ゲイ小説 「僕がゲイだと気付いたのは大嫌いな彼の仕草からだった」#3

あの日の出来事があって以来、僕は彼の事が気になって気になって仕方がない日々を過ごしていた。色白なのに綺麗に割れていた腹筋が僕にはとても魅力的で、あわよくばまた見てみたいという気持ちが心の何処かにずっとあった。

だからといって彼に腹筋が見たいと言える訳がない。それどころか彼と話す事や一緒に行動する事も殆ど無い。僕は彼と接触出来る機会がクラスメイトにも関わらずまるで無いのだ。もし仮に言えたとしても変な奴だと思われ周囲にやばい奴だと言われるのは分かりきっている。僕が再び彼の綺麗な腹筋を見る事が出来るのは彼が僕の近くにいて、何らかの理由でTシャツを捲り上げるような仕草をした時ぐらいしか可能性は無かった。

彼が僕のそばに都合良くいるなんて考えられない。僕が彼の方を向いた瞬間に彼の腹筋が見えるような事があるとは考えられない。

だけど僕は彼の腹筋がまた見たい。
何故だか分からないけどまた見たい。

僕はその想いを密かに持ち続けながら彼と同じクラスで学生生活を送る日々を過ごしていた。

不意に僕の密かな願いが叶うとは知らずに・・・。

#4へ続く

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