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病気なら、しかたがないんだろうか

私の病棟には、常連の患者さんも入院してくる。

その中に、あるおばあさん患者さんがいてね。

家族である息子さんには
決してやらないのに

私たち看護師には
唾を吐いたり
爪をたてて引っ掻いてきたり
目つぶししようとしてきたり
蹴飛ばしてきたりする
そういう患者さんがいる。

スタッフみんな
慣れてしまっているからか

また、引っ掻かれちゃった

〇〇さんの処置は
口元にマスクつけてからじゃないと
唾飛ばされるわよ~

と、こんな対応をしている。

けれど昨日
新人看護師と夜勤をしていた時。

はじめて、その看護師が患者さんに対応していたら、いつも通り唾を吹きかけようとしてきて

う、うわぁぁ!!!!

って、驚いていた。

そっか、これが普通の反応なんだ
私は、自分が傷つかないために
慣れているフリをしていたんだな…

と、気付かされた。

私たち看護師は
医療職であると同時に
ひとりの人間だ。

当たり前だけれど
そういう対応をされたら
普通に傷つくし悲しい。

ただ、相手は患者さんで
認知症がある。

やめてって言っても
やめてくれない。

言語的アプローチでの制止は
ほぼ無意味だ。

けれど、患者さんの口元を
手で押さえようものなら
息子さんからクレームが来るだろう。

息子さんには
そういうことは決してしないもの。

息子さんの前で
私たちナースが
つねられてたり
ぶたれたりしていても

お母さん、ダメでしょ

って言うだけ。

その手を押さえたりしない。
絶対。

息子さんからしたら
お母さんはお母さんであって
重度の認知症がある患者ではない。

親のそういう側面を受容するには
時間がかかる、とても。


相手は患者さん。
認知症がある。

頭ではわかっている。

でも

けれども

病気や障害があれば
なんでも許されるの?

私たち看護師は
いつもされるがままで

抵抗したり制止したり
できないままなの?

私たちのダメージは
誰がケアしてくれるの?
ねぇ、誰が?

って、新人看護師の心の声が
聞こえたような気がした。


病気や障害があれば
何をしても許されるのだろうか。

相手を痛めつけたり
傷つけたり
殺めたりしても
何も問われないのだろうか。

だったら私も認知症になって
何をしても許される人になりたい。

そして、その善悪が
わからない人になってしまいたいよ。

#ナースあさみ
#エッセイ
#認知症


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