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結婚して離婚してからが男女

25歳の時、交際3ヶ月で結婚。もし、私があの時世間並みの思考の持ち主で、将来の試算ができる人間だったら、絵を描く以外に仕事をしていない男と、結婚なんてしなかったわけです。親から大反対されて、駆け落ちまでしなかったわけです。ところが私には輝く未来しか見えなかった。輝きすぎてなんにも見えてなかったんです。ただ、こう、パァーーっと、なんだか分からない未来のエネルギーがですね、こりゃ、なんかすごいことになるぞ、というワクワクがですね。いやいや、それ仕事のない男と一緒になったら未来なんて見えねーだろ、と言われるでしょうが、若いってアホなんですね。見えない未来は輝いてたんですね。

だからなにか機会があると私は「結婚は分別のつかないうちにしてしまうに限る」なんて、言ったりします。結婚ってのは二人で向かい合って、さあ今から一緒に積み木を積みましょう。みたいなもので、出来上がった積み木が二人の間にあるわけじゃないんです。これはこっちに置くね、とか、あ、でもこっちのがいいんじゃない?とか。そうやって組み上げてくのが家族なんだけど、喧嘩すると「うりゃー!!もともとこんなもの作る気なかったんじゃー!」なんて積み木をバーン!って崩しちゃったりね。あるいは、二人がそれぞれ別のところに積み木積み上げちゃったり。気づいたら相手が別の人と積み木積んでたり。

思うに、結婚して数年くらいは一緒に住んで色々やることが楽しいけど、一定期間過ぎたら別々のほうが楽になっちゃう。そりゃ恋愛の熱ってのはいつか冷めるから、その後は男女、というよりは家族になっちゃう。セックスレスとか考えてみたら当たり前で、よっぽどお互いに努力しないと肉体関係は続かないと思います。それこそ、自然界の水たまりに一緒に住む生き物のように、それぞれの居場所を作って、お互い適当な距離を保ちつつ、ストレスにならないように生きていくのが家族で、お互いを心底から分かり合えているのが夫婦かと言うとそうでもない。むしろ友達や同僚やなんかのほうが分かってたりする。

結婚に完璧な形なんて、そもそもないんで。大体において、形ないじゃないですか。入れ物もないじゃないですか。だからそれぞれが気持ちいい距離でつながってたらいい思うんです。それが結婚という形でも同居でもいい思うんです。ただ、単に同居人だと相手が病気になったり、不測の事態になった時に病院や行政機関から好奇の目で見られて「で、お宅は?」なんて言われていちいち面倒な説明が必要になってストレスです。武司くんのお母さんがそれで、苗字も3つくらい使いまわしてました。人によって呼び名が違うので、こっちも「あ、この人にはこの名前で通しているのか、ハイハイ」となって、まあ面倒でした。その点、一度結婚してあると、離婚した後でも「元妻なんで」って言えます。元妻は通りがいいです。かなり色々ごり押しできます。まあ、お母さんはなんでもごり押ししてたけど。

要は、自分たちにとって気持ちのいい形と、世間が求めている形は違うという事実があります。けど、世間も実態がないわけです。世間よりは自分たちのようがよっぽど実態がある。けど、世の中の決まり、法律は中身に実態があろうがなかろうが、一応の形を想定してそこに付与するものだから、自分たちの気持ちよさと絶対的にずれてくる。結婚という形を取った男女だけが享受できる恩恵ってのがあるわけで、そのために年金がもらえるようになってから突然離婚を切り出される熟年離婚、なんて事態が発生してくる。理想とされる形に沿うよう、夫婦の恩恵を受けたいあまりに、自分たちの姿を歪めて生きてきた人びとの悲劇です。

確かに、そう言った恩恵や利益に目を配るのもひとつの手です。税金面の優遇もありますよね。仕事にもよるけど、結婚してるほうが金銭面では優遇されてる。けど、私は自営業なので、私の借金の保証人に武司くんになってもらったりができる。これ、配偶者だとNGなんですね。実は、一度結婚して、そのあと離婚して適度な距離を保つ。というのは最強な選択にも思えるのです。もちろん、これで相手に彼女ができることもあります。実際、武司くんにガールフレンドができたこともありました。その時の私の感想は、「これで私以外の人も武司くんの面倒をみてくれる!」というものでした。まあ、面倒って言うと語弊があるけど、将来周囲にいる人間は多いほうが色々安心じゃないですか。なんか、そんな感じで男女もやっていければ、なかなか平和なんじゃないかと。結婚の一番困った点は「相手が自分の所有物」って勘違いしてしまうことですから。

将来、私に彼氏ができる可能性もあるっちゃ、あるわけです。そういうの、考えたらちょっと楽しいですよね。今のところは妄想どまりだけど、そんな選択肢が何歳になってあってもいいよな、と思っておるわけです。まあ、結婚はしないと思うけど。いいじゃないですか、やりたいことやりましょう。

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