バルゼレッタ barzelletta vol.14
「イタリア生活」
― 行動開始!―
フィレンツェでの学校生活、そして土日の余暇・フェスタ。
外国にいるということ、学生ということで楽しいこともあったが
イタリア語の上達に伸び悩み、悶々とした日が続いていた。
段々焦り始める。
このままでいいのか?
イタリア語が話せなければ厨房に入れない。
いつになったら働けるようになるのか?
イタリア料理を作れるのか?
所持金も底をつくのは目に見えてる!
いつもこんな葛藤と隣り合わせだったように思う。
クラスは月単位で変わっていく。
レベルアップしていれば次のクラスへ、アップしたいない場合はまた同じクラスに居残らなければならない。
シビアな仕組みになっていた。
そしてクラス替えの時期となり皆でお別れ会をレストランですることになった。
学校に通いはじめた2か月目の月末だった。
レストランはとても風変わりな店で、昔のワインセラーがそのままレストランになっているところ。
まるで洞窟のよう。フィレンツェ郷土料理が食べられる店だった。
私たちの学生グループは閉店まで盛り上がり、仕事を終えたコックたちも
どういうわけか私たちのグループに混ざって盛り上がりだした。
これはチャンスだ!コックと話せる!
直談判だ!
料理を学びに日本から来たから、このレストランで働かせてくれないか?と。
二人いたコックは酔っていたせいもあったのか、
二つ返事でいいよ~~明日からおいでよ!と言うではないか。
ラッキ~~~こりゃ思いがけないことになった!
明日から来てもいいって。
いつものダメ元精神が生きる!
翌日から学校が終わって夕方からレストランに行くことになる。
そのレストランはオープンキッチン。
お客さんが厨房をのぞける形式になっている。
私は白いシャツとコック帽をかぶり、調理補助をさせてもらえることになった。
そのフィレンツェ郷土料理店は豆の煮込み、肉・内臓の煮込みなどかなりヘビーな料理ばかりだった。
しかし初めてのイタリア料理を学べる!
嬉しいのとお客さんからみえるのとで気恥ずかしいやらで
数日を過ごした。
今となっては何をしていたか、記憶がまったくない。
ただ、鍋の中で煮えていた豆や臓物の料理だけが思い出される。
そのコック達ともとても仲良くなり、楽しく数日を過ごしたのだが
一週間目ぐらいになった頃からそのコックらの様子がおかしい。
元気がないというか私を見る目が前日とはっきり変わってしまった。
どうしたんだろう~。
私に何か話したそうだがいい出せないでいる・・・そんな感じだった。
とうとう一人のコックが、
「レイコ、申し訳ないが明日からこないでくれ!」と。
え~~~なんで~~~~!!!
私じゃ役に立たない?
コックは観念したように、
「いやいや違うよ、外国人、しかも労働許可のない者を働かせるわけにはいかないんだよ」
レストランオーナーから早く私に言うようにと2~3日前に言われたとのこと。
とても悲しそうに切り出した。
あ~~そうだったのか。
わかった。と私。
かなりショックだったなぁ。
労働ビザがないと働けないもんねぇ…
じゃどうすればいいの?と。
労働ビザを取るには色々厄介なことが多い。
世の中そんなに甘くはなかった・・・
レストランで働くも一週間という短い時間であっけなく終わってしまった。
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