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ジョンとジョシュ レッチリ考 ~後編 ジョン復帰後、期待するもの

あけましておめでとうございます。

ジョン・フルシアンテ復帰記念、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの記事の後編です。

後編ではいよいよ、ジョン再復帰後のレッチリに求めるもの、そしてジョンに求めるものを考えていきます。

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ジョンがいる頃の直近の3枚をこの2~3週間あまり、繰り返し聴いていました。恐らくその時期の作風をいくらか引き継いだ作品が来るだろうと。また、そこにジョシュ期の2枚の作風が加わるだろうと。

待ち望むのは、

Stadium Arcadium期のようなテクニカルなギターを、アルバムやライヴで観たい。動画で繰り返し観られているような怒濤のギターソロや、圧巻のセッション。

Californication~By The Way期のような良質で哀しいエモーショナルな楽曲をアルバムで聴きたい。セールスにもちらっとだが期待したい。

これの両方がほしい、そして望める状況でしょう。

プラス、時代に合わせた、またここ10年のジョンやレッチリの志向にも合ったデジタルな音作りへの接近。

これからのレッチリを考えたとき、浮かんだのは、邦楽ですみませんがLUNA SEAやTHE YELLOW MONKEYの姿でした。

年輪を重ね、これまで積み重ねてきた自分たちのプレイスタイル、自分たちの「ロック」を大切にして、べったり時代と寝た音を出して媚びたり若ぶるでもなく(若い音を出すのはKing Gnuや髭ダンにでも任せておけばよいのです)、さりとて昔のままに固執するでもなく適宜アップデートを加える。

優れたライブバンド。劣化の少ないレジェンド。そして、Mステや紅白など、ある程度テレビにも露出して、Twitterのトレンドとなって話題にもなる。

「時代に媚びない、今もカッコイイ」

「胸を張ってリスペクトできるロックバンド」

ロックバンドの理想はこれだなー、と思います。加えて、ジョンの特徴として「同じことの繰り返し、過去の自分たちをなぞるような真似は嫌い」というのがあって、そこを活かしてゆっくり進化していけたら最高ですね。

また、これまでの歴史を鑑みると、やはりこれも大事。

ジョンとフリー、双方の意向がきちんと生かされること

どっちかが我慢したり譲っていると、ちょっとつまらないアルバムになったり(Stadium Arcadiumの一部の曲)、脱退騒ぎになったり(By The Way期のフリーは脱退手前だった)するので。

ジョンのやりすぎ、「支配しすぎ」は、ほどほどにしておいてもらいたいものです。歳を取って少し丸くなっているといいのですが。

ジョシュは、フリーをはじめ皆に気を使えて、皆を立てるタイプでした。それがよかったのがThe Getaway。しかし、フリーたちはそれでは物足りなかったのかもしれません。また昔のように喧嘩しても、とことんまでやりあっても、良い曲や音を突き詰めたい。そういう意志があるのでしょうか。

「ヴォーカル」「ギター」「ベース」「ドラム」にこだわった音楽をやり続けて欲しい(基本。アレンジしたり時には飛躍してもいい)

アンソニー、フリー、チャド、そしてジョンは、やっぱり世界屈指のプレイヤーで、現在活躍するプロミュージシャンにもフォロワーは多く、Youtubeには彼らをコピーしたいと憧れるギタリストやベーシストやドラマーで未だ溢れており、そんな皆がコピーしたくなるサウンド、フレーズ、プレイを繰り出してほしいのです。尊敬できるようなライヴや振る舞いを見せてほしいのです。各楽器の高みを、キャリアの最後まで追求してほしいのです。

そこに「枯れた曲」が加わって年輪が出るか。ジョシュが脱退して、メンバーはもうみんなおじさん、というかもうすぐおじいさんです(正確にはジョシュもおじさんなのですが)。年齢を重ねたからこそ感じるもの、描ける風景、合うテンポがあるはず。私もそうですが多くのレッチリファンも歳を重ねています。歳をとればいいのです、もうジョシュに合わせて若ぶらなくていいのです。一緒に歳をとりましょう。手に手を取って。

