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『No cognizance』 その3 (未映像化台本)

 主人公、グッと右拳を握り固め、「くそっ!」と、右フックを放つ。追手Gの顔面をヒット。
 追手G「ぐはっ」と血を吐く。
 雪崩落ちかける追手Gの首根っこの襟を左腕ですくい、グイッと上げる。右腕を追手Gの右脇の下から通し、追手Gの右腕の自由を奪う。後ろを取った形で、喉を締め上げる。
 追手G「うっ・・・く・・・!」
 主人公「ただ訳も判らず逃げ回るのはもう御免だ・・・! 一体、俺やお前はなんなんだ・・・!?」
 主人公「言え! 俺に何をした!」
 主人公を又、頭痛の波が襲う「うっ!」
 主人公、目を細め「くそっ・・・! 大体がこの頭痛はなんだっていうんだ」 
 追手G「貴様の頭の中に教育プログラムが蘇ってきているのだ」
 主人公「何!?」
 追手G「プログラムを受け入れようとしないから痛みとなる・・・・。拒み続ける限り消えはしない」
 主人公「・・・・・・」
 追手G「これは管理者からのメッセージを私が代弁している。管理者はお前の機能不全を嘆いている。正しく機能を取り戻せ」
 主人公「・・・・・・」
 追手G「選択権は我々にある。お前は受け入れ、あるべき姿に戻るしかない。・・・・・拒めば死あるのみ・・・・・」 
 更に激しい痛みが主人公を襲う。「ぐっ!!」「うあっ!!」と思わず声を荒げる。
 追手Gの喉元を絞める左腕に力がこもる。
 追手G「うっ、ぐぐ」
 主人公「ぬうぅ! うぅおぉ!」
 追手G「ううっ・・・!」
 意識はしていないながらも、苦しみのあまり更に追手Gの喉元を絞め上げる主人公。
 死ぬ程苦しい主人公の表情に、例の施設における回想場面がフラッシュする。 
 (部屋、群がる見廻男を倒す、施設の建物を飛び出す、闇に消えゆく主人公。フェードアウト)
 
 闇から視界が戻ってくる。その視界には密林の樹々と空。
 主人公、ハッとする(我に返る)「!!」
 木にもたれて座っていた。目を足元の先に向ける。
 追手Gの死体が転がっている。
 主人公「・・・・・」と追手Gの死体を見据える。
 主人公「!」と、前方に目を向ける。
 3m程前方の1m程の小山に腰掛けている隊長格の男。軍人タイプ、細面のキリリとした有能そうな人間。
 隊長、主人公を見据えている。右手には主人公の落とした銃を握っている。
 見やる主人公。
 主人公、体を起こそうとして、自分の体の自由が利かないことに気づく。
 主人公「?」
 隊長「身体の自由が利かんだろう。外的処置を施したからな」
 主人公、動かそうとして動かない体に戸惑う。
 隊長「貴様が通信回路を閉ざしているから、こうやって直に会いにきた。だから危険を回避する意味で自由を奪った。当然だろう?(にやり)」
 主人公「・・・・・」
 隊長「たまげたね、正直言って。貴様一人にこれ程手が掛かるとは。いや、それ以前に、こんな事になるとは」
 隊長、左の掌を軽く掲げ上げながら「ふん。予定外もいいところだ」
 その言葉に訝しむ主人公。
 主人公「予定外・・・? 何がだ」
 隊長「貴様ら用のシステムのメンテナンス中に起きた事故がそもそもの原因だ。システムはすぐ復旧したが、その間に貴様みたいな洗脳プログラムの浅い奴の何人かが正気になっちまった」
 といいつつ立ち上がる。
 主人公「洗脳・・・・・」
 主人公、追手Gの遺体に目を走らせる。
 隊長、主人公に軽く銃を向けつつ「正気になったとは言ってもプログラム自体は有効の様だな。武器も適正に操っているし、大体、敵を殺すのにひとっつも躊躇も何も無いってのはその証左だ」
 主人公「・・・・俺に一体何をしたんだ。貴様等は・・・」
 主人公を冷たく見やる隊長。

(続く)

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