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プロポーズなんてされない

私の家の隣りに住んでるヒツジくんの話をしますね。

「今の奥さんと付き合っていた頃、なんか奥さんの実家に行くことになってね、いやぁ、その時初めてだったの、実家に連れてかれるの。なんで行ったのかなぁ。そうそう、なんか重い荷物が実家に置いてあるから、取りに行くの手伝って欲しい、って言われたんだっけ。同棲してたからね。それで、行ったの。一緒に。そしたら、お父さんとお母さんが出て来て、お茶出されて。なんか結婚の話になって。いやさ、自分は結婚する気とか、まあ、ぜんぜんなかった訳じゃないんだけど、別にまだかなぁ、って思ってて。そしたら、奥さんのお父さんとかお母さんが「よろしくお願いします」なんてこと言って来て、ええ!俺、結婚するの?って、なって、なんかそれで結婚しちゃったんだよね」

こういう話、割に他でも聞くことがあるんです。結婚する時にプロポーズがあったか、なかったか、という話になると、明確でロマンティックなプロポーズをして結婚してる人のほうが、少ないんじゃないかと思うんですね。あるんでしょうけど、私の周囲では聞いた覚えがない。

このヒツジくんの場合、当時アルバイトで、就職してたわけじゃなかったし、ああいう状況にならなかったら(無理矢理嫁さんの実家に連れて行かれること)自分から結婚を言い出すことは、なかったんじゃないか、とのこと。

ただでさえ、普段の仕事で辛い局面に立たされる事の多い男性。元来、男は繊細な生き物。できれば、責任を取りたくない。日々は穏便に過ごしたい。精神的に消耗するような劇的な変化はごめんこうむりたい模様なのです。(稀に劇的な変化を好む男性もいるようです、もちろん、ちゃんと責任感をお持ちの男性も)

そんなことで、男性の中には、

・まだまだ責任を負えそうにない(し、なるべく負いたくない)
・収入が少ない(けど、増やす予定も特にない)
・家庭を支える自信がない(でもひとりだと寂しい)
・もっと自分のことに時間を使いたい(できればお金も)

結論:とてもじゃないが、自分から結婚なんて言い出せない、面倒だから、今のままでいい。

という人も多いわけですね。こういう人からのプロポーズなんて、期待薄です。特に勤め先がちゃんとした企業や公務員じゃない人。夢を追ってるような人とか。そんな場合、劇的な、フラッシュモブみたいなプロポーズなんて、

待ってちゃダメ!絶対。

ヒツジくんの奥さんがやったように、密かに行動を起こして、うやむやに事を進めて行った方が結婚に繋がるように思うんですね。結果、ヒツジくんもちゃんと仕事をして家族を養っていますし。男の人って繊細、だけどずるいところもある。大人しくドラマみたいなことを待ってても、なーんにもしてくれないですよ。こっちがドラマにしなきゃ!私も駆け落ちしたし。いや、でも、いくらドラマでも、駆け落ちは面倒だね。後からこっそり荷物取りに行くの、すごいカッコ悪いしね。

さて、今の彼と付き合って長いけど、プロポーズをなかなかしてくれない。でも、無理強いすると嫌がって離れて行ってしまうんじゃ。なんて心配をする女の人もいるかも知れません。それって、正直心配ですよね。結婚だけしたいのか、って思われてもイヤだし。なんか焦らせてもいけないし。とても難しいと思います。かと言って正味のところ女には...

タイムリミットがある。

だって、男はミック・ジャガーみたいに72歳になっても子ども作れるやん。女にはさ、色々事情があるのよ。で、もし、女がなにかアクションを起こして、それを嫌がって離れて行ってしまう男性がいるとしたら。そしたら、そもそも結婚してもダメってことでは。だって、結婚すると、互いの性格がもっと露骨にぶつかるからです。だったら、早いうちにガチンコでぶつかり合っといた方がいいのかも。なんて、私は思います。

そんな風にガチンコな付き合いをしているのかどうか、気になる知り合いがいます。15年間付き合ってるけど、彼とは別に結婚しなくてもいい。適度な距離感で一緒にいられたらいい。そう言ってる女性。なんか大人の男女のカッコイイ関係のようにも見えます。でも、よくよく聞くと「結婚してくれ、って言われたら、してあげなくもない」と、言うのですね。友だちの子どももすごく可愛がるんですね。子ども大好きなんですね。

どうも相手の男性が「結婚すると自分は表現者として陳腐なものになるんじゃないか」と思っているふしがあります。彼はデザイナー(てか、イラストレーター?)なんですね。「いわゆる芸術家あるある」です。うん?世の中には結婚してても、すばらしいアーティストって、沢山いるんじゃない?それって、単なる言い訳じゃ...。私がそんな風に、アヤシく思っても、そんな彼に結婚の話をしたら自分もツマラナイ一般的な女だと思われてしまう。自分はアーティストの彼女としてふさわしい女でなくちゃいけない。自分の仕事にも一生懸命の彼女は、そうやって、結婚には興味のないフリをし続けているうちに、子どもを産むのが難しい年頃になろうとしている。

もちろん、恋愛の最終形態が結婚。というわけではありません。男女は色んな関係があってもいいし、むしろ結婚というシステムほど男女の形としてナンセンスなものはないんじゃないのか、とも思っています。でも、本当は結婚したい。子どもも欲しい、って思って、くるはずのないプロポーズをほんの少しの希望を持って、男を立てるように付き合い続けている。
「プロポーズなんてされないよ、自分からなにか行動を起こさないと!」って、言いたいんだけど、彼女とはそこまで仲良くない。言ったらきっと嫌われて距離を置かれるんだろうな。だったら、黙っていよう。それに、単に私の杞憂で、本当に別に結婚したくないのかも知れないし...。ほんま、それやったら余計なお世話やし...。そんなことをモヤモヤと考えてしまう私は、今日もひたすら畑の草を刈るのでした。

(ちなみに、最初の話のヒツジくんは愛称で、ちゃんとした人間だよ、念のため。それにね、本人は「あの時は騙された」みたいに言ってるけど、その話をしてる時って、ホントに楽しそうで幸せそうなのが不思議にかわいいです。おっさんだけど)

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