また邦楽になってしまいますが「ねごと」という女性ロックバンドがいまして、彼女たちは元々シンプルなロックバンドだったのがエレクトロ方面に次第に傾倒していき、最後はロックバンドであることを放棄してしまいました。そして解散。こういう解散の仕方をするロックバンドがいくつかいると思います。やりすぎると、本人達もファンも離れてしまうと思うのです。

もうレジェンドといわれる頃合いに達して、ヒットソングに過剰に固執する必要もないんじゃないか、好きなようにやればそれでいいんじゃないかとも思います。ただ、いつまでもリスペクトされるプレイヤー、アーティスト、バンドであってほしい。これだけが切なる願いです。

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では、レッチリ、そしてメジャーの音楽シーンに10年ぶりに戻って来たジョンには、どんなことを望むでしょうか?

・できればもう投げ出さないこと

二度も三度も同じバンドを辞めて戻って来ていいのは、ジョンと、Yesのリック・ウェイクマンだけです。これ以上ははっきり言ってわがままです。Yesや他の海外レジェンドを見ていても思いますが、キャリアの最後の方まで、ここに骨を埋めてほしいと思います。老いぼれた最後の最後まで、ファンはついていく覚悟です。あとそろそろ、次にジョンがやめたらこのバンドはもう終わりでいいかもしれません。

・この10年やってきたことは無理にやめなくてもいい

セールス的には、ジョンが一人で追求してきた音楽は、あまりうまくいっていなかったし、商業的な音楽を厭ってもいたし、それで「商業的には地味だけど音楽的にはとてもおもしろい」と大きな話題になったわけでもなかった。ものごとを「成功」と「失敗」の二分論で捉えがちな今の風潮で言えば、ジョンのソロワークは「失敗」です。しかし、それがあったからジョンは昔のようなジャンキーに戻らず、そこそこの状態でもう一度レッチリに戻って来られたという側面もあります。

ソロワークでやった試みや実験がレッチリに還元される可能性もあるし、レッチリでマスを意識して作らなくてはならないストレスをソロワークで発散できるというメリットもあります。ギター弾き語り、ジョンの歌中心の楽曲などは、ソロでこそ聴けるものです。ソロにも期待してしまいます。実を言うと、ジョンは「レッチリに復帰」よりも「ポピュラリティを増した路線でヒットアルバムを出してメジャーシーンに返り咲き」というシナリオで現世に戻ってくることを私は夢見ていました。まあ、これはこれで・・・という。

・レッチリでもソロでも素敵な曲を書いてほしい

これに尽きます。素晴らしいギターも言うまでもなく重要ながら、それと同じくらい大事なのが「バンド随一のソングライター」という側面。本当によく戻ってきてくれました。またレッチリで「心を震わせて」ほしいです。


最後に、言うまでもないかもしれませんが、ジョンの素晴らしいところを書いて終わりにします。

「これだ!」と感じられる絶対的なキラーチューン、キラーフレーズ

・どうしようもなく人を惹きつける磁力のようなもの。マイナスの引力かもしれないけれど、天然の魅力。それを「カリスマ」というのかもしれない

愚直で正直すぎる生き方、生きざま

・人が(日本人でも欧米人でも)共感しやすい曲作り、普遍性、ポピュラリティ


The best of JOHN FRUSCIANTE! (Guitar solo-compilation) [HD]

Red Hot Chili Peppers - Californication LIVE Slane Castle

ジョンの魅力とレッチリの魅力が最大限に詰まった動画を最後の最後に添えて、この記事を締めくくります。

ジョン、おかえりなさい。あなたの全てが今は楽しみです。きっと何をしても私は、私たちはあなたを無条件で受け入れます。あなたを愛しています。私だけじゃなく本当に多くの人が。世界中があっと驚く、そして安堵する瞬間はもう、すぐそこまで来ています。

いつの日か小説や文章で食べていくことを夢見て毎日頑張っています。いただいたサポートを執筆に活かします。