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覚えてないんじゃない、録音されてないだけなんだ。

お酒を飲んだ次の日、昨日どうやって帰ったんだろう、あれ?ちゃんとお金払ったっけ?という程度ならいいのですが、自分のとんでもない失態を友人から聞かされてマジ死にたくなったことはありませんか?私はあります。

そういう状態のことを普通は「覚えていない」というわけですが、これは果たして正しい言い方なのでしょうか。覚えてない。という観点で言うならば「本来ならすべてのことを覚えている」はずで、それを覚えていないと言う場合、覚えていない部分は「本当は脳みそのどこかにあるにはあるんだけど、それが取り出せない状態」ではないかと思います。

例えば数学の公式などで、一度はちゃんと示され、こちらも認識をしたけれどテストの時には「覚えていない」とか、犯人の顔を見たけれど時間が経ってしまって「覚えていない」とか、賄賂をもらったけれど都合上「覚えていない」など、つまり、一旦は認識したけれど、それが再現されない。という状態を言うように思います。

酔っぱらった時に「覚えていない」に関して言うなら、それはちょっと違うんじゃないかと思います。再現も何も、そもそも「記録されていない」のではないでしょうか。なぜなら、酩酊している場合、脳みそや肉体はものすごい過酷な活動をしているはずなんです。

肉体的にはまず、アルコールの分解や排出が必須です。血中のアルコールがうんぬんかんぬんで、肝臓がアルコールを分解してアセトアルデヒドがなんたらかんたらで、腎臓も働いておしっこを作ったり、いよいよ「イカン!分解が間に合わん!下手したら死ぬ!」ってなった時には、胃袋に入れた酒を「ダメやー!入れたらダメや!出してまえ!」と、排出。つまりリバースですね。直接的に言えば嘔吐です。そうやって、アルコールの作用から肉体を守る為にありとあらゆる細胞や神経が総動員されて大忙しなわけです。

同様に脳みそもひたすら肉体、内蔵に指令を出しまくって、迅速に処理をしている一方、きちんと歩けるような信号も送らなくてはいけません。タクシーに行き先を告げたり、お財布を出してお金を払ったり。あるいは、普段通り電車に乗れるようにしたり。よくまあ、あんなに酔っぱらって無事に帰れたもんだ。なんて言って、それ、全部脳が指令してやってれてるわけですね。

自分の処理能力をいっぱいいっぱい使って、それでも足りなければどうなるでしょう。つまり、別の部署から引っ張って来るわけです。普段は違う仕事をしている部署からも応援がくるんですね。そうなった時に、

記録なんかしますか?

記録なんてのは二の次なんです。「あーダメダメ、そっちは側溝だよ、落ちるよ!」とか「ちょ、ちょ、ちゃんとトイレまで辿り着いて!」とか「取りあえず家まで帰ろう、ね」とか酔っぱらいの処理+正常な処理を二重でやってるわけですから、普段は冷静にスコア担当してる部署も駆り出されて、生体維持に奔走してるはずなんです。

そうやって考えた時、思い出せないのは当然なんです。再生されるわけないんです。だってそもそもが

録音されていない

んです。記録されてないんです。録音ボタン、誰も押してないんです。覚えてないとかじゃないんです。ですから、酔っぱらって覚えてないことは思い出せなくて当然なんです。

生き死にに関る大事故のことを覚えてない、という話を聞くことがあります。あれも、多分脳の処理能力限界で、記録されてないんだと思います。

覚えてない、記録されてない。この違いは大きいと思うんです。そう思って、痴呆のこと、例えば、今朝、何を食べたか覚えてないが、子どもの時に盗んで食べたイチゴのおいしさは覚えている、などと言う話も脳の録音機能の問題なのでは、などと考えたりしています。

ちなみに、冒頭に出てきた私の失態とは「昨日、Yukiちゃんぼくにキスしたよなー」と、まったく普通の友人に言われたことです。酒は飲んでも飲まれるな。飲み過ぎには注意しましょう。

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