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42歳が女の頂点説

私、今月で52歳になるんです。30代の人からみたら、52歳の女なんて、もう人生終わってるも同然でしょう。実際に、自分が30代の時はそう思ってました。50過ぎたら半分もうおばあちゃんみたいなもんだと。

確かにそうなんですよ。この間、古くなったビルの前を通りかかった時、ふと思い出したんです。「ああ、昔このビルの2階に青色申告会があって、商売を始めた頃、経理のことなーんも分かんなくて、確定申告の最終日に来たなぁ」なんてこと。同時に、そんな若かった自分に対して、どこか愛しさがこみあげてきたんです。それって、めっちゃおばあちゃんっぽくないですか?昔の自分をそんな風に思ったことなかったわ。けど、何て言うか、私と言う別人を思い出した、そんな感じだったんです。

確定申告最終日にも関わらず、丁寧に申告手続きをやってくれたなぁ、とか。お店始めたはいいけど、ヒマな日が続いて「なんで誰も来てくれないんだろう」って、布団の中で泣いたりしたなぁ、とか。ラジオ深夜便聞きながら夜中の3時までコンフィ仕込んだり、ピザ生地仕込んだりしたなぁ、とか。

まあ、30代って一生懸命働くんですよ。体力もあるし、自分の可能性を信じてるとこあるしね。店やって、息子と添い寝してた義母と交代する。なんて日々でした。その義母とガチで何度もケンカもしたし、武司くんとも何度もケンカした。40代もめっちゃ働いた。店2つやって、毎日飲んだ。タケシくんとやっぱり何度もケンカした。それから離婚もして、借金返して店もやめて、百姓始めた。

そうやって50代になった。今の自分って、その頃。つまり「30代と40代のすごいがんばった自分」でできてるんです。もうね、30代と40代の私にすごい感謝なんです。よくやったなお前!ありがとう!って。でもね、40代のとき「20代と30代に自分が頑張ったから今の私がある」とか、30代で「10代の私と20代の私が今の私を作っている」とか。いやいやいや、もう全然思ったことないわ。ホントに。微塵もない。

なのに、なぜ今、52歳を目前にこんな風に思うのか。面白いですよねー。自分をかわいく思うなんて。考えてみたら、決して賢いやり方でもなかったし、すごい儲けたわけでもない。なにかを成し遂げて有名になったわけでもない。けど、一生懸命だったのは確か。その時、自分にできる目いっぱい、まあ、多少はサボりながらだけど、それでも、まあ頑張ってたよ。特に後悔もない。反省は常にするけど、後悔はねえ。仕事もやったし、女もやった。

自分の中で、40代、特に40代前半の、さらにもっと細かく言うと40~42歳って、女の最終コーナーだと思ってて。女として華のある最後。いやさー、私が一番きれいやったのって、40~42歳の時なんよ。自分で言うのもなんやけどな。だって、20代って勘違いの年代で恥ずかしいし、30代もまだ青い。他の人見ても、女として成熟した美しさがあるのって40~42歳って感じよ。その証拠に、45歳を過ぎたら一気に下降線。つまり、女が一番最後の最後に輝く時。それが40~42歳なんよ。ホントに。ホラ、電球なんかが消える前、急に眩しくなったりするでしょ?チーズや酒なんかの発酵もそうよ。行き過ぎると腐るけど、直前がおいしいでしょ?発酵は止められるけど、人は生き続けるからね、基本。

だから、女に関連したことを実現したいなら、その年齢までにやったほうがいい。恋愛も結婚も出産も。42歳だと体の線もまだキレイ。髪も水気があるし、加齢臭もない。けど、そこが頂点。

45歳を過ぎてごらん。気づけば皺があるし、気づけば足には老人班、目の下のぷよぷよ、ほうれい線。頭どころか下半身や眉毛に白髪。体の経年変化が看過できないくらい老人寄りになる。体を見て、鏡を見て愕然とする瞬間が必ずくる。これ、危険なのは42歳まではホントにきれいでいられるから錯覚するんです。結構自分、イケるやん。って思う。けど、その賞味期限はせいぜいあと5年。(ちなみに、3~5年くらいは個人の誤差の範囲)。

まあ、私の経験上の感覚なので、一概に言うことはできないし、男性の対象年齢を60代70代にすれば、まだまだ女としてイケる。でも、自分が45歳になった時、もう女としてのジャンルは卒業しようと思ったんですね。まあ、思わなくてもおのずと前線からは外れて行くわけで。女としては色々楽しかったし、よくやったしいいや。それにこうなることはある程度予見していたから、逆算していろいろやったもん。

例えば、30歳の私が自分の中に30歳の種を蒔くとします。それが芽になり、育って、葉が広がり、花が咲く。40歳になった時に種ができて、今度はその種を40歳の自分に蒔く。次にそれが育って50歳の私になる。そんなイメージ。苗の世話をして、肥料や水をちゃんとあげて、太陽の光にあててあげる。風通しをよくして、時々いい音楽も聞かせて。

育て方でどんな風にも変化していくのが人間。ある程度の年齢までは親が育ててくれるけど、大人になったら誰が育てる?自分しかいないと思います。

そんな風に育ってきた自分。今はうまく60歳の種が育っているかどうか。年取るって、まあ、面白いなと思います。

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