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GA4移行のためにGTMのタグ情報収集ツールを作成した話 GoogleAnalytics/GoogleTagManager

メディアデザインセンターの山本剛史と申します。普段はWebメディアのアクセス解析や、ABテストによる改善検証など、サイトグロースを担当しています。
朝日新聞社のWebメディアとしては朝日新聞デジタルが有名ですが、それ以外にも多様なWebメディアを運営しています。そうした多様なメディアの運営を行っているのがメディアデザインセンターです。

今回、メディアのアクセス解析で利用しているGoogle Analytics(GA)のGA4移行に伴い、タグ管理ツールのGoogle Tag Manager(GTM)でも移行作業が発生したため、GTMで設定したタグ情報の収集ツールを開発したので紹介します。

Google Analytics(GA)でアクセス解析

運営メディアではアクセス解析ソフトのGoogle Analytics(GA)を使い、日々サイトを分析しています。GAはアクセス解析ソフトとしては最も利用されているツールで、メディアのアクセスユーザーやページビューが計測できます。さらに、より深い分析をするため、ユーザーがページをどれくらいスクロールして記事を読了したか、メディアをどう回遊したか分析できるよう設定しています。
このように、ユーザーがどのようにメディアを閲覧しているか分析し、仮説を立てて機能改善のPDCAを回しています。

2022年度のタスクとしてGA4移行

現在利用しているGAはユニバーサルアナリティクス(UA)と呼ばれます。このUAが2023年6月末にサービス終了するとGoogleが発表しました(有料版は10月末まで)。それまでに新しいバージョンであるGA4に移行する必要が出てきました。

それを受けて、我々の部署ではUAからGA4への移行を2022年度のタスクとして取り組んでいます。2023年度からは各メディアでGA4によるアクセス解析やレポーティングができるように移行を進めています。

Google Tag Manager(GTM)も設定変更が必要

GA4への移行作業は、ユニバーサルアナリティクス(UA)をGA4に切り替えるだけではありません。同じくGoogleタグ管理ツールであるGoogle Tag Manager(GTM)にも移行作業が及びます。前述したユーザーがどのようにメディアを回遊しているか知るため、スクロール率や読了率、クリックなどのイベントタグをGTMで設定しているからです。

UAとGA4ではアクセス解析ソフトとしての設計が異なるため、完全な移行は難しいです。しかし、これまで通りGA4でもユーザーがどれぐらい記事を読了したか、別の記事に回遊したか解析できなければなりません。そのため、GTMもGA4用のタグに設定変更が必要です。

GTMタグの設定確認が負担

GTMでこれまでにどのようなタグを設定してきたかは、GTMの管理画面を見ると確認することができます。しかし、管理画面からタグ設定内容を詳しく確認するのは面倒です。タグ一覧画面では、具体的なタグの設定パラメータなどは表示されません。そのため、確認したいタグをクリックして、パラメータ情報を確認する必要があります。

GA4移行が必要なメディアが1つの場合は、なんとかすべてチェックすることができます。けれども、我々の部署ではたくさんのメディアを運営しており、それぞれのメディアでGTMの設定を確認しなければなりません。メディアの数だけ作業工数が増え、大きな負担でした。

Google Apps ScriptでGTMのタグ情報収集ツール開発

そこで、GA4移行に伴うGTMの設定作業を効率化するため、GTMで設定しているタグ情報収集ツールを作成しました。ツールはGoogle Apps Scriptを使って開発しました。Google Apps Scriptはグーグルが提供するスクリプトサービスで、Windowsのマクロのようなものです。
Google Apps Scriptで開発した理由として、GTMとの連携しやすさがあります。通常GTMの情報を取得するにはAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)連携し、APIの有効化からGTMにアクセスできるようにする権限設定が必要です。しかし、Google Apps Scriptの場合は、GTMとの連携サービスが用意されています。

そのため、設定画面からGTM連携サービスを有効にするだけで、GTMの設定情報にアクセス可能になります。GTMのタグ情報を取得し、その中からGA4移行においてGTM設定が必要なGA関連タグのみを抽出、タグの設定パラメータを取得できるようにしました。

GTMのGAタグ一覧をスプレッドシートに出力

GTMタグ情報収集ツールはスプレッドシートで稼働するツールになっています。プルダウンから取得したいメディアを選択し、ボタンをクリックすると、従来のユニバーサルアナリティクス用に設定しているGTMイベントタグの設定項目がスプレッドシートに出力されます。

これによってGTMのタグ一覧画面から個別タグの設定情報を確認することなく、スプレッドシート上で確認できるようになりました。スプレッドシートにGTM設定を出力したあと、その設定情報をもとにGA4用のタグ設定項目も追加することで、移行状況等がひと目で分かるようになっています。

このツールを開発したことで、GA4移行作業におけるGTMで移行が必要なGAタグの洗い出しが省力化できるようになりました。自動でGA関連のタグを抽出しているので、手動と比べ抜け漏れも防ぐことができ、効率的にGA4への移行を進めることができています。

終わりに

今回、Google Analytics(GA)のGA4移行に際し、併せて設定作業が必要なGoogle Tag Manager(GTM)の設定タグ情報を収集するツールを開発したことを紹介しました。GTMで設定したタグは通常管理画面から閲覧できますが、個別にタグ設定を確認するのに手間がかかりました。
そこで、Google Apps Scriptを使い、GTMからGAに関するタグ情報を抽出し、設定情報をスプレッドシートに出力するツールを開発しました。これによって、移行すべきGAタグの情報をスプレッドシートでひと目で確認できます。さらに、詳細な設定情報がシートに出力されているので、管理画面を操作する手間が大きく減少しました。その上で、GA4に移行すべきタグをスプレッドシート上で設定シートを用意することで、GA4移行に伴うGTM設定作業を効率化できました。
こうした効率化ツールを活用しながら、2022年度中にGA4移行のプロジェクトを完了させていきたいと思います。
(メディアデザインセンター・山本剛史)