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毎日食べたウイグルの麺料理「ラグマン」 1987.8

ホテルで荷を解き、ようやく一段落したら、無性にお腹が減ってきた。

蘭州から2泊3日の鉄道の旅の間、車内販売のお弁当と味の薄い乾パンばかり食べていた。しっかり食事をしたくなり、ドミトリールームで先客だった年上の旅行者に連れられて、町の食堂に出かけた。

1980年代当時、中国にしろネパールにしろパキスタンにしろ、アジアの内陸の田舎町の食堂には、限られたメニューしかなかった(ホテルのレストランは別)。どの食堂に入っても、たいてい4つか5つ程度の料理しか供されなかった。

ネパールの北部山岳地帯だとダルバート(豆スープのカレーライス)、パキスタンの北部だとシシカバブ(羊肉)とチャパティ(パン)。中国・新疆ウイグル自治では、毎日、シシカバブとラグマン(麺)ばかり食べていた。

ただ、これら定番のメニューには毎日食べても飽きない不思議な強さがあった。

トルファンでお気に入りのメニューが「ラグマン(ラグメン)」だった。

ラグマンは中国のウイグル族だけでなく、カザフスタン、キルギス、タジキスタン等、中央アジアの国々でポピュラーな麺料理。麺の上にスープをぶっかけたもの。

麺は、小麦粉に塩水を加えてこねて、両手で引き伸ばして作る。きしめんに近い歯ごたえ。スープは、短冊状に切った羊肉と赤ピーマン、タマネギ、ニンジン、細切りにしたトウガラシ、それらを炒めて煮込んで作る。

唐辛子がのほのかな辛さと赤ピーマンと甘酸っぱさが混じった、日本人にも食べやすい麺料理だった。香辛料をいっぱいかけたシシカバブは、食べすぎると胃の中がカッカと熱くなったが、ラグマンは胃腸に優しかった。

一皿2〜3元(80〜120円)ほどだったと思う。胃腸にも財布にも優しかったので、トルファン滞在中、毎日食べ続けた。

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