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品質向上に繋ぐデザイン指標の作り方 デザインコンサルタント 長谷川恭久氏【Tech Trend Talk #8】@株式会社GIGを聞いてきました

概要はこちら:品質向上に繋ぐデザイン指標の作り方 デザインコンサルタント 長谷川恭久氏【TTT #8 】 - connpass https://giginc.connpass.com/event/102066/

2018/10/24の夜間に開催されました。

関連する長谷川さんのブログ:デザイン指標から価値を伝えてみよう : could https://yasuhisa.com/could/article/making-design-metrics/

プレゼンテーションを聞いて(プレゼンの内容、プラス私の雑感を混ぜてます):

長谷川さんは「デザイナーは、ビジネスの人が決めた数字目標達成(たとえばページビュー)"のための” デザインワークをやらされていませんか?」と問題提起している、と感じました。

そして、ビジネスチームの掲げる数値目標ですが、往々にして、それだけでは「何とも言えないもの」だったりもする、とのことでした。

"たとえば「離脱率が下がった」ここからユーザの行動が理解できるでしょうか?「ここでやりたいことができたから離脱した」(ポジティブ)とも考えられるし、「このページには探していた情報は無かった」(ネガティブ)とも考えられます。"

長谷川さんは「既存のビジネス指標があるなら、それに対応するような、デザイナー側から提案できる指標を作る」ことをすすめていました。

その指標は、ユーザの感情や行動を具体的に表現するものです。

たとえば「1週間、この記事を最後まで読むユーザが、全体の20%」という指標。

まず、計測しやすいために期間を切る。具体的なユーザ行動を設定する。分母と割合で設定する(多ければ多いほどいいを避ける)

そして、はじめの一歩の場合、割合は、勘で決めちゃっても良いそうです。はじめは、勘でやるしかない。その後、軌道修正して、適正な値を思われる割合の数値に設定していけば良い、とのことです。

良いデザイン指標のポイント:
実行可能(提案できる)
誰が見ても分かる、理解できる(特定の人しか良し悪しが判断できないのはBad)(解釈がたくさん生まれてしまうのもBad)
比較できる
比率や割合で設定する
★ユーザの行動・態度・感情にかかわるものにする

指標がないまま「いいデザインを作りました、おわり」では、デザイナーは「いつもゆるふわなことしか言わない人たち」「感情的なことしか言わない」と周囲から思われたり、「アーティスト扱い」になってしまう、という懸念がある、とのことです。

ビジネスの指標と連動した、デザイナーから見た指標を提案して、改善プロセスを可視化する。これは周りにも理解しやすいと感じました。というか、「デザインがよくなった」これは分かるのですが、それをビジネス指標だけではなくて、よりユーザの行動に寄り添った指標の変化で把握できるのは、組織にとって有意義だと思います。

「デザイン指標はどこに向かうのか?それはユーザの成功体験である。それをデザインするのがデザイナーの仕事。」とのことです。

また、デザインが感情に関するもので留まっている場合の危険性として「偉い人の気分でデザインが決定されてしまう」というまずいパターンがあるそうです。そのためにも指標が必要ですね。プロダクトやサービスのためのデザイン、そして、ユーザのためのデザインであるべきですよね。

あと、計測した数値ですが、「みんなが見れる場所に置く」これも大事なこと、とのことです。

まとめ:
デザインは人間の感情にうったえるものでもあり、ついつい「いいよね」「いまいち」という、あいまいで主観的な話になりがちです。
そうではなくて、いかに、ユーザにとって価値を提供するものになるのか?そのことを忘れないことは大事だと思います。
セッション後のQAで「はじめはどんなサービスもユーザのことを見ているはずなのに、いつも間にか、数値達成のためのプロジェクトに変わってしまう。それはなぜなのか?」という質問が出ました。これに対しての回答は「組織が拡大することでヴィジョンや思いが伝わりづらくなっていくのも問題ではないか。大きな企業であれば、企業のビジョンを伝えるポスターがあちこちに貼られていることがある。コピーとビジュアル。このような、一見、地味な取り組みでも、大事」とのことでした。
私は、デザイナーが作ったものをコーディングする仕事をしているのですが、自分がかかわったことが、ユーザの行動にどう結び付いたのか?それを計測する機会に、かかわることができたらいいな、と感じました。

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