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法人にしないという選択

「お金持ちになれる幸せな黄金の羽根の拾い方」という本をご存知ですか?橘玲(たちばなあきら)さんという方の書いた本です。

この本を読んで、影響を受けた私は2005年会社を設立しました。その前には「金持ち父さんシリーズ」もすべて読み、投資やなんかにも興味が出て居たのですが、同時期に義母の不動産事業の失敗で、数百万単位の負債を押し付けられたこともあって「チキショウ!もう世の中の金をむしる取る仕組みには騙されねーぞ!」と固く誓っていた頃です。

私は当時(義母の借金により追い出された)ワインバーを移転し、同時にカフェも始めたばかりでしたが、売上が上々、というほどでもありませんでした。会社にすると経理が煩雑になるため、税理士さんを雇うことになりますが、月に一回、領収書を見てハンコを押すだけで、月2万円。決算月には別に10万円近い金額が請求されます。同時に、社会保障の事務も煩雑ですから、社会保険事務所にも月に1万円の支払いが生じます。

また、その時社員が私と武司くんとスタッフ1人の計3人でしたが、厚生年金と社会保険の金額もバカになりませんでした。会社が半分折半で持ってくれるって言うけど、その会社やってるの自分やん。結局自分が払うんやん。という感じです。

おまけに、インターネットのネット通販のサーバー料金も法人になると、ゼロがひとつ増えるとか、とにかく法人になると色んなサービスが「法人金額」になり、それがめちゃ高い。いやね、社員が100人くらいいる会社なら分かりますよ。けど、私たちって個人だったのを法人にした、ってだけで、内容と規模は個人レベル。なのに、負担金だけ無条件で高い。サービスの内容はほぼ同じなのに、ですよ。

橘さんの本に税金対策として「小規模企業共済に満額7万円を納付する」というのがありますが、7万円はおろか、1万円も出せないありさまです。そもそも、個人から法人になったひとつのきっかけは、県のコンペで「法人であること」という条件があったのですね。けど、コンペってそれ1回きりで終わってしまったので、もう後は別に法人でなくてもよくなりました。こんな状態ですから、決算は赤字。にもかかわらず、法人市民税、県民税で7万円払わなくちゃいけません。

それに、何か変更があるたびに会社謄本が必要になる。それを取得するのにいちいち1000円とかかかるし、変更があれば登記料で3万とかでしょ?いやもう、

法人、いったい何が得なん?

という思いがどんどん高まって行きました。それで、2年だけやってもう個人に戻しました。そしたらすごい色んなことがラクになった。デパートとの取引も法人だといくつも書類が必要で、取り寄せるのも有料、法務局にも行かないといけない。個人となると、せいぜい必要なのは印鑑証明。コンビニで取れる。

個人と法人で信用性は?と言われるかもだけど、そういうので困ったことは一度もない。個人だけど、めちゃ法人のところに商品を卸して取引をしてて、売上の1/3を法人との取引が占めています。

経理は青色申告会でブルーリターンをやっていればオッケーなので、年に会費が1万円、ソフト更新代が1万円のみ。決算の時は余分に3千円払う。社会保険だの、厚生年金だのがないけど、パートさんの雇用保険は必要なので、そこは手続きを代行してくれる社会保険事務所との契約が必要だけど、それも法人の時と比べたら断然安い年間3万円くらい。

それで、どうなったかと言うと、小規模企業共済に満額出せるくらいになりました。もちろん、厳しい時もあるから、そういうときはめちゃ金額を下げて1000円にした時もあるけど。それでも、身の丈に沿った経営ができるので、私には個人事業主が合ってるんだなぁ、と思います。

個人的に思うのは、男性は会社にしたがる傾向があると思います。まず第一に聞こえがいい。会社社長ですから。「株式会社」というサウンドに魅力を感じているように思います。また、会社をやっている。ということが自信にも繋がるのでしょうか。「女は意地、男は見栄」と武司くんがいつも言っていますが、会社にすれば確かに見栄は張れます。けれど、それで実務が付いてくるかと言うと、それはまったく別問題。見栄のために数十万円を毎年無駄に払う余裕があれば、の話です。

私は橘さんの書籍の通りやってみて失敗したけど、考え方としては大変共感をしています。それは単に私の売上が彼のやり方に達していなかっただけ。状況が整ってくれば、うまく運用できると思っています。国の施策に文句を言っても状況は変わりません(もちろん、選挙では一票を行使しますが)。国は膨れ上がる社会保障費を負担させるため、方策を考えどんどん押し付けてくるでしょう、会社へ。法律が自分に都合のいいように変わることはこの先あまりないでしょう。むしろ変わるのは都合の悪いほうへです。そう言った中でサバイバルしていくには、法人もいいけれど、規模によっては個人のままいるのも、これまた賢い選択のひとつであると思うのです。

実は私は会社もひとつ持っています。それは最初に書いてある「義母が失敗した不動産業」の会社です。なので、実際、私は会社を持ってもいます。個人と会社をふたつあります。橘さんの本の中には個人と赤字会社を運用する話が出てきます。これを個人と合わせて、個人と「法人という別人格」をうまく使いわけているところです。その話はまた別の機会に。

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