経験ももちろんかけがえのないものではあるが、私が求めていたような自分の成長は感じられなかった。それが、2か月くるま旅をやってみた上でのホンネだ。

同じお金をかけるなら、もっと冒険が欲しい。強烈な学びが欲しい。
自分の生きる力がグッと上がるような。

そう思い至って、今は、次のステップにどう踏み出すかを、小休止の休憩場所である弘前で考えている。



くるま旅の様子がKindle本になりました!
noteに書ききれなかった書下ろしモリモリの書籍となっているので、ぜひ見てみてくださいね♪




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