ゲイ小説 「僕がゲイだと気付いたのは大嫌いな彼の仕草からだった」#5

「うわ~、やめて~」
転校生は必死に彼から逃れようともがいているが、彼も負けじと捲り上げたTシャツを転校生に被せて押さえつけていた。

Tシャツを捲り上げて転校生に被せるまでの数秒間だけ見えた彼の腹筋。
あの日見た時と同じ色白で綺麗な腹筋。
またも偶然だが僕は彼の腹筋を目にする事になった。

2度目も一瞬だけだったが僕は良いものを見れたと満足していたのに、3度目が帰りのホームルームで待っていた。
何かと騒動を起こしてしまっていた転校生の事を先生が気にかけていると話したところ、彼が突然立ち上がり転校生の元へ向かい昼休みと同じ行動をしたのだ。先生とクラスメイト全員がいる所で。

普段なら机と椅子があるからそんな事は出来ないけれど大掃除でワックスをかけなければいけない時と重なり、机と椅子は廊下に出していたのでみんな地べたに座っていた事。それがなければ彼はそんな行動を出来なかっただろう。

みんなは彼の行動を見て笑っていたが、転校生からすれば1日のうちに2度も同じ男子の腹筋に顔を直接触れた事になる。

転校生がその時どんな気持ちだったか僕は知らないが、僕は転校生がとても羨ましいなと思ってしまった。

僕も転校生のように彼の腹筋に直接触れてみたい。
彼に同じような事をして欲しい。

そう思うぐらい彼の腹筋は僕にとって魅力的なものになっていた。

#6へ続く

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