ゲイ小説 「僕がゲイだと気付いたのは大嫌いな彼の仕草からだった」#6

偶然とはいえ1年に1度程度彼の腹筋を目にしていた僕。
最初は彼という人よりも彼の腹筋を好きになっていた僕。
でも時間が経つにつれて彼の事が気になっていった僕。

何年も同じクラスで過ごしてきた彼と少しでも仲良くなりたいと僕は願っていたけれど僕の思い通りにはならなかった。

それどころか僕の性格や容姿が災いし彼からその事をからかわれるようになっていた。人付き合いが苦手な僕は友達と言えるような人がおらず、一方で交友関係の広い彼が何か言うとみんなはそれに追随する。僕自身は何か悪い事をした訳ではないのに、彼を含めてクラスメイトから嫌悪されるような事が続き、僕はみんなの事を少しずつ嫌いになっていた。

彼の事も嫌いになって当たり前のはずなのに…。

どうしても僕は彼の事を嫌いになれずにいた。

いつも元気な彼でも時々学校を休む日だってある。そんな日は彼にからかわれる事も無いのだから少しは気が楽になるかと思えば現実は逆で、僕はとても寂しい想いをしていたし彼の事が心配だった。

彼が元気になって登校するようになれば僕はまたからかわれる。
だけど僕は彼が元気に登校して騒いでいる事が何よりも嬉しかった。

彼の言動は嫌い。
彼の腹筋は好き。
そして・・・彼自身の事が気になる。

複雑な感情の間で僕は悩んでいた。

#7へ続く

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