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『No cognizance』 その1 (未映像化台本)

(漫画用)

1.或る熱帯地方の密林の中を走る男。
 奇妙な出で立ちである。体のあちこちにメカが付属している鎧の様なユニフォーム状の衣服を着ている。
 走る。やがてハッとしてしゃがみ、身を潜める。
 主人公「・・・・・」と辺りの様子を窺う。
 ザザザッと音がし、主人公「!」と上空に目をやる。
 上空から襲う追手A(主人公と同様な格好をしている)。
 見上げる主人公の左耳辺りのメカから薄いアクリル板の様な物(ターゲット・スコープ)が出て、左目の前を覆う。
 追手A、落下しつつ撃つ。
 ザッと前方に飛び、避ける主人公。飛びながら腰のホルスターから銃を抜く。着地ざまに撃つ。2発。
 追手Aを貫く2つの銃弾。そのままうつ伏せに地に落ちる。絶命。
 息を詰める主人公、追手Aに歩み寄る。足で追手Aの死体をひっくり返す。その死に顔を見詰める。スコープ勝手に閉じる。
 主人公「・・・・・・・判らない・・・」苦渋の表情である。
 追手Aに屈み込む。弾やら何やらかっぱらう。
 その作業しつつ、ふと、追手Aの顔に目をやる。死顔は偶然こっちを見ている。
 主人公「・・・俺を恨むな・・・」

2.密林の別な位置。歩っている追手BとC。
 追手B、前方に、何故か又、うつ伏せに倒れている追手Aに気付く。追手Cに目配せ、追手Cも気付く。
 周囲を窺いながら追手Aに寄っていく二人。追手B、屈み込む。追手Cは周りを警戒し続ける。
 追手B「これで・・・・8人です・・・」
 施設からの通信「貴様等からの視界映像でこちらも確認している。引き続き追跡せよ。注意を怠るな」
 追手B「司令確認」
 と、言いつつ、追手Aの体を仰向けにしようとする。
 追手B「うっ!?」
 追手Aの胸の位置で両手に握られている機械。
 機械、「ピッ」と鳴る。
 握ったまま追手Aの背が地に付く。
 機械、「ピピッ」と鳴る。
 驚く間も無い追手B、Cの表情。
 爆発。追手B、Cを爆炎がまともに覆う。

3.既にその地を離れ駆けている主人公。走りを止める事なく、爆発音に背後を見る。木々の隙間から煙が空に上がるのが見える。
 主人公のモノローグ(以下M)「・・・・・・・判らない・・・。奴等は一体何だ・・・それに俺自身は・・・・・」
 前方の林がザザザとざわめくのに気付く。
 現れる追手D。真っ直ぐこちらへと走ってくる。
 追手D、構えた銃を撃つ、撃つ。
 避けもせず走る主人公。
 追手D、左前腕外側に取り付けている2発式小型ロケットランチャーを連射。
 主人公の疾走に着弾は背後に流れ、爆発は走り過ぎた後の地面を抉るのみ。
 爆炎を背後にしつつ、走りながら両手を背面、腰のホルスターに走らせる。
 互いに正面から交差しようとする寸前、主人公はホルスターからゴツいアーミーナイフを抜きざまに逆手に右手、続いて左手のナイフを走らせる。
 風を受け流しながら、主人公の心ここに在らずといった横顔にクローズアップしての(M)「なんでこんなに戦える・・・・・あれは、あの施設はなんだったんだ・・・・・」
 と、回想へ入って行く。
 
4.回想。夜らしく薄暗い部屋。家具はベッドと便器だけである。
 ベッドに横たわっている主人公。
 いきなりカッと目を開く。バッと半身起こす。そのままの勢いでベッド縁に。
 周りを見回す。まるで何かを探している様に。段々と不安気な表情となって・・・
 覗き窓から光が差し込んでいるドアに目をやる。
 ベッドから離れ、ドアへ向かう。
 ドアを開ける。灯りが差し込む。
                            ※                                          ※
 出てくる主人公。通路である。
 通路を見やる。自分のいた部屋と同様の部屋が並ぶ簡素な、病院若しくは牢屋の様な通路。 
 天井からのライトを浴び、ふと自分の奇妙な出で立ちに気付く。
 主人公「う・・・?」と自分の体に触れ、見改める。
 更に、こめかみのメカを触り、「これは・・・・?」
 ふいに、声が掛かる。
 見廻男A「おい!」
 主人公、振り返る。そこには見廻男AとB。二人共軍服の様な制服を着ている。
 見廻男A「部屋を出るなよ、こんな時間に」
 主人公「・・・・・」(半睨みで見返す)
 見廻男B「こいつは確か、まだ半月しか経ってない奴だぜ。何をしたいんだか自分でも判ってないんじゃないのか」
 見廻男A「全く・・・」と、意味も無くぼやきながら腰のホルスターから拳銃を抜き、腰溜めに掲げ「さー、部屋へ戻った、戻った」
 主人公、その銃口に目が行く。ギロッと目を剥く(過敏な反応)。いきなり見廻男Aの顔面に、踏み込んでの右肘打ち。
 見廻男Aの鼻と左目は陥没し、右の眼球は逆に飛び出る。
 見廻男B、そのAに目を奪われつつ、「うわ・・・」と思わず声を漏らす。
 主人公、倒れ込んで行く見廻男Aの右手の銃身を左手で掴みながら、右拳を見廻男Bの横っ面を狙い、ブン、と振り回す。
 見廻男B「ひいっ!」と身をすくめよけるが、連続して放たれたソバット気味の右足刀蹴りが腹に食い込む。見廻男Aの銃は既に左手に持っている。
 肋骨の砕ける音がする。
 見廻男B「ぐえっ!!」と、声を上げ、壁に背を叩き付ける。そのまま壁伝いに崩れ落ちる。
 見下ろす主人公。更に見廻男Aに目をやりつつ「・・・・・ここは・・・・・どこなんだ・・・・」
 警報が鳴り、主人公「う!? 警報!?」
 天井に目を見張る。
 主人公「!」と、天井の一角の監視カメラに気付く。
 こちらを見据えているカメラのUP。主人公(Off)「カメラが・・・!」
 バッと、見廻男Aから奪った銃をカメラに向ける。
 突然、左目にスコープが被り、主人公「うっ!?」と声を漏らす。
 そのまま「わあっ!!」と驚きの声を出す。驚きつつ反射的に引き金を引く。
 適確な射撃にカメラ弾ける。
 主人公「・・・・・・」と、左手の指でスコープに触れる。表情は驚愕としている。
 床に落ちるカメラ。
 カンカンカンと床を踏み鳴らす男達の靴音が聞こえる。
 主人公、背後を振り返る。
 背後から他の見廻りの男達が走ってくる。
 主人公、そいつらを見据え、ギラッと目を剥く。
 主人公のUP「何だ・・・! これは・・・・!」

(続く)

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