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奴隷社長

ちょっと奥さん、年収が2ケタ万円台の人の時給って、いったいくらだと思う?

店の営業が11時~夕方5時まで。けど、それ以外に家に帰ってからもネット通販のページを作ったりしますよね。朝から工房とやりとりして製造の打ち合わせもします。仕事帰りに納品に行くこともあるし、取引先へ提出する小難しい書類の作成もする。インスタやFBページに記事を書いたり、たらちねの予約の人とやり取りをしたり、英語での問い合わせに返信もする。特に英語に堪能なわけでもないから、翻訳ソフトにも手伝ってもらってやるとまあまあ時間もかかる。「鍵が開かなくなった!」「ブレーカーが落ちた!」という緊急事態にも対応したり、チェックインが遅いと夜の9時に店に行くことも。そういう労働時間も入れると、当然1日の労働時間は8時間なんてもんじゃありません。

まあ、経営者っつーのは朝起きてから夜寝るまでなんかしら仕事のこと考えてるわけです。それでも、1日に働く時間が10時間くらいとしましょう。で、計算してみたのよ。そしたら聞いてよ奥さん!時給200円なのよ!

社員さんって、人件費ベースで計算すると、時給が大体1,200円分くらいなのよ。かたや社長の時給が200円。そうなると、何が起こるのか。

今まで気楽に頼んでいた雑用。たらちねの庭の草引きとか、紙袋に店のハンコ押す仕事とか、サトナカのシール貼ったりするような単純作業をいつものように、S子ちゃんがやろうとすると、

「ダメダメ!S子ちゃんがやっちゃ!S子ちゃんは時給が高いんだから、もっと実のある仕事やって。雑用は私がするから」

ってなるんですな。だって、私のほうが時給が安いわけです。200円で働いてくれる人なんていないよ。奴隷でもなけりゃ。そう私は奴隷、そして社長。まあこれ、なんて言うか、いわゆるねじれ構造って言うの?けどね、よくよく考えてみたら(いや、別によく考えなくても)、社長にしかできない仕事っつーのは実に多いものです。それは決定すること。で、日々何かしら細々と決定することって、多いでしょ。多いんですよ。だから、やっぱりそれもやらなきゃならない。雑用ばっかやってるわけにはいかない。けれど、時給1200円の人に雑用させるのは実に効率が悪い。

そう、じゃあ、何をしなくちゃならんのか。それは業務の効率化です。いやー、来ましたね。ここまで来ました。なんか経営らしい話になってきたぞ!もちろん、うちのようなスタッフ若干3,4人でやっているような弱小商店では効率化もヘッタクレもないのですが、それでも、いくらかは取り組まなくてはなりません。今までやってなかったんか。と、言われれば、やってはいた。けれど、年月が経つと新しいシステムができたりするので、いちど効率化してしまえば終わり!じゃなくて、常に更新が必要になってくる。そういうのはやってなかった。だから、今それをやってる最中。

そうやって環境を整えて、しかるべき技能のスタッフが能力を発揮できるっちゅうもんですよ。まあ、そこまでの道のりが大変なんやけど。業務も、7年前はカフェやワインバーだったけど、今はお菓子製造、販売、卸、民泊経営、レンタカーとかもあるし。どんどん変わってきてる。やることが変わったら全部刷新しないとです。そもそも、私たちの仕事が

「自分たちがあったらいいな、というものを作る」

なので、もともとないものを作ることが多い。世襲でもなければ、前例もない。ノウハウもない。だから全部イチからやることになる。毎回それをやっている。まあけどやな、それが面白いからやっとるんや。金がねえ!と思うことはしょっちゅうだが、仕事やめたいとか、つらいとか思ったことはない。いや、あるかも知れんが忘れた。それくらい、自分で仕事を作るってのは面白いもんなの。ホントよ奥さん。例え時給が200円でもよ。

